進雄神社太太神楽

歴史沿革

 当神社の神楽は中世室町、戦国時代から舞われておりました。
 今に伝わる神楽面は、天正8年(1580年)に、当神社の社家(宮司)であった天王佐衛門太夫高井行重は武田勝頼公の命により故なく伊藤太夫にその職を取って代わられましたが、その時に神楽の面が神社境内の御神木の梢高くで夜毎に火を吹き伊藤太夫を悩ませました。たまらず伊藤太夫は神楽面を割り砕いて神社から退散し、再び高井行重は社家として宮仕え出来たと伝えます。
割られた翁、天狗、般若の神楽面は掘り出され、社宝と伝えております。
         
 明治時代には当地出身の松本耕三郎氏は笛、太鼓、舞のそれぞれを会得、巡査として赴任した沼田の蓮根の若者に神楽を教えてました、伝えられた神楽は硯田菅原神社で立派に舞われております。
昭和30年代始めまでは春に神楽を奉納し、近隣の神社数社にも請われて舞を奉納し、秋には獅子舞が舞われておりました。しかし獅子舞は人材難となりいつしか途絶えてしまい、春と秋それぞれに神楽が舞われております。
 神楽まで途絶えてしまうことの無いようにと、昭和58年に「進雄神社太々神楽保存会」が氏子の方々のご協力で発足し、それまでの衣装が明治時代始めのつくりで大変古くなっておりましたので道具類と共にすべて新調しました。
 以前は氏子の長男の者しか神楽を舞うことは許されませんでしたが、現況は多くの方々にご参加いただき、女性の方4人も熱心に舞っていただいております。

  

 神楽を舞ってみませんか。神様を称え、神と人とに喜ばれ、御神徳大御恵をいただいて、楽しく健やかな日々をお過ごしください。ご希望の方は神社にて受け付けております。

神楽の舞われる日

 例年4月9日10月9日の当神社例大祭に神楽殿で舞われます。 
 また年に1回程ですが、月の始め1日午後1時からの神社「月次祭」で御社殿内で舞われます。
 時間等は神社にお問い合わせください。

神楽舞のご案内   

1.奉幣、はらい
 神楽師の長が素面で神楽殿や神楽師、参拝の方々を祓い清めます
2.天狗の舞 - 猿田彦の神
 ニニギノ神が高天原から葦原中国に天降る時に天地を照らして先導した神様をあらわす

         
3.浮橋の舞 - 伊邪那岐(いざなぎ)の神、伊邪那美(いざなみ)の神
 二神が天の浮橋から天の沼矛で日本の島々を造った所作をあらわす

         
4.天岩戸開き
 天照大御神が須佐之男(すさのお)の神の乱暴で、高天原の天岩戸に隠れてしまい、太陽が隠れて
 闇夜の世界となり困り果てた時に神々が集まり、天照大御神に岩戸から出ていただき、太陽の恵み
 をいただくまでの舞

 (1)鍛冶屋の舞 - イシコリドメの神とアマツマラの神
   天の安河の天堅石と天金山の鉄で鏡を造る所作をあらわす

         

 (2)鞨鼓(かっこ)の舞 - アメノコヤネの神とフトダマの神
   天香具山の牡鹿の肩の骨と天波波伽で占う
   扇の表裏を交差して吉と凶を表す

 (3)おかめ・岩戸はぎの舞 - 天宇受売(あめのうずめの)神と天手力男(あめのたじからお)の神
   岩戸の前でうずめの神が面白おかしく舞い、取り囲んだ神々が賑やかに囃し立てます
   天照大御神は何事かと岩戸を少し開けて覗きます
   その時に力持ちの天手力男神が岩戸を開けると、太陽神天照大御神が現れ皆こぞって喜ぶ姿
   を現す
   宮崎県の高千穂の峰から岩戸ははるかに長野県の戸隠まで飛んでいったと伝えられます
   
       
  
 (4)火吹男(ひょっとこ)・おとうかの舞
   天照大御神が再び現れて太陽燦々と輝くを喜ぶ福餅福投げの舞

       

5.須佐之男神の大蛇退治
 (1)子別れ - 稲田姫と足名椎(あしなずち)
   何人もの娘たちを大蛇に飲まれた足名椎
   最後の娘稲田姫を大蛇が呑みにくる時を向かえ、悲しみ別れを惜しむまい

      

 (2)大蛇退治 - 八俣の大蛇と須佐之男神
   姫を飲もうとする大蛇もお酒の誘惑に負けて酔いつぶれてしまい
   勇猛な須佐之男神が大蛇を退治して稲田姫を救います


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 (3)妻を迎える喜びの舞 鈴鳴らし - 須佐之男神
   大蛇を退治して稲田姫を迎える喜びを詠ったうた
   「八雲たつ 出雲八重垣つまごみに 八重垣作るその八重垣を」は
   和歌のはじめと伝えられております
5.御神徳高き神が荒ぶる者たちを平定

 (1)弓の舞 - 天稚彦神(あめのわかひこ)
   弓道の神様で古事記に高皇産霊尊の賜ひし天鹿児弓、天羽羽矢を取って雉を討つ」とつたえます

        

 (2)両刀 - 建御雷之(たけみかずち)神
   鹿島神宮、藤原氏の祭神で勇猛な雷之神様
   武道に神徳高い神様
   白鹿に乗って奈良の春日大社へと遷座された神

 (3)薙刀の舞 - 経津主(ふつぬし)神
   香取神宮の神様、藤原氏の神様
   武道に御神徳高い神様

 (4)鯛釣りの舞 - 事代主(ことしろぬし)の神 恵比寿様
   神々が鯛を釣り酒を飲み豊な日々を寿ぎ福投げ

      
6.国固めの舞 - 大国主命
   須佐之男神の6代の子孫で出雲大社の神様。
   太刀弓矢を持って八十神を従わせ葦原中国を平定する。
   後に天孫のニニギ神に国を譲り巨大な出雲大社に神鎮まり縁結びの神として護身徳高い神様と
   慕われております