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ハンセン病とは
●原因と症状
ハンセン病は「らい菌」による感染症です。主として末梢神経と皮膚がおかされ、感染者の免疫反応の差異により手足などの末梢神経の麻痺や、皮膚などにさまざまな症状が起こります。
二次症状として顔の変形、失明、兎眼(目が開いたまま)、脱毛、手指の屈曲(曲がったまま)等が起きることがあり、さらに手足の感覚が麻痺して痛みや熱を感じなくなり、そのため怪我をしたこともわからず、それがわからず、最悪手や足を切断せざるを得なくなることもあります。
●らい菌の発見
長く不治の病として恐れられてきたハンセン病ですが、1873(明治6)年にノルウェーのアルマウェル・ハンセンにより「らい菌」が発見され、伝染病であることがわかりました。伝染病といっても感染力はきわめて弱く、 感染しても極端に体力が低下していたり、衰弱していないかぎり発症するのはまれです。寿命は約11日間。霊長類とアルマジロだけが感染します。
後述のように、最初の治療薬であるグルコスルホンナトリウム(商品名プロミン)は1937年に結核治療用に開発され、1943年にらい菌にも有効であることがわかりました。これほど治療薬の開発が遅れたのは、らい菌は非常に増殖力が弱く、現在においてもいかなる方法でも人工培養が不可能なためです。このため薬の効果はマウスなどの実験動物は使えず、ハンセン病患者に直接投与する以外なかったのです。現在ではヌードマウスの足蹠へ接種して増殖させています。
アルマウェル・ハンセン らい菌
●治療法
大風子油 大風子油(だいふうしゆ)は、イイギリ科に属する何種類かの植物の種子である大風子から作られた油です。もともとは東南アジアやインドの民間療法でしたが、日本にも伝わり江戸時代頃から用いられていました。
1917年にはイギリスで大風子油から内服薬・注射薬が作られ、イギリスの植民地であるインド・ビルマを中心に使われました。
大風子油は効果が疑問視されていましたが、他に有効な薬剤が存在しなかったため多くの国で使われました。しかし、その後プロミンが開発されると、大風子油による治療は徐々に行われなくなりました。プロミン プロミンは、1937年結核治療薬としてアメリカで開発されましたが、1943年ハンセン病にも有効であることが判明しました。その後、国際的にも非常に効果のある特効薬であることが確認され、ハンセン病治療は劇的に変化したのです。
日本では1947年ごろ使われはじめました。多剤併用療法(MDT) プロミンは静脈注射用の薬剤でしたが、1950年代になってからプロミンから有効成分を抽出したダプソンが使われるようになりました。現在では、ダプソンにクロファジミンとリファンピシンという薬を組み合わせた多剤併用療法が採用されています。経口薬で取り扱いが容易です。
●新規患者
現在、日本国内では新たな患者は1年間で0〜数名です。先に述べたようにらい菌に感染しても発病することはまれで、各地にあるハンセン病療養所で日常的に元患者たちと接する職員のなかでも発病した人は過去一人もいません。
(国立感染症研究所 ハンセン病研究センターのデータに基づく)
●現在の療養所
現在ハンセン病元患者たちの療養所は、国立で13、私立で1箇所あります。(ダブルクリックで、それぞれのホームページにジャンプします)
国立 国立療養所松丘保養園(青森県) 入所者数
47国立療養所東北新生園(宮城県) 32 国立療養所栗生楽泉園(群馬県) 42 国立療養所多磨全生園(東京都) 103 国立駿河療養所(静岡県) 38 国立療養所長島愛生園(岡山県) 96 国立療養所邑久光明園(岡山県) 61 国立療養所大島青松園(香川県) 37 国立療養所菊池恵楓園(熊本県) 137 国立療養所星塚敬愛園(鹿児島県) 69 国立療養所奄美和光園(鹿児島県) 15 国立療養所沖縄愛楽園(沖縄県) 96 国立療養所宮古南静園(沖縄県) 37 私立 神山復生病院(静岡県) 2
※入所者数は2023年5月1日現在 北海道新聞より
参考資料 日本財団ホームページ、Wikipedia、国立感染症研究所ホームページ