好き
えーと、あたしの彼氏は不良です。
いや本当に。
赤銅高等学校を仕切ってる頭の一人。
それでもあたしは彼が大好きだ。
寧ろ好き過ぎておかしくなるくらい。
女って変態なのよ(
皆そうなはず!!
まあ兎に角、あたしは廉が大好き。
顔は勿論、目も唇も声も髪も・・・腕も手も全て。
あたしばっか好きみたいな気もして悔しいな。
でもね、好きだって言ってくれたのは廉なんだよ?
あたしって、凄くチキンだし
可愛くないし・・
痩せてるとは言えないけど
廉は、廉だけは違った。
『お前は可愛いよ』
色々悩んでるあたしに廉がくれた言葉。
たったそれだけなのに、胸がドキドキして温かくなった。
溢れた想い。
もう好き過ぎて苦しいくらいに。
「何してんだよ、帰っぞ?」
「廉!?いつの間にいたの?」
「当たり前だろ、さっきからいたんだけど」
「ごめん、ちょっとボーッとしてた」
「何、俺に見惚れてたとか?」
「ばっ!バカ!」
いつの間にか後ろに廉がいて、軽く頭を小突いた。
赤銅の校門前で待ってたあたし。
前だけ見てたから、後ろから話しかけられるのって不意打ちだっ
しかもあたしの好きな声で。
耳元近くから聞こえる心地いい声に、思わず聞き入ってしまった。
見惚れてたって・・・あたし後ろ向いてたから分からなかったもん。
まあ・・前向いてたら見惚れてたけどさ(
結局は見惚れます
照れ隠しでプイッとそっぽを向いたあたしを見て
小さく微笑んでから横を通り抜ける廉。
スッと追い抜いた背中。
細身だけどちゃんと筋肉がついてて、キュッと引き締まった腰が・・・・・美味しそう。
ハッ!?あたしったら何て事を!これじゃただの変態だ!!
けどあたし廉の体型好きなんだもん!
って訳で・・・・
置いて行くぞ?と振り向いた廉へ、ニッと笑ってからあたしは走りだす。
走った勢いのまま遠慮なく廉の腰へ腕を回して抱きつけば
上から吃驚した廉の声が降りて来た。
ふわりと廉の香りに包まれて、何かキュッと胸が締め付けられたあたしは廉の背中に顔を寄せる。
「おい」
「んー?」
「歩き難い」
「つれない事言わないでよ」
「だって、こうしたかったんだもん」
抱き着いたまま呟く小さな背を見降ろした廉。
何やら可愛らしく感じ、体勢を後ろ向きから正面に変える。
「廉?」
「後ろからもいいけど、俺はこっちのが好きなんだよ」
「うふふー」
「何だよ、不気味だな」
「不気味とは失礼なっ!好きだなーとか思ってたのに〜」
「過去形かよ」
「・・・・好きだよ」
「――お・・おう」
よしよしと頭を撫でられる。
この手も大好き。
ギュッとお互いに強く抱き締め合えば、無性に照れた。
けど、本当に幸せだなって思ったんだからね?
目を逸らしてどもりながら答えた廉が愛しくて堪らなかった。