知りたい事は知る。
知ろうとする事は悪くない。
寧ろ無知は罪だと言う・・・・

でも
何も知らない私は罪だったかもしれません。



虹色の旋律 十二章



初めて赤西さんが私に優しく教えて下さった。
笑顔は見られなかったけど、会話が出来ただけでも嬉しいです。
見学が終わったらすぐに図書館に行こう。

通し稽古で汗を流す彼らを眺めながら改めて決めた。
この時代は私のいた時より進んでるから、きっと何かしら手掛かりが掴めるはず。
どうして未来に来てしまったのか・・そういう事も本があるかもしれません。

そうだわ、其処への行き方も赤西さんに聞いてみましょう!
もしかしたら行き方も教えて下さるかもしれません。

そう考えるとワクワクして来て、胸が弾んだ。
もし帰れるなら、私は継信さんのお墓参りに行きたい・・・・
継信さんのご両親と共に供養もしてあげたいから。

はあ・・・
って、溜息なんて駄目だわ。
無事に戻るその日まで、私は弱音など吐けません。

では決意も新たに皆さんの踊りを拝見しましょう!!
・・・・お?あれ?

「お・・終わってました・・・・」
「ん?アッと言う間だったとか?」
「あ、はいそんな感じです・・」

意識を現に戻した時には、目の前で行われていた練習が終わっていた。
マズイです・・・兎に角後でサンチェさんに頼んでデモテープとか言うのを貰いましょう!

思わず漏らしたの呟きには亀梨が答えた。
真剣な顔をしてたからレッスン風景を見てるのかと思ったら
やたら青ざめた顔で目を見開くと、小声で何かを呟いた。

よく聞いてみると、レッスンが終わってしまっていたと呟いてる。
は初めて見るレッスン風景だから、通し稽古の終わる速さの事かと思ったんだよね。
俺の問いに言葉を濁らせるの姿。

・・・・ってに激似だなあ・・・
まあだし

ちょっと頼りない感じもするんだよね・・・・
そうだ、場所知らないなら付いてってやろうかな。

はこの後図書館行くんだろ?」
「はいっ赤西さんが教えて下さったので!」
「場所聞いてないなら俺が一緒に行こうか?」
「いいんですか??とても有り難いです!!」
「よし。じゃあ控え室寄ってからでいいか?私服に着替えるからさ」
「はい!」

亀梨さん、本当親切で優しい方だなあ・・・・
上田さんも山下さんも優しい。
・・・赤西さんも、優しい方だ・・・・でも今は私をビシバシ鍛えて下さってます(

折角赤西さんから教えて頂いた情報源ですからね、亀梨さんのご案内で初めて図書館に行けますよ〜
そうだ、向かいながら亀梨さんに色々聞いてみよう。

嬉々とした足取りで亀梨と共に控え室に向かう
それを見据えるような目で赤西が眺めていた。
赤西と同じように否定的な田中は、特に茶々を入れずに眺め結論を判断しようとしている様子。

根性はある奴だと田中は感じ始めていた。
あれだけ赤西にキツク言われ、怒鳴り合いの喧嘩までしたって言うのに泣き言すら言わない。
そればかりか今も笑った顔を見せている・・・あれはただモンじゃねぇな・・・・・

新人でいきなりKAT-TUNメンバーに抜擢されて、数ヵ月後には大舞台。
あまりの突然さに俺らの中では意見が割れるし赤西とは口論。

出て行けとまで言われたら、ふつーの新人だと泣きべそかいて脱退してくのが当たり前だった。
赤西も仕事の事になると結構厳しいっつーか熱くなる奴だからなー・・・

そんな奴に目ェ付けられて顔合わす度にチクチク言われたら俺ならキレるけど←
って奴はちゃんと自分の意見も言い返したらしい(山下談)
この時点で根性ある奴だって事は分かったし、やる気もあるのが分かったりしたんだよなー・・・・

俺さー・・ただがマネとジャニーさんに持て囃されて調子に乗ってる奴で
舞台に立つ事とKAT-TUNに入る事を真剣に受け止めてない奴だったら大反対する気満々だったんだよなー・・・
だからかなり予想外だわー・・・・

でも赤西的にはまだその辺譲れねぇみたいだな〜・・

椅子に腰掛けつつ思案していた田中は、亀梨とを追うようにして
この部屋を出て行った赤西を眺めた。


さてさて、亀梨と共に控え室に戻った
いきなり回れ右をしてしまう。
それは先に戻っていた中丸や田口、上田の面々が普通に服を着替えていた為。

忘れてました!
皆さんは殿方ですし、私もそう見られていて当たり前だという事をーー

許婚がいたとしても服の着替える所など見る事は赦されません!
淑女の嗜みとして殿方の着替えを見るなどとっ!!!

「わ、わ、私っ廊下で待ってます!!」
「何?遠慮してる?」
「え、遠慮なんてしてませんっ」
君照れてるのー?」
「あー・・・じゃあ廊下にいて、すぐ行くから」
「はいっ―――わあっ」

ドンッ!

「ってぇなコラ」
「あか、あか、赤西さん!すみませんっ」
「だからお前はどもりすぎだっつーの・・・てか何処行くんだコラ」
「いやああの・・私は着替えないので出ていようかなと・・・」
「つーかな」
「!?」

パニック寸前のままオロオロしてるとニコやかに田口さんがからかって来る。
それに対して答えようとしたら、亀梨さんが私の前に立つと此方を振り向いて
廊下にいてもいいと言って下さいました。

そのさり気ない優しさに深く感謝するとドアを開けて出ようとした・・・ら
後から来た赤西さんと見事に衝突・・・・

慌てて飛び退く上から低い声が降り注いだ。
部屋を出る理由を言った。そしたらですね・・・何故か赤西さんが私に顔を近づけると
耳元で言ったのです、現実に引き戻すような言葉を。

「お前、カメとか上田とかPが優しいからって調子に乗ってんなよ?」
「―――っ・・調子になんて乗ってません」
「ハイ其処まで」
「わととと」
「何だよカメ――」
「先ずは仁も着替え、次の予定もあるんだしさ」
「・・・・・ちっ」

半ば脅しのような言葉の呪い。
肌で嫌われているのを感じた

目を見て言い返すのが精一杯の迫力だった。
かなりの近さに赤西さんの整った顔がある・・・

綺麗な顔は怒ると迫力満点だわ・・・・
笑ったらきっともっと綺麗なんだろうな・・
少しぼんやりしたタイミングで後ろから腕を引かれた。

転ぶかと思ったが、上手く立たせられる。
吃驚して顔を向けると聞こえたのは亀梨さんの声だった。

引き戻した私より一歩前に出て赤西さんを落ち着かせてる。
あれ以上近いままだったらきっとパニックになってました・・・
仲裁に入った亀梨を赤西は少し睨んだが、仕方なく着替えに向かう。

それが結構面白くなかったが次の仕事もあるのは事実だからな

赤西を見送ってからを振り向くと、小さく有り難うございました・と頭を下げていて
心から嬉しそうに礼を言う姿、頭とお尻に犬の耳と尻尾が見えたような気がした亀梨でありました。