世界で一番 8



再追加コンサートの、本当の最後で
なんと、亀ちゃんとお兄ちゃんが
あたしの書いてた詩を、たっつーの曲付きで唄ってくれた。

本当はメチャクチャ恥ずかしい。
けれど、恥ずかしさよりも嬉しさの方が倍多い。

こんな形で、唄ってもらえるなんて。
ファンの子達の反応も、何気によくて嬉しかった。

の詩を披露したコンサートも、終盤になり
一度奥に下がった皆が、今度はサイン色紙やボールを手に
クレーンで現れたり、ステージ脇から現れ始めた。

クレーンに乗ってるのはツートップのお兄ちゃんと亀ちゃん。
下を走り回ってる残りのメンバー。

皆に声援を送るファンの子達。
色紙が欲しくて、少しでも近くで見たくて。
少しでも、視線を交わしたくて・・・

その気持ちは、自分も分かる。
大好きな人が近くにいる、それだけで嬉しい。

は、楽しそうに笑ってステージを駆け巡る皆を
その場から立って眺めた。
ステージでしか見れない皆の楽しそうな顔。
それを、今この同じ場所で見ていたかった。

!!」

そんな時だ、誰かの声が自分を呼んだ。
こんなザワザワした会場で、何で聞こえたかは分からないけど。
パッと右斜め上を見上げた先に、クレーンに乗った亀ちゃんを見つける。

人の名前呼ばないでよ〜!!
てゆうか、何でマイク使わないのに聞こえたのかな・・
嬉しそうにあたしに手を振ってる。
うわ〜可愛い・・・。

思わずボケーッと、は近くに来た和也を見つめた。
同い年らしく、ニコニコと自分に手を振る姿。
無性に可愛らしく見えてしまって、破顔。

「やるよ!」
「え?」

思わず見惚れていたら、クレーンに乗ってる亀ちゃんが
一言そう口にして、上からに向けて色紙を落とした。
ヒラヒラと舞うように落ちてくる色紙。

それを見た他の子達から、きゃーーっと悲鳴が上がる。
他のファンからは、その場所にがいるのは見えない。
上手く落ちてきた色紙、広げたの手の中にちゃんと納まった。

色紙には、今日の日付と名前。
それから一言のメッセージが書かれている。

受け取ってから上を見上げると、亀ちゃんの笑顔があり
満足そうに手を振ってから、クレーンは移動。
それからお兄ちゃんも現れて、ボールを投げてよこした。
投げ込み場じゃないだろ・・・by 

いつも家で会えてるのに、手渡しかぁ・・・えへ。
嬉しい!嬉しい〜vv
取り敢えず、これは今日の記念だね。
と思いながら、は2つの記念品を手に再びステージを眺めた。
に色紙とボールを投げてからも、他の方へ投げてる2人の姿。

「貰えなかったね〜仁君のボール。」
「仕方ないよ、滅多に貰えないし」

鉄の柵に腕を乗せて見てるの耳に聞こえてきた声。
左斜め下を見ると、お兄ちゃんのうちわを持った子達の姿。
ウチのお兄ちゃんのファンなんだ・・と思いながら眺める。

切なそうな顔、遠のいて行く姿をただ見送るだけ。
あの子達は、あたしと違ってこの場しか会えない。
会う為だけに、遠くから来た子もいる。
でもあたしは、家に帰れば会える。

普段の姿も見れるし、飾ってない姿も見れる。
あの声も聞けて、触れる事だって叶う。

「ねぇ!」

何かしてあげたい、そう思ったら自分の口は彼女達を呼んでた。
パッとこのざわつきの中、2人の女の子はを振り仰ぐ。
Bip席から呼ばれた2人は、とても驚いた顔をしてる。
丁度逆光もあり、下からの顔は見えない。

それを利用しては言葉を続けた。
手に、お兄ちゃんから貰ったボールを手に。
それから、もう1人の子が亀ちゃんファンだと分かると
は迷う事なく、色紙も手に取った。

「良かったら、貰って!」
「「え??」」

2人の子からの返事を待たず、はそれらを落とした。
亀ちゃんやお兄ちゃんが落としたのと同じように
その2つはヒラヒラっと、舞い落ちた。

何が落ちてきたのか、始めは分からずにいた彼女達。
いざ両手に落ちた物を目にした途端、顔色が驚く程変わった。

「いいの!?あたし達が貰って、貴女が貰ったのに。」
「いいよ、貴女達に貰って欲しいの。」
「有り難う!大切にするね!」
「うん!」

受け取った物を大事そうに抱え込み、彼女達はに礼を言った。
その顔の嬉しそうな顔、それが見れただけでも価値がある。
きっと大事にしてくれるだろう。

が再びステージを見た時、もうアンコールになってた。
最初のアンコールは『GOLD』と『Peacefuldays』を披露。
ファンの子達も一体化し、ノリに乗った盛り上がりっぷり。

千秋楽、今までで最高の盛り上がりになったと思う。
マイクを向けて、ファンを煽って唄う様。
皆の顔も、キラキラと輝いて見える。
遠く感じるけれど、自分はもう一度何度でも逢える。

けれども、コンサートの最後ってのは寂しく感じた。

さっきあげた色紙とボールを持った子達も
ステージを一周し、中央へ戻って行く皆に一生懸命手を振ってた。

それから彼等は奥に消えて、会場ではアンコールが叫ばれる。
最後だとしても、1回くらいなのかな〜?
そんな思いで、もステージを見つめた。
バンドのJrの姿も、暗転した闇に飲まれる。

誰もがこれで終わりなんだと、そう思い始めた時。
またしても、彼等はやってくれたのだ。

『まだまだ行くぜー!』
『もっと声だして、ラスト行くぞー!!』
『皆が唄って欲しいのは何〜??』

パッと照明がつくと、黒の服で決めた6人の姿。
叫びながらステージを進む亀ちゃんとお兄ちゃん。
その後ろから、じゅんのが耳に手を添えて
会場へと質問を投げかける。

驚きと嬉しさで、賑わう会場。
それからちらほらと、ファンの子達から反応が返された。

「青天の霹靂!!」

満場一致のリクエスト、それは最近Mステで披露された曲。
ステージに立った6人も、耳を傾けて聞きOKのサイン。
可愛らしい反応に、会場からは黄色い悲鳴が。

メンバーもその曲に決めた為、アンコールはそれになった。
――が、すぐには唄わず お兄ちゃんがもう一度同じ質問を投げかける。

『もう一曲は、何がいいー?』

ファンのリクエストを聞くなんて、今までにない事だ。
それなだけに、会場の興奮もピークに達する。
もう一曲は何がいいか、ファンの子達はザワザワと話し合い
声を揃えて、こう叫んだ。

「『Stay with me!!』」

大勢の声で叫ばれた曲名は、が作詞した曲。
思わず笑顔が固まり、呆然と状況を理解しようとした。
聞かせてー!聞きたい!と口々に叫ばれる声。

驚きが引くと、次に押し寄せたのは涙。
受け入れてくれた?あたしが書いた詩を。
また聞きたいって、皆が言ってくれてる・・・

『よし!アンコールはその2曲に決まり!』
!聞いてたか!?皆が聞きたいって!!』
『良かったね、ちゃん!!』
『じゃあ、もう一度届けるからちゃんと聞いててよ?』
『歌詞が出るから、皆も唄ってな!!』
『覚えられたら家とかで唄ってね♪』

全員がのいるBip席を見つめて叫んだ。
ファンの視線も、同じ方向を見つめる。

もうあたしは、嬉しすぎて言葉にならなかった。
ってゆうか、涙が流れて顔を出せなかった。
温かい言葉が投げられる、ファンの子達も温かい。

こんなに感動をくれるコンサートってなんて最高なんだろう。
お兄ちゃんや皆のファンは、とっても温かい人達ばかりだね。

『仁の妹で俺の幼馴染のも、立派な仲間デス。』
『そうそう、いっつも俺等を助けてくれてんの。』
『ソロのチェックも、遅くまで付き合ってくれてるしね。』
『一緒に1つの物を作り上げてるって、十分仲間だよ。』
ちゃんいないと、変な詩になっちゃうしな』
『聖は集中力なさすぎ!って訳で・・・』

嬉し泣きで、メイクが崩れそう。
時間引き延ばし過ぎじゃないの?って後で言ってやろう。
は笑顔だけど、泣きながらステージの皆を見つめた。

ファンの子達も、皆のトークを笑顔で聞いてくれてる。
こうゆう子達を、皆は大切にしてるんだね。
あたしも・・そんな人達に、いつまでもファンでいて欲しい。

『いつも有り難う!!これからも宜しくお願いします!!』

泣き笑い状態で、トークを聞いてたら
雄くんの言葉を皮切りに、ステージの皆がBip席を向くと深々と一礼した。
これには、も吃驚してステージを凝視。

これからもって・・あたしは一緒にいてもいいの?
皆の隣にいてもいいの?
居場所を作ってくれた、其処にいていいって・・・。
本当に本当に、お礼を言いたいのはあたしの方だよ。

『じゃあ始めに―Stay with me―聞いて下さい。』

いきなりこっちからか!!と密かに突っ込む
勿論聞こえないから、お兄ちゃんが唄い始めた。

ピアノを弾くのは勿論、たっつー。
切ないメロディが、静まった会場にしっとりと響き
ゆっくり、お兄ちゃんが口を開いた。

『A light begins to dwell in the warmed thought.
Putting into a side since it is natural
Probably, it was without noticing.
I am wrapped. meaning of existence
If you please don't cut off...
Popularity is hurt and won. If the petal which breaks up is seen
Painful thought it overflows.
A thought if it arrives
It is a you side eternally.

And when ..

The figure with which it shines in response to light
Although it is glad, it collects in lonesomeness.
it places, and it suits, and it comes out and is in a side ? making
Up to the day when a life is exhausted ...』

何と、お兄ちゃんはいつ英語に直したのか知らないけど
アンコールでは、英語の歌詞で披露した。
凄い・・・日本語の歌詞が、英語と一緒にモニターに出てる。

いつ英語にしたんだろう・・・ジミーちゃんに聞くにしても早すぎるし・・即興!?
だとしたら、才能が成せる技だよね・・・。

ファンの子達の反応も、よくて皆お兄ちゃんの歌声に酔いしれてた。
日本語でもよく作れてたけど、英語で唄って貰うのもいいね。
皆にお礼を言おう、あのコメントにしても曲付けにしても
サイコーのプレゼントだったって。

それからリクエスト通り、青天の霹靂が唄われて
会場も一致団結して盛り上がったコンサートは、大盛況のうち幕を閉じた。