永久の約束



5月17日 早朝。

夢見が悪く、朝方に目が覚める照。
隣に寝てるを探し、寝息をたてる様に
ホッと一安心して後ろからギュッと抱き締める。

❄「んー・・・照?」
💛「ごめん、起こした?」
❄「ううん・・・平気、どうかした?」
💛「・・・ちょっとこうしたくなっただけ」
❄「ふふ、心配しなくても私は消えたりしないよ ずっと照の傍に居る」
💛「はは・・・何だそれ」

寧ろ俺が離してやれないし・・・?
とか思いながら抱き締める腕に少し力を込めた。

一方の、照に起こされた事で目が覚め
今日が大切な日だとカレンダーを見て確認。

何だか元気のない照を気にしつつ
予め用意していたプレゼントを渡す事に
バックハグ状態の照の手を優しく解き

シーツの上を滑るようにして起き上がり
ホントはまだ渡す予定じゃないけど

大好きな照を笑顔にさせたかった。

机の引き出しから出したプレゼントを
ベッドの上で眉宇を下げたままの照へ差し出す。

不安顔の可愛い照が寝転んだ体勢で受け取る
プレゼントしたのは、照が大好きな人形。
シルバニアファミリーの小さな子供の人形だ

💛「これもしかして?」
❄「照、誕生日おめでとう」
💛「おおお~!ありがとう!」

受け取った箱を両手で持ち直し
目をキラキラさせた照が私を見上げ

開けていい!?

と聞いてくるのだがめっちゃ可愛いね?
27歳の成人男性で筋肉幼女(・∀・)
そんなキラキラした目で言われたら頷くわ・・・

良いよ、と頷くとすぐに包みを解く照。
意外と丁寧に包装紙を開封する姿は
彼自身の繊細な性格を表してるみたいで

この人を好きになって良かった
って改めて実感させられる。

さて、喜んでくれるかな?
現れた箱をマジマジと眺める照を見つめ
照とシルバニアファミリーの夫婦の人形さん達に贈り物だよ、と言ってみる。

❄「2人のとこに生まれた子供みたいな?」
💛「やっべぇ可愛いんだけど・・・」

箱に入ったその人形は、赤ちゃんで
細かいけどきちんとよだれ掛けを付け
おしゃぶりを口に咥えたものだ。

手渡された箱を手にした照の目が輝き
可愛い、と喜ぶ照の顔はふにゃふにゃだ。

(照のが可愛い)

同時に沸き起こる愛しさを伝えたくて
私はこの子供の人形を照に贈る事にしたんだ

❄「照ともこの人形さん達みたいになりたいな」

・・・そう、貴方に伝える為に。
照とは付き合って5年、しかも私のが1つ上。

年齢も28だ・・・赤ちゃんを望むなら後がない
女から言うのはやっぱ恥ずかしいけど
笑われても良いから伝えたかった。

思い切って仄めかす事数分
照の反応が気になるはチラッと見てみた

💛「ケーキあるなら食べていい?」
❄「――・・・あ、ごめんこれから作るよ」

ああ、これは引かれたかな・・・

私が言った事に対する返事ではなかったから
あからさまに話を変えられたと察した
振り絞った勇気は音を立てて崩れる。

じわりと滲む視界、泣いてなどやるもんかと
懸命に浮かんだ涙を堪えた。

照が聞かなかった事にしたいなら仕方ない・・・
気まずくなったからケーキ作ってくる!と
声を張って踵を返したら凄い音がした。

💛「ちょいまち・・・!そのまま動くなよ?」

何かを落とす音とずり落ちた音が気になった
それから衣擦れの音に紛れた"イテテ"

振り向きたくても出来ずに待つ事数分。
私に近づく気配にひょいっと抱き上げられた

❄「へっ?」
💛「先ず、俺が食べたいケーキはお前ね」
❄「・・・・・・まだ朝だよ?」
💛「朝とか関係なく食べてたいかな」

何の話だが分からなくなって来たね?
てか、抱き上げられたから隠せなくなったわ

泣いた事。

話し逸らしたくせにこんな風にするの狡い
諦めつかなくなるじゃん。

しかも今話すべきはケーキをいつ食うか食わないかではない。

四六時中食べても飽きないくらいの甘党
んな事は私だって知っとるわ。

(ここまで体感5分)

力強い腕に抱き上げられ驚いたのも数秒。
体感は5分だが実は数秒でした

次の瞬間にはベッドの上に逆戻り。
横抱きのままシーツの上、
ふわりと下ろされ直ぐに照の端正な顔が間近に来る。

ベッドの上に下ろした私の前
視線を合わすように座る照に純粋な質問を

❄「・・・返事に悩んだからスルーしたんじゃないの?」
💛「だってがあんまりにも可愛い事言うからさ・・・噛み締めてたの」

してみたら、顔を赤くした照が答えた。
噛み締めてたからわざとはぐらかしたの?

❄「ホントに?」

念の為聞き返したら、苦笑する照。
スっと伸ばされた指が私の涙を拭って行った

❄「実はその気は無いとかナシだよ?」
💛「嘘とか言わねぇしそれに、俺も欲しい」
❄「・・・!」
💛「との子供」

座らされた体勢のを見つめる照。
徐々に話しながら距離を詰め
やがては私を跨ぐようにのしかかって来る

恋人同士なんだから慣れた距離なのだが
ジッと見詰められるのは恥ずかしくて照れる
しかも思わぬ言葉も照はに伝えた。

子供を望んでくれてるのだと、分かる言葉・・・
一瞬聞き間違いかと思うくらい自然で

💛「俺の可愛い奥さんになってくれる?」
❄「・・・うん、なる・・・年上だけど良いの?」
💛「良いに決まってんじゃん、あ~・・・可愛いなは、
  ケーキ食べたら指輪買いに行こ?」
❄「うん・・・!」
💛「でも行くのはって名前の甘くて可愛い俺だけのケーキ食べたらな。」
❄「・・・恥ずかしい事を平気で言うねって言われない?」
💛「言われた事はねぇな(笑)」

分からないふりしてニヤリと笑う照。
偶に甘えん坊で可愛いのに強引。

なのに触れる時は優しくて
年下な事を感じさせないくらい甘やかしてくれる。
そんな照を私は甘やかしたい

羽を休められるように。

貴方が安らげる枝に、
貴方を守り諌める鞘になりたいな。

歯が浮くようなセリフも、照が言うと違うね
真っ直ぐに私を見つめる目が細められる。
穏やかで優しいその笑顔が何よりも大好きだ

こんなにも知れば知るほど好きが強くなる。
始めは目を惹く人だなぁくらいだったのにね

気付いたら目で追ってて
気付いたら貴方の事ばかり考えてた。



名前を口にするだけで心が暖かくなって
声を聞くだけで嬉しくなって
姿を見るだけで胸がいっぱいになるよ。

だから時々苦しくなるんだ。
好きでたまらなくなって涙が出る。

これ程人を好きになれたのは久しぶりだ・・・
そんな照と出逢って気持ちが通じ合えた奇跡

💛「、ずっとずっと一緒に居ような」
❄「うん・・・ずっと一緒に居てね?」
💛「子供は3人が良いな、絶対可愛い」
❄「気が早いなぁ(笑)」

照にベッドへ組み敷かれ、囁かれる睦言。
ギュッと抱き締められたら涙が溢れた。
好きが溢れて、拭っても拭っても溢れる。

やがて気付いた照が苦笑。
毀れた涙を舌で舐め取り、目許に口付けた。

それから私の首筋に顔を埋めて強く吸う。
チリッとした痛みで、痕を付けられたと感じる。
照だけが私に残せる痕だ。

💛「――、愛してる」

熱に浮かされたみたいに何度も何度も
互いを求め合いながら囁く。

言葉で言い尽くせない程の愛ってあるんだね
言葉で伝えきれないならこの熱で伝えよう。
心が求めるままに――。

優しく私に触れ、服を脱がされる間も
暫く私と照の手は繋がれていた。

生まれてきてくれてありがとう
私と出逢ってくれてありがとう
私を選んでくれてありがとう

誕生日、おめでとう照。
ずっとずっと大好きだよ


おわり