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栗生楽泉園の現在


群馬県草津町にある栗生楽泉園(くりうらくせんえん)は、全国に13箇所あるハンセン病の元患者さんたちの国立療養所の一つです。

●草津町

 草津町は、群馬県の西北部に位置します。標高1171m(草津町役場)の高原にあり、現在では一年をとおして観光地として有名です。また草津温泉は、古くから多くの病気に効く温泉として知られていました。泉質は基本的に酸性(酸性低張性高温泉)で、源泉によっては硫黄泉もあります。

温泉の保温効果に加え、強酸性泉による殺菌作用や皮膚への刺激作用によって、切り傷からハンセン病、梅毒、皮ふ病まで効果があるとされたため、中世以降ハンセン病患者だけではなく、戦争による傷病者などの湯治者で賑わっていました。

 

群馬県のご当地カルタの「上毛カルタ(※)」の中にも、「草津よいとこ、薬のいで湯」という一枚があります。

(※)1947年に作られたもので、群馬県の風土や歴史を題材にしています。

 次の表は草津町の月別平均気温ですが年間平均気温は7.4℃という低さで、冬は雪に蔽われます。ここでは明治以前には冬住みといって、住民は冬の到来前に麓の村に移って、春を待って帰るという習慣さえありました。

(単位:℃)

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年平均
平均最高気温 -0.5 0.1 4.1 11.3 16.6 19.3 22.9 24.0 19.5 14.1 8.7 3.0 11.9
日中平均気温 -4.2 -3.9 -0.6 6.0 11.1 14.7 18.5 19.5 15.4 9.5 4.1 -1.1 7.4
平均最低気温 -7.9 -7.8 -4.7 1.2 6.3 10.9 15.1 16.1 12.1 5.6 0.3 -4.7 3.6

(気象庁のデータによる)

この草津温泉の薬効、気温の低さ、深雪。
ここにハンセン病患者の療養所ができたのは、これらの条件と無関係ではありません。
栗生楽泉園は1931年(昭和6年)に開園しましたが、当時の政府の目的はハンセン病患者の「治療」ではなく、「撲滅」だったのです。
それを象徴するのが重監房です。


●栗生楽泉園へのアクセス

草津は群馬県の北西に位置します アクセス

所在地 〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町草津乙647
電話   0279-88-3030

 

●現在の栗生楽泉園

栗生楽泉園航空写真

正門 園内略図(施設は他にも数多くあります)

 

●各施設について(などの色は、上記地図で紹介している施設名の左の〇の色に対応します)


栗生楽泉園を象徴する施設

重監房跡

 かつて栗生楽泉園にあった、特別病室という名の懲罰施設です。
病室というのは名ばかりで、些細なことで入れられた元患者たちには、酷寒・闇・飢餓・孤独の四地獄が待っていました。

詳細はここをクリックしてください。

重監房跡の碑
重監房資料館

 重監房について当時の資料、出土品、原寸大に再現された重監房など、多くの資料が展示されています。

重監房資料館のホームページはここです。

納骨堂

 亡くなった元患者たちが、ここで眠っています。
本来、療養施設であるはずの栗生楽泉園に、納骨堂があることを奇異に思われた方も多いと思います。多くの元患者たちは偏見・差別のため、亡くなっても生まれ育った故郷に帰ることもできなかったのです。

命カエシテの碑

 元患者の男性は断種(俗にいうパイプカット)を条件に、患者同士での結婚が認められていました。しかしそれでも妊娠した場合、強制的に堕胎されました。胎児はハンセン病治療の研究に役立てるわけではなく、無意味にホルマリン漬けにされ理科室の標本のように扱われたのです。

 

 

「命カエシテの碑」の裏面

画像をクリックすると拡大されます。

2019年11月。納骨堂の前に建立された人権の碑。

表側(上)、裏側(下) 

人権の碑についてはここもご覧ください。

 

 


治療施設

治療棟

 ここでは内科・外科・皮膚科・歯科等の診療科と健康管理センター、薬剤科、診療放射線科、研究検査科等があります。

第一病棟

 

機能訓練棟

 機能訓練室と義肢装具室があります。
機能訓練室は、運動機能の維持や老化防止等のための機能訓練、また、義肢装具室は、入所者の個人個人にあわせた義肢・義足の制作、日用品の改良等をおこなっています。

 

宗教施設

カトリック教会

1956年、カトリック信徒会が発足。フランシスコ会の出資により1962年に完成しました。

大谷光明寮

 1935年、落成しました。「光明寮」の名前は、藤原光明子(ふじわら こうみょうし 701〜760 聖武天皇の皇后)に由来します。

天理教 あけぼの教会

 

日蓮宗 妙法会

鐘楼
聖公会堂

 

真言宗 大師堂

 

 

●付属施設

売店・郵便局

 

中央会館

 約300名を収容するホールと30畳の和室等があり、各種催し物や慰霊祭等の園内行事に使用されています。

自治会事務所

元患者さんたち(入所者)の自治組織の事務所です。

青年会館

 かつては栗生会館と呼ばれた建物で、1932竣工以来、娯楽施設として映画や演芸等が催され、また園内学童の教育の場としても使用されていました。

 

居住地区

不自由者棟

 ここは障害が進み、介護を必要とする方が居住しています。

 

一般舎

 一般舎は、上地区と下地区があり、自活可能な入所者が居住しています。ここは比較的障害が軽い方の居住棟です。

 

 水道栓です。障害が軽いとはいえ、手が不自由な人のために、水道栓を回しやすくするため、このようなレバー式(○印)になっています。

 園内のいたるところに、音楽を流す装置が置かれています。その下には、元患者さんの作になる俳句が書かれています。

目が覚めて 夢では見えた 目が見えぬ

 

 

 

 

 

 

 


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