いきなり現れたその子
不思議な魅力がある奴だなと思った。
素人みたいだけど、危なっかしい奴で面白そう?
まあそれぞれに思う所はあったと思う。
けれどこれがきっかけでもあった、一つの波乱の始まり。
虹色の旋律 六章
車で到着した先はジャニーズ事務所。
打ち合わせは此処でする事になってたけど
社長は何の用があるんだろう?
集まった六人全員、不思議そうな顔で社長室へと急いだ。
その頃は、一足先に社長室にいた。
ただ待ってるだけでなく、テレビと言うのを見ながら。
これも箱型で・・その中には沢山の人がいて、笑ったり歌ったりしている。
これは何だっけ、でぃーぶいでぃー・・・とか言う物らしいです。
この中に亀梨さん達グループの活躍が収められてるとか。
それにしても・・・見る物全てが初めて見る物で覚えるだけで大変だわ・・
そんな状態な私がどうして銀幕へ出る事になったのかしら・・・(銀幕ではありません
彼らが組んでから3年が経っていて、一度大きなコンサートを開いてるそうです。
結束しつつある彼らの中に、女でしかも過去の人間の私がいきなり入っていい物ではないのに・・・・
けど、画面の中の彼らは活き活きとしてて・・いいな、と思えた。
今より少し幼い亀梨さんと赤西さん・・・はあ・・曲と歌詞は頭に入ったし
踊りも何となく理解はした、問題は彼らとの対面。
受け入れてもらえないかもしれない不安・・
怖くて足が震える・・・出来るなら逃げ出してしまいたい。
例え逃げ出したとしてもこの時代に私の居場所はない・・・・
覚悟を決めて此処で生きるしかないんだわ。
皆さんが来るまで歌を練習しようかしら・・
この年の夏のイベントで歌う曲だと、四月一日さんから教えて貰った。
「振り向かずに行こう 遙かなあの未来へ
大きな夢運ぶ 僕らは時の旅人
繋がって行くhistory 受け継がれた情熱
この胸の誇りは 決して離しはしない
Lise 太陽は昇り Shine 鮮やかに燃える
全ての命が 今輝く―――」
小さく呟くように歌詞を口ずさむ。
抱いた胸の誇りは・・決して離しはしない・・・・
その歌詞と大戦へ誇りを抱いて飛び立った継信さんの姿が重なった。
もう二度と、戻って来てはくれなかったけども。
数多の命は尊くて、皆愛しい物だと感じた。
私の時代の歌とは馴染みがないけれども・・この時代の歌詞も作った人の思いが込められている。
歌ってみればそれが感じられた、上手く言えないけどね。
えっと、後は歌いながら踊らなくちゃならないのね?
私に出来るのかしら・・・軽くやってみても息が切れてしまうし・・
これは教えてもらうしかないわね。
すると前触れもなくドアが開いた。
ハッとして歌うのを止めると、其処にいたのは・・・・・
++++++++++++
事務所に到着したKAT-TUNの面々。
呼ばれていた為、打ち合わせ室ではなく社長室に直行。
途中擦れ違う後輩ジュニアが挨拶をして通り過ぎていく。
それに応えつつエレベーターに乗り込んだ。
夏のイベントの前に大切な話・・・とは何なのか誰も知らない。
何かトラブルでもあったのだろうか?
もう会場も押さえてあるし、チケットも予約が開始されてる。
だから今更中止とかはないと思うんだけどなー・・
と色々予想してるのは亀梨。
あんまマイナスな事は考えたくないしさ。
そのイベントに向かって俺らはレッスンしてるんだし。
社長室に向かう途中、マネージャーである四月一日(わたぬき)と合流。
亀梨らに気付くと物凄く嬉しそうに話しかけてきた。
「やあ待ってたよ」
「あ、マネージャー」
「それより話って何なの?」
「まあ慌てるなよ赤西、社長に会えば分かるから」
「ふーん・・・・?」
「何か・・聴こえるね」
「ん?ホントだ」
「これアレだね、えっとサマリーだっけ」
会話の途中だが赤西は何かに気付いた。
その様子を見た上田も音色と声に気付いてそっちを見る。
同意したのは亀梨、曲名を口にしたのは田口。
サビまでだったが情感が溢れるようで何かが胸に訴えられる感じ。
抜けるような高音に、透き通った透明感・・・・
その場の誰しもがその声に聞き入った。
歌詞を視覚的に見せるような力・・あれ・・・?何か誰かの声と似てる。
気になって社長室へ向かう亀梨。
なんだなんだ?と気になった他メンバーも後に続く。
歌は社長室から聞こえて来る。
静かにノブを回し、中を覗き込むと・・・・・
黒髪でショートヘアの小柄な少年が一人。
何故か俺らのDVDを見つつ、今度のイベントで歌う曲をアカペラで歌っていた。
この声、確か昨日も聴いた声だよな?
でも中にいるのは少年・・・・まさかさんの兄弟?
いや・・・でもそれはないよな〜・・逆トリップしたのはさんだけみたいだったし。
って、此処にいるって事は・・・コイツも社長に呼ばれたって事だよな?
ジッと見ていたら中にいた少年が此方を振り向く。
「―――あ」
振り向いた顔に誰かがダブッて見えて、つい扉を開けてしまった。
勿論中にいたソイツも気付いてこっちを向く。
向いた顔は何度見ても誰かと似てた。
そう感じたのは亀梨だけではなく、その少し後ろにいた赤西もだった。
何かデジャヴを感じて、振り向いたソイツを擬視。
入って来たのは亀梨達。
勿論これは覚悟していたのには焦った。
どうしましょうーーーーっ!!!
キラキラした殿方が六人もいらっしゃりますーーー!!
ああーー眩しいぃ・・・・・
先頭にいらっしゃるのは亀梨さんで、その後ろは赤西さん・・・
四月一日さんもいらっしゃるわ。
それと残りの四人の殿方が、残りのメンバーの方・・・・
とても優しい面差しの方もいれば、背の高い方もいらっしゃるし
少し強面の方もいらっしゃるようですね・・・
「悟さん、この子は?」
「ああ、皆に話があったのはこの子の事でなんだよ。」
「え?どう言う事ですか?」
「説明は社長がするから、もう少し待ってて」
「・・・・ね、お前名前何てーの?」
「お、赤西〜早速だな」
「あー・・はい!と申し・・・あいや、言います!」
「何かその喋り方誰かに似てんなあ・・・・・」
「へ、へー・・・・」
マズイです・・・もう既にバレそうです;;
特に亀梨さんと赤西さんは顔も知っていますし、誤魔化せるでしょうか・・・
バレてはいけない緊張感で、ガチガチになってしまう。
すると誰かに肩を叩かれる。
其方を見ると、優しそうな殿方の瞳と目が合った。
「お前新入り?この前のオーディション受けたの?」
「おーでぃしょん・・・」
「何か背ェちっちゃいね〜俺と中丸君の間に立ったら小人ちゃんみたい」
「君は何歳なの?」
「えっと・・・・」
「にしても新しく入ったジュニアとの顔合わせに俺ら呼ばれたの?」
か、会話に入れません←
次々に向けられる問い掛けに答える前に別の問い掛けが来て
テンポのいい会話に入れない、これでは答える以前の問題だ・・・・
メンバーに囲まれてあたふたしているを黙ってみている二人の姿があった。