官制ワーキングプア!!・・・ これが偽装請負

 法を順守しなければならない自治体において、「請負契約」として、人材派遣が行われているケースがあります。当組合では、県内の1市、1町の偽装請負を解消し、働いていた人たち全員を自治体の臨時職員として直接雇用させました。
 この違法性を知らない職員に「退職願」を出させ無理やり退職させています。2003年度には11人、2004 年度には12人が犠牲になりました。
 どちらのケースも学校用務員です。請負契約では、請け負った業務についてすべて監督し業務を遂行しなければなりませんが、学校用務員の業務では、学校の校長・教頭等の指示を日常的に受けて業務を遂行しています。このような状態での勤務は人材派遣と同じであり、人材派遣では同一業務において、人材派遣を受けられるのは最長3年とされています。派遣会社が変わっても労働者が変わっても通算して3年を超えることはできません。
 それぞれの自治体では、請負委託として、委託先を毎年一般競争入札で選定していました。選定された派遣会社が変わっても、働いている人は、新たな派遣会社の職員として雇用され、毎年同じ人が同じ学校で用務員として働いていました。その結果、働いている人は同じで経験を重ねているにもかかわらず、毎年のように賃金等の労働条件が低下していました。その上、1日8・5時間勤務にサービス残業と労基法違反もありました。
A町では、突然雇い止めを通告された人が組合に加入したことで、偽装請負が明らかとなり、労働局に労働者派遣事業法第48条に基づく直接雇用の指導・助言等に関する申告を行いました。一方、A町教育委員会とも懇談を重ね、法令順守の立場で対処していただくことになりました。その結果、最低賃金すれすれの時間給を月給制に改め、過去の雇用期間を反映した有給休暇の付与、社会保険の加入など処遇改善されました。  

労働条件を引き上げて直接雇用しても、自治体は経費削減となる

 自治体が直接雇用した場合には、賃金と社会保険料等の負担で済みますが、これをわざわざ請負契約にすると、人件費に事業者の利益と契約額の5%の消費税が経費として加わります。偽装請負を解消し直接雇用に切り替えることは、この無駄な経費を削減し、法にのっとり、校長・教頭が必要に応じ、直接業務指示ができるというメリットがあります。A町、B市ともに、経費削減となり、A町では議会で年間300万円の削減になったと報告されました。

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