感情を込めてセリフをいっていると 本人は気持ちいいんですが 見ていると 気持ち悪いですね。そのセリフは 相手役に伝わる必要があるはずなのに それじゃあ 伝わらないよ。感情は 後払い! ブナの木の 大野さんが 教えてくれた。

大槻 秀伸 日常生活でも、嘘をつくとき、感情をこめます。

 

みんながさわいでるのに 「やめて」のせりふ 一言で 騒ぎが収まるというのは やっぱ うそなんだよな。そのうそを ほんとうにするには どうしたらいいんだろうかを考えないと。その一言が めちゃくちゃ 大きかったら静まるかな。やめて ほしいと願って やめてっていうんだから 行動で 沈めてもいいんだよね。やめての セリフがあるから 静まるというのは やっぱり段取りなんだよね。

 

知り合いいっぱい 呼んで みんなに つまらんかったよ、来るんじゃなかった おまえ めっちゃ変やった、笑った、おまえ 勘違い野郎やな かっこいいとおもってんねんやろ あほや あほ と いわれたらきついやろな。だから 思っていても 言わないんやろな。

 

以前 群馬でみた 芝居で 小さな小屋なのに 上手で二人が 下手の人にばれないように 話すというシーンがあって、どう考えても きこえてるやんけ、なんで そんな大きな声で 話すねん?正体ばれたら 殺されるんやろ?あらら 聞こえてるのに聞こえてないふりか?こんな小さな小屋でなんで ひそひそ声で会話させへんねんやろか。この演出 あほやな・・・と 思って だれにも ありがとうございましたといわれずに 帰ったことがある。アンケートも書かなかった。DMもらうの 申し訳なくて。

 

大きな声を出して客席の後ろまで届けなさいといわれると力んでしまうけど 客席の一番後ろの非常口のライトのマークを見て それに目の焦点をあわして それに向かって声を出せば 届いたと思うこと。力んで緊張するより リラックスしたほうが声は出るのだから。届いたかどうかは その位置にいて 聞いてる人しか わからないのだから。

 

17代目 中村勘三郎さんから 「役を作れば、セリフはひとりでに出てくるんだよ」とおそわりました。

石坂浩二

週間ポスト 3月6日号

 

台本では ため口や 呼び捨てで書いてある。でも演じる役者がきまって 54歳の人と 19歳の人が ため口や呼び捨てというのは 客席で見ていて 共感できるだろうか。しかも 19歳の人が 背も低く もっと若く見えるようなときは・・・

 

戦争に負けるというグループと 勝つというグループが 同じ町の中で対立する。もうすぐこの町に空襲がくるかもしれないという 不安感の中での対立。私は 板挟みになる町内会長。何度もやっていると あれ この前はもっと迫力があったのに 今日は全然だめだな。あ、そうか この前のを 思い出しながら やっておられるんだな。だから 全然 迫ってこないんだな。むなしい・・・

私は 嫌われてゆく、楽しくやっている人たちに 真剣にやってほしいと言ってしまって嫌われてゆくのだ。

でも もし 戦争で 親を亡くした方が客席で 見ていらしたらと考える、どんな思いでこの場を見るのかを考える。もし魂というものがあるのなら 空襲でなくなられた方々の魂が 見てくださっていると考える。

すみません、魂のみなさん、みなさんのことを いっしょうけんめい想像します。想像して がんばります。