住宅街の寿司屋(すしや) 登志鮨 としずし
光もの

2008.11.6

{光もの}と言う言葉は、他の業種の料理では聞くことのない すし店特有の専門用語です

現在、すし店で{光もの}と言うと

コハダ、アジ、サバ、キス、サヨリ、カスゴ、イボダイ などです

これらは従来 {酢〆め}にしてから寿司にしていましたが 流通の関係と冷蔵状態が良くなった為 
昨今は、
アジやサヨリ、サバ まで皮をむいて 生の状態で 寿司にする事が多くなっています

しかし、どうなんでしょう
握り寿司としては、やはり{酢〆め}にしたほうが いいような気がしています・・・

青魚を酢で〆ると言う調理方法は理にかなっています
巧く仕込みが出来れば 「これぞ江戸前寿司!!」と感じていただけると思います

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2008.11.7

{光もの}を酢で〆る・・・・これは簡単に言うと 青魚は腐りやすいから なんです 
青魚はヒラメなどと違って運動量が多い という事なんです

ですから体内の酵素の発生量が多くなります
結果 早く死後硬直の状態が早く終わるため 身が軟らかくなる
つまり、腐りやすいという事なんです

しかし、このような青魚ですが
{酢〆め}という調理方法で 寿司屋は美味しい味をつくりだします

塩の力で脂肪を体外へ出し 生臭みを消します
そして 酢の作用で魚肉を固め酸味で脂っこさを 感じさせなくさせます

もちろん各店 味は違いますよ
魚の脂や大きさ、塩、酢の時間や種類、気温などなどで ・・・・

ただ、いっくら酢〆を したからと言っても、時間が経つと脂焼けがしてきます
そうすると 生臭い寿司になって しまいます
これだけは避けなければ なりません

今日は{何で青魚は酢で〆るのか?} 書いてみました
いつもの通りですが 学者でないので この程度の説明しか出来ません!

次回は寿司屋の{光もの}・・・コハダについて書きます

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2008.11.9

コハダという呼び名は江戸の方言で 学問上では、コノシロです。
ただし、そうは言ってもこの魚には 地域によって 呼び名がたくさんあるようです


kohada

東京では4〜5pまでの幼魚を{シンコ}・10cm以下のものを{コハダ}・12〜13cm{ナカズミ}
15cm以上を{コノシロ}と呼んでいます

いわゆる出世魚の一つで成長段階によって呼び名が変わります

お客様には{ナカズミ}とは言いませんけどね
大半がシンコ・ コハダ・ コノシロ と言っています

青森、北海道あたりでは獲れないようですが、その他日本各地では漁獲があります
ですから、コノシロはほぼ年間を通して築地には入荷がある という事です
だだ、
3月中旬〜6月ころまでのコノシロは味が落ちるようです

その後、{シンコ}がでてきて、じょじょに脂ののったコノシロになります

仕込みに関しては、専門的な事になりますので特に書きません
魚のさばき方は各店 同じだと思います

あきらかに違うのは、さばいた後の塩や酢の使い方です(質、量、時間)

それと、脂抜きに関してです

結果、各店の味は それぞれ違う という事になります
寿司職人が相当神経を使って 仕込みしている魚が・・・・{コノシロ}です。


2008-11-15

コノシロは大きさによって、{すし}の感じが変わります

一匹ではチョット大きい場合 (半分に切って握ります)
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コハダ程度の場合、一匹まるごと 握る場合が多い
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シンコの場合は2匹とか3匹4匹使って はじめて1個の{すし}になります
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こんな{すし}もあります
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4回に分けて{コノシロ}の事を いろいろと 書いてきました
寿司屋で注文する時は{コハダ}で問題ありません
もし、ネタケースやネタ箱を見て 超小さいのがあれば{シンコ}と言っても 良いと思いますよ
いずれにせよ
コハダは{江戸前すし}を代表する{すし}のひとつだと 思います

表面の光を嫌う方もいますが 食べたら{はまり}ます!


2008.11.17

野球が終わると・・・・サバに脂がのって美味くなります
つまり、サバの旬は秋口から冬なんです

今回から鯖{サバ}に関して書いていきます

まず,サバを食べる前の簡単な予備知識から

寿司屋で{すし}に使うサバは{マサバ}です

{ゴマサバ}というのもありますが、
夏場の{マサバ}の味の落ちる時期に使う店も 有るようですが、{うち}では使いません
夏場に「サバは無いの?」なんて言われる事も有りますが
やっぱり脂ののった{マサバ}がいいですもんね

で、ゴマサバとマサバの違いは
お腹の部分が真っ白なのが{マサバ}
{ゴマサバ}はゴマを散らしたような斑点があるところです


地域によって産卵時期が違うので旬も多少変わりますが

全体的に秋口から冬と思っていれば よいと思います
あと
{サバ}に関しては いろいろな事が 昔から言われています
■サバの生きぐされ・・・・サバが極端に腐りやすい魚である事を表現したもの
■サバよみ・・・・・・・・・・数量をごまかす または 仏教語という説もあります(よく分かりません)
■秋サバは嫁に食わすな・・・・嫁いびりでなく サバを食べて{あたらないように}という親心と
 (旬のサバは脂がのっているのに、子が無い)、、、だから
つまり縁起をかついだ ものだとも 言われています

・・とりあえず 今日はここまで・・・


2008.11.20

これが (マサバ) です
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お腹のところが銀白色で光っています

(ゴマサバ)はお腹の部分にゴマが散ったように なっています
チョット 脂ののりが少ないですが、見た目より 美味しいです

{写真のサバには煮切り醤油が塗ってあります}
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サバを食べると ジンマシンが 出る方がいます
これは、{ヒスタミン}という成分の影響です

{ヒスタミン}とは・・・・

特に解らなくても 良いと思いますが、、、俺の勉強なんで (すいません!)

サバには アミノ酸の一種である{ヒツチジン}という成分が多く含まれています
この{ヒツチジン}は酵素によって {ヒスタミン}という成分に簡単に変わります
サバは内臓の消化酵素の力が強いので死後、時間が経つほど
ヒスタミンが たくさん出来る事になります

その結果ヒスタミンに敏感な人は、
サバを食べるとジンマシンが出たり、腹痛を起こしたり するわけです
ヒスタミンに対する反応は人によって まったく違うようです
つまり、ヒスタミンに慣らされてきた人は反応が にぶくなっているのです
もっと簡単にいうと、
鮮度の悪いサバしか 食べてこなかった人は あたらない!
という事です。。。。簡単すぎた説明でした

サバもコノシロ同様、捌き方は各店変わりません
しかし、
{塩} {酢} の量、時間などは違います
ですから、当然仕上がりが違う事になりますね
生にちかいサバ、酢がみっちり入り込んだサバなどが あるわけです
これは、店の考え方と お客様の好みの問題ですから
どれが、どうだの こうだのと言うことでは ないと思っています

とりあえず、{光もの}はこれで、、、、
その他の{光もの}は又、春先に書きます

■・・・そんな こんなで サバについて2回に分けて、書いてきました

                                 それでは また・・・■


玉子焼き


2008.10.29
まず玉子焼きの歴史ですが いつ頃から玉子焼きが寿司になったかは、正式には言えませんが
大正末期には確実にあったようです

それでは何故、玉子焼きの寿司が出現したかは解りませんが
いろいろな手間をかけた寿司が 研究されていくうちに、

今でいう デザート代わりのようなものとして 出来上がったようです
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玉子焼きは、光もの、煮もの、と 共に昔は江戸前ずしの基本をなす仕事であり
どこの店でも欠かす事の出来ないものでありました。

味付けが複雑なうえに、焼き上げの技術も難しいところから、
「玉子焼きを食べれば、その店の寿司の良し悪しがわかる」と 
よく言われていました。

「最初に玉子焼きを食べる」という お客様もおりますが
だからと言って 自分に合ってないから

「これで、帰ります、お勘定!」なんていうお客様はいません!

店の味の検査に きたわけでは ないので 他の寿司で楽しんで貰いたいと思います。
それだけに、どこの店でもそれぞれに工夫をこらして、自家製の玉子焼きを 作ってきたわけです

現在、寿司屋で使う玉子焼きは、大別して厚焼き玉子、薄焼き玉子、だし焼き玉子です

次回は、その いろいろな 玉子焼きについて 書きます。


2008.10.30

{だし巻き玉子}は、もともとは日本料理の仕事である為、すし店ではほとんど使われて 
いなかったようです,、、、、、が

 現在では{だし焼き玉子}が主流です

一時期は市販品の{玉子焼き}を使用している店が多かったんですが
 市販品の厚焼き玉子では味が平均化されてしまいます

ですから、それを嫌って独自の味で工夫して焼く{だし焼き玉子}が主流になった訳です
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{だし焼き玉子}は
 だし汁に砂糖、塩、みりん、醤油などを混ぜ、卵と合わせて焼きます
もちろん、各店その他に 隠し味に 何かを使う店もあります

準備から焼き上がるまでの時間が早いのが利点です
 また、{玉子焼きっ!!!}という味がするので、この玉子焼きを好む方も多く いらっしゃいます

いずれにせよ 各店、味が違うのが 良いですね!

■・・・それでは また・・・■


2008.10.31

これは、芝エビを入れた薄焼き玉子
表側と裏側です


超弱火でじっくり焼きあげますが、コンロの火の強さが均一で無い為
位置を少しずつ変えながら焼いていきます
店によっては、均一に焼けるように 道具を工夫したり しているところも あるようです

ほぼ表面が焼きあがったら、菜箸を使って裏返します
こちらは、余熱程度で焦げは目をつけません

一枚を6等分にします
店によってもいろいろですが こんな感じが好きです
シャリは見えませんが間に入っています

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前回のだし焼き玉子と違って、こちらは カステラのようです
この玉子焼きの寿司を{くらかけ}と呼んでいます

お客様も好みが違いますので、評価はいろいろですが


電話で
「前の{玉子焼き}と違いましたね〜・・・孫が がっかりしていました」・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・あれ以来、そのお宅からは、出前の連絡はなくなりました

ある日、なんの説明も無く変えてしまったのは、失敗でした
自分では よかれと思っても そう簡単にはいきません


2008.11.5
いろいろな寿司屋の玉子焼きを載せてみました
(寿司の教科書より)

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以上のように いろいろな、玉子焼きがあります

{うち}では{だし焼き玉子}と{芝えび入り薄焼き玉子}の2種類だけですけど 各店いろいろです
是非、その寿司屋の玉子焼きも 楽しんで下さい!