虹色の旋律 二十五章
rururu〜・・・・♪
関ジャニ等と立ち位置を確認している時、コール音が鳴り響いた。
幸いにまだ振り付け担当のサンチェは来ておらず、怒られなくて済んだ。
鳴ったのは赤西のケータイ。
誰だよ・・と相手に腹を立てつつケータイに近づいて画面を見る。
画面に出たのは上田の名前、つー事は家に着いたんだな。
折り畳みのケータイを片手で開き、通話ボタンを押してケータイを耳に当てた。
「もしー、上田?」
『やほーオレオレ』
「オレオレ詐欺なら余所でやって下さい」
『冗談だから切るなよ?赤西、きっとの事気にしてるんじゃないかと思ってさ』
「ならやるな(笑)・・は?別に気にしてねぇし、でも家には着いたんだろ?」
『素直じゃないなあー・・・・うん、今寝かせた所。』
「寝かせた?」
『知ってるでしょ?が赤西の言葉で認めてもらおうと頑張ってるの』
「・・・・・・・・・まあ」
『その疲労と、心身的な物が重なったみたい』
心身的なもの・・とくれば間違いなく写真の事だろうな。
無理してるのは知ってた、けど、敢えて触れずに置いた。
認めて欲しいから努力するモンだし。
努力しない奴はこの世界に向いてない。
だから夢中でレッスンを受けてる姿が、なりの決意の現われだと思ってた。
厳しい事言ってもはちゃんと応えてくれる奴だと思うし・・・・
やっぱ、聞くべきじゃねぇのかな・・写真の事は。
心身的な物、と言われてしまったら深く追求は出来ない。
コレが何かしらの鍵になってるとは思ってたけど、此処までの破壊力が秘められてたなんてさ。
「そっか・・・お前練習――」
『ちゃんと行くよ、手は抜けないし抜きたくないもん』
「だよな。まあ気をつけて来いよ?まだサンチェさんも来てないから」
『おっけーい、カメ達にも伝えといてね』
「ハイハイ」
『・・・・・』
其処で電話を切ろうとした時、微かに上田が俺を呼んだ声が聞こえた。
慌てて受話器部分に耳を当てて応える。
「えー?」
『お前まで自分責めるなよ?が取り乱した事は誰のせいでもないんだから』
「わ・・・わーってるし」
『そ?ならいいや。後、赤西は本気でを煙たがってたんじゃなく、認めてるからこそだって事。皆分かってるからそこんとこも宜しく♪』
「ぶっ!てめ、上田!」
ブツ、ツーッツーッ・・・・
切りやがりましたこの野郎。
何だよ上田め・・好き勝手言ってくれちゃってさ。
そう思いながら笑顔になってる自分がいた。
理解して貰えてたのが嬉しいとか、素直に感じれるようになってた。
通話を終えたケータイをマナーモードにして荷物に戻す。
一連の動作を終えて皆の方へ戻ると、早速カメが近づいて来た。
カメに合わせて残りの面々も近寄って来た。
「電話上田?何だって?」(和
「は落ち着いたのと疲れが出たみたいで寝かせてきたってさ」(赤
「やっぱ疲れてたんだね〜・・・」(淳
「これから上田も戻るって言ってた」(赤
「一人で平気なのかよ」(聖
「戸締りもしたし平気だろ」(赤
「心配なら終わった後すぐ戻ればいいと思うよ?」(中
「だな」(和
それぞれに意見を交わして、確認すると練習へと戻った。
時刻は午後の13時、暫くしてサンチェも合流。
上田が遅れる理由を話すと快くサンチェも理解し、お咎めはなしになった。
全員揃う前にと一度通しで頭からやる事になる。
今回のベースはKAT-TUN vs 関ジャニ∞の争い。
伝説のボクサー渋谷の半生を映画化するとなり、渋谷の役に抜擢された亀梨。
だがそれを良く思わない渋谷ら関ジャニは、亀梨の仲間である赤西達と激しく対立。
リングで決着を付ける事になるが、その先には恐ろしい悲劇が待ち受けている・・・・と言う設定。
メインは渋谷と亀梨だが、それぞれのメンバーにも見せ場が用意されている。
今日は対決シーン・・と言うか、乱闘?みたいなのを合わせるらしい。
それからソロの見せ場の確認。
流れに組み込まれた見せ場をメインに合うように組み込ませなくてはならない。
その辺は話し合いと言うか打ち合わせで決められる。
まあ打ち合わせまでには上田も間に合うだろう。
そして一足先に通しでの練習が開始された。
++++++++++
30分後。
ふと気付いたら練習の輪の中に上田が合流。
音もなくナチュラルな合流で皆気付くのは通しが終わってからだった。
「よっす」(上
「いや、よっすじゃねぇし(笑)」(赤
「はどうだった?」(和
「うん。ちょっと色々話したら落ち着いて来たみたい、それと疲れもあったみたいだね。」(上
「でもさ、赤西のスパルタにもついて来ようとしてるし。根性あると思うよ」(中
「だよな〜、真っ直ぐだし・・・何に対しても一生懸命でさ。そんな姿見てたら俺もツンケンしてるのが馬鹿馬鹿しく思えたくらいだぜ」(聖
「だからかな・・ついつい助けたくなっちゃうんだよね」(和
「俺も俺も、次は何するのかなって気になったりするし」(淳
「目先の行動が予知出来ねぇから・・ヒヤヒヤさせられるだけだろ」(赤
「だから赤西もついつい手ェ焼いちゃうんだよねー?」(上
「バカちげぇし!」(赤
「ダイジョブ、ちゃんと分かってるって言ったでしょ?」(上
明るい調子で話す上田に引き出されるように皆パラパラと話し出した。
其処で各々の感想?つーかに対する見方を言い合う。
こんなに俺等が話し合うとか滅多になかったから結構驚いてる。
しかもの事でとかな。
ハイフンたるものって奴?
上田の言葉をつい否定すると、電話で言われた言葉を繰り返して言われた。
どうも別の意味で上田には逆らえない気がする・・・・・
このふんわか感が中和剤にでもなってるのかもな。
最初は不思議系だったけど、段々まともになってきたっつーか?
まあ兎に角、KAT-TUNもまとまって来たって事だな。
上田も揃って全員での通し稽古が開始。
その稽古が終わった時、外は夕暮れになっていた。
迎えに来たのはマネージャーの四月一日。
まだ早い時間の為、買出しは四月一日が済ませてある。
この時間にスーパーに寄ったら最後、一気に囲まれるだろう。
それに、一人で留守番しているの事もあり
寄り道をするつもりもない。
各々がそのつもりでいた。
一方、留守番をしているは・・・・数時間の眠りから覚め
寝惚け眼を擦りながらベッドから身を起こした。
少し落ち着いてから凄く後悔しています。
皆さんにご迷惑を掛けてしまいました・・・
私のあの情けない姿を曝してしまう事で、皆さんを傷つけてしまった気がします。
どうやって謝ればいいのでしょう。
やっぱり態度で示すべきでしょうか?誠心誠意を籠めて・・
上田さんは、赤西さんが既に認めて下さってると言ってくれた。
あの言葉に偽りはないと思います。
ならば、私はそれに応えなくてはならない。
幻滅されないように応えなくちゃ・・・・・
その為にも、先ずは練習だわ・・体力もつけて、踊りの練習もしないと。
手元には四月一日さんから渡されたデモテープ。
其処のテープにはSUMMARYのリハが収録されている。
自分達の参加する部分だけでも完璧にしなくては舞台になんて立てない。
来て下さる観客の皆さんに、私達演じ手の気持ちを伝えられるような表現力を
思いを共有して頂けるよう・・・感動してもらえるような舞台に。
テープを見る方法は教えて貰った為、セットして再生はスムーズに出来た。
最初社長室でこれを見せられた時はよく見なかったけれども、皆さんの表現は上手い。
この吊られた状態で歌う事は、結構きついとも聞かされてるのよね・・
流石に修練で慣れているのでしょう、自然に歌を歌ってる。
画面を食い入るように見ていた、ある場面で激しい動悸を感じて胸を押さえた。
どうしてだろう、凄く胸が苦しいです。
あんな顔もされるんだ・・・・
何故ああも惹きつけられる仕草をされるんでしょう・・
綺麗で声量もあり、殿方にしては高音で・・・
慈しむような憂いのある表情、そして見えない誰かを胸に抱き寄せるような所作。
それらに、は惹き込まれた。
目を奪われてしまったと言っても過言ではなかった。