これは「脳神経外科」で言うところの、「大脳前半部・前頭前野の脳高次機能」を測定する検査群です。「大脳後半部」が「記憶の倉庫」しかない「低次機能」であるのに対し、「大脳前半部・前頭前野」には、「注意力」(気づく能力)や「判断力」(優先順位をつけてさばく能力)。「プランニング」(計画立案する能力)、「自己抑制力」(我慢する能力)、「短期記憶」(短時間の間だ、気にとめておぼえておく能力)、「軌道修正力」(間違いに気づき軌道修正する能力)「自意識」「記憶検索力」「創造性」や「問題解決力」、「社会性・コミュニケーション能力」等の最高次の脳機能が局在し、これらを通じて「自発的に考えて、行動」する「実行機能」を構築しています。 |
1 | DN-CAS認知評価システム | Luriaの神経心理学モデルから導き出されたJ.P.DasによるPASSモデルを理論的基礎とする心理検査で、LD・ADHD・高機能自閉の認知的偏りを測定する心理検査です。 |
2 | ベンダー・ゲシュタルト・テスト(BGT) | 1938年、児童精神科医のロレッタ・ベンダーにより開発された図形を模写させるテスト。9個の幾何図形を被験者に模写させて、正確さと特徴により結果が得点化される。テストの標的は、知覚運動技能を測定し、精神発達の程度やパーソナリティの偏奇、情緒障害や脳損傷・高次機能障害等についての示唆が得られる。 |
3 | BIT行動性無視検査 | イギリスのWilson等によって開発され、1987年に出版された「半側空間無視検査」です。日本版は高齢者に適用可能なように制作され、「通常検査」と、日常生活場面を模した「行動検査」の2つのパートからなる点が特徴です。訓練課題への指針が得られます。 |
4 | ベントン視覚記銘検査(BVRT) | 1945年、アイオワ大学・神経心理学A.L.ベントン教授により開発された。高次脳機能障害のスクリーニングとして使われる視覚認知・視覚記銘・視覚構成能力を評価する検査です。言語記銘ではなく、図版記銘の検査であるため、言語機能に障害のある被験者にも有用です。健常群と脳損傷、正常加齢の影響と認知症の区別に強力な手段となります。同質の図版形式が3種類あるため、練習効果を避けて再検査できます。 |
5 | DAMグッドイナフ人物画知能検査 | 本検査はグッドイナフ・F・Lが1926年に発表した人物画による作業式の知能検査です。被験者が描いた人物像を用いて知的発達を評価します。動作性のテストであるため、言語・聴覚・情緒障害のある被験者にも適用でき、知的水準の測定ができます。慢性脳炎、脳微細損傷の児童の発見に役立ちます。個別・集団共用です。 |
6 | コース立方体組み合わせテスト | 1920年にアメリカのコースが考案した知能検査で、立方体を組み合わせて「模様」を作る作業検査です。「分析」と「総合」の能力を測定する速度検査で、ろう児、難聴児、失行・失認患者、言語障害者だけでなく、高齢者や認知症患者にも適用でき、知的障害の重症度が測定できます。 |
7 | 日本語版COGNISTAT認知機能検査 | 成人対象の認知機能を測定する検査です。認知機能とは一般的に大脳前半部・前頭前野の注意力や判断力、短期記憶等を中心とする脳高次機能で、大脳後半部の「記憶総量」(今までに何を知っているか、何をおぼえているか/知能検査で測定する能力)とは別の、高次の脳機能を言います。本検査は頭部外傷による脳損傷、認知症、脳血管性障害、統合失調症、うつ病、アルコール性障害などの認知障害(機能低下)を評価診断します。 |
8 | CADL実用コミュニケ-ション能力検査 | 失語症、麻痺性構音障害、脳性麻痺、認知症、頭部外傷にともなうコミュニケーション障害、精神発達遅滞などを対象とした、日常生活そのものが検査項目となっているコミュニケーション能力検査です。コミュニケーション障害を改善するための指針が得られます。 |
9 | 日本版RBMTリバーミード行動記憶検査 | 社会の高齢化やクルマ社会により、頭部外傷や脳損傷が増加して記憶障害が大きな社会問題となってきています。本検査は病気や事故による記憶障害を検出し、治療による変化を評価する記憶検査です。4種類の平行尺度が用意されているため、練習効果を気にせず実施できます。 |
10 | VPTA標準高次視知覚検査 | 本検査は、高次視知覚機能障害を包括的に捉えることのできる標準化された検査で、視覚失認と視空間失認に関する検査です。視知覚の基本機能、物体・画像認知、相貌認知、色彩認知、シンボル認知、視空間の認知と操作、地誌的見当識の7大項目から構成されて、115枚の図版と評価用紙が用意されています。脳リハビリテーションに必携の検査法です。自動表示ソフト(エクセルファイル)を日本高次脳機能障害学会HPより無料でダウンロードできます。 |
11 | SPTA標準高次動作性検査改訂第二版 | 本検査は、高次動作性障害の臨床像が客観的に把握できる検査です。麻痺、失調、異常運動などの運動障害、老化にともなう運動障害や知能障害、全般的精神障害などと失行症との境界症状を把握することができます。また行為を完了するまでの動作過程が詳細に評価できます。自動表示ソフト(エクセルファイル)を日本高次脳機能障害学会HPより無料でダウンロードできます。 |
12 | BADS遂行機能障害症候群の行動評価日本版 | 定型的な神経心理学的検査には反映されにくい「日常生活上の遂行機能」(自ら目標を設定し、計画を立て、実行していく能力)を総合的に評価する検査です。脳損傷患者の治療に関わる人にとって有力な評価技法です。 |
13 | CAT・CAS標準注意検査法・標準意欲検査法 | 日本高次脳機能障害学会BFT委員会が開発した高次脳機能である「注意力」や「意欲」を評価する検査です。脳卒中や脳損傷を被った患者さんの高次脳機能を評価できる標準化された検査です。 |
14 |
WMS-R | 短期記憶と長期記憶。言語性記憶と非言語性記憶。即時記憶と遅延記憶など、記憶の様々な側面を測定します。認知症をはじめとする様々な記憶障害を評価できます。 |
15 | 慶応版ウィスコンシンカード分類検査KWCST | 前頭葉の脳高次機能障害の症状である概念/セットの転換障害を評価する検査です。本検査は「色」「形」「数」の3つの分類カテゴリーでカードを分類する検査で、被験者とテスターが相対しながら検査を進めます。カードには赤、緑、青の1~4個の三角、星、十字、丸の図形が描かれ、反応カードは48枚で同一のカテゴリーが連続して出現しない順序に並べられています。 形教示の与え方は2段階で、CA(達成カテゴリー数)、PEN(ネルソン型保続性の誤り)、DMS(セットの維持困難)。言語による行為の制御障害(IVR)の評価も行えます。 タイプA評価用紙はカーボン式3枚綴りで正確に採点できます。タイプB評価用紙は検査に習熟したテスター向きです。 |
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