指定管理者制度の問題点

 指定管理者制度の導入後、行政サービスの向上は軽視され、コスト削減に偏った結果、指定管理者が管理する

公共施設において、重大事故が相次ぎました。

平成18年7月の埼玉県ふじみ野市のプールで吸水口の柵がはずれ、小学生が吸い込まれ死亡し、担当職員

2名が有罪となり失職。平成18年8月に大分県佐伯市マリンカルチャーセンターの可動式観覧席収納時に2階

から2名が転落し、小学生が重体・男性が重傷を負う事故が起きました。

 平成19年8月には、出雲市営プールの水上滑り台着水プールで小学生が水死しました。

 平成22年6月には、浜名湖で県立三ケ日青年の家のカッターボートが転覆し中学生が死亡する事故など、コス

ト削減に偏った結果、人員配置不足や職員に必要な研修が不十分な状態で運営され事故が発生しました。

 また、事故に至らなくても、指定管理者が赤字になるからと契約途中で指定管理者を辞退する事例や自治体が

指定管理者を不適切と契約解除するなど問題が続出しました。

総務省が「指定管理者制度運用」(平成22年12月28日)を通知

 総務省通知では「指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの

提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものであること。」また、

「指定管理者において労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること。」と通知

しています。

このことは、指定管理者の選定が低価格重視の結果、職員の労働条件が引き下げられ官制ワーキングプアを

発生させていることを国も認めざるをえないほどひどい状況に至っていることを示しています。

 

県や市町村の直営管理施設がなくなる!

地方自治法244条改正<指定管理者制度>

 群馬県や県内の市町村では、地方自治法244条改正<指定管理者制度>にともない、現在それぞれの自治体が公の施設として管理する全施設(公社、事業団等の管理委託施設を含む)について、民間法人による施設管理導入の方針をたて、20053月議会や5月議会に上程する動きが活発になっています。
 2003年6月に成立した地方自治法244条改正は、地方公共団体が指定する法人その他の団体に公の施設の管理をおこなわせようとする<指定管理者制度>を導入するものです。この「指定する法人その他の団体」には民間事業者等が幅広く含まれるものであると明記しており、公の施設の管理に民間企業を進出させることを意図したものとなっています。
 法では、指定管理者のおこなう管理の基準や業務の範囲等は条例で定めることになっていますが、施設利用の許可や利用料金を当該指定管理者の収入とすることができるとなっています。
全施設を対象に民間法人による管理導入を検討
 小泉政権が強行している三位一体の地方財政改革に伴う財政危機も重なって、道路法や学校教育法等の個別の法律において管理主体が限定されているもの以外は、自治体のすべての施設に<指定管理者制度>導入が可能ではないかとし、積極的な導入を推進しようとしています。
 これが実施されれば、道路や学校教育施設、公の施設でない施設(市役所等)を除いたすべての施設の管理を民間法人に委託することが可能となります。
 私たちは、第一線で管理業務を担う職員を廃除し、自治体の責任放棄につながりかねない<指定管理者制度>導入には大きな問題があると考えます。労働組合として早急に対策を検討しなければなりません。組合員の皆さんの知恵と意見をお寄せください。

 公共施設の指定管理者導入により、賃金カット等の労働条件引き下げの押し付けが・・・
     組合に加入して雇用と労働条件を守ろう!

 

「公の施設」とは・・・

 公の施設は住民の福祉を増進する施設でなければならないから(一項)、例えば庁舎、試験研究所のように公の目的のために設けられたものであっても住民の利用に供することを目的としないものは公の施設ではなく、住民の利用に供する施設であっても、例えば競輪場のように直接住民の福祉を増進するためのものでないものも公の施設ではない。(地方自治法244条より)