虹色の旋律 三十四章
CMを撮影に来た達。
早速衣裳部屋へと到着した。
ハンガーに掛けられている服は、グレーのパーカーと茶色の膝上ズボン。
その衣装の下には黒の靴が置かれていた。
先ずハンガーから服を外し、カーテンが張られた個室へ。
もうすっかり着方やらは習得した。
過去から未来へ来て、彼是一ヶ月が過ぎている。
家から着てきた私服を脱いで、なれた手つきで肌着の上からパーカーを着込み
ジーパンの代わりに用意された茶色の膝上ズボンを着た。
シャッとカーテンを開けて個室を出ると、何やらタイミングよくドアがノックされる。
ノックに応えると四月一日が現れた、手には何やら一枚の紙。
「やあ丁度着替え終わったみたいだね、ちょっとプロットに変更が出たから報告するよ」
「え?変更ですか?」
「そう、君の登場の仕方と商品の出し方にね」
の問いに軽く説明しながら四月一日は持って来た紙を見せる。
前回は『一人ずつクローズアップされながら商品名を言う』だった所が
『最初は6人で新しい味が出た、というメッセージを見つけて探しに出る』に変わっている。
その他にも細かな変更内容が記されていた。
はその新商品を手に後ろ向きに立って待機し、捜し歩いていたメンバーがそれを遠くから発見。
見つけられたタイミングでが振り返り、一行数行の台詞を言う。
一応このように変更されたみたいだけども、後は話し合いつつ調整するとかいう方向のようだ。
変更内容を確認したも四月一日に了解の意を示して撮影現場へ移動。
現場には既に支度を終えたメンバーが、位置確認やらをしたり監督と話したりしている。
もその中へ参加、隣にいた亀梨は演出監督と会話していた。
「そのメッセージを読んた時に何かリアクションとかありますか?」(亀
「リアクションとしては『新しい味が出たみたいだぜ』とかワイワイ騒ぐ感じでやってみて」
「『探しに行ってみようぜ』とかいう感じですか?」(亀
「そうだね、そんな感じで。」
聞き耳を立てていた、何となく疑問が湧いた。
「あの、そのメッセージは皆さんがセットの家に来た時に置いてあるんですか?」
「うん?ああ君か、そうだね・・・メッセージが置かれてるのは確定してるよ」(演出
「あの・・差し出がましいんですけれども・・・誰か一人が先に知って、それをメンバーに走って報告するってのはどうでしょう・・・?」
「ああ〜!その役は聖向きだよね、皆でメッセージを発見するのもいいけど一人駆け込んでくる演出の方がインパクトあるかも。」(亀
「ほほー成る程、それいいかもしれないね。監督に確認してみるよ。」(演出
まさかの採用←
遠慮がちに意見を挙げてみたら採用されました!!
そのまま隣りの亀梨さんを見上げると、何やら笑顔で頭を撫でくれました!
亀梨に頭を撫でられている所に、他のメンバーも集まってきた。
その後上田と中丸、田中も便乗しての頭を撫でまくる。
最早何故頭を撫でられたのかが分からなくなった。
それでも皆と接せられるのが嬉しくて気にならないのであります。
少し遅れて赤西も現場に現れた。
余談だが、この撮影の後には雑誌の撮影も控えている。
つまり初お披露目はCMと雑誌と言う事。
はあ・・ドキドキしますね・・・・てれびですよ?外来で研究されているとは新聞で読みましたけど
まさか未来では既に存在していて、それに映るだなんて・・両親が見たら腰を抜かしてしまいそうですね。
実際見て頂く事は叶いませんけど・・却って驚かさずに済みましたし。
(テレビが日本に普及したのは1953年/昭和28年から)
「お前突っ立ってないで立ち位置確認したのか?」(赤
「うわぁはい!えっと私はまだです!」
「あほ、胸張って言うな」(赤
「アイタッ」
うう・・久しぶりにでこぴんされました・・・
でも最初の時とは雰囲気が違いますから怖くありません。
直ぐに位置確認に向かったの背中を眺めた赤西。
その口許には苦笑めいたような笑みが浮かんでいた。
のスタート位置は、公園のセット。
此処でメンバーが移動するのを待つのだ。
一足先に新製品のガムを手渡された。
”プラスX ブルーシトラス”
大正から来たにはサッパリ分からない横文字。
これは・・・・食べ物なんですよね?
物凄く気になります・・しかし商品を試食する訳にはいきませんし・・・
けど味とか分からないのではCMさせて頂く身として失礼な気が・・
うーん、四月一日さんに聞いてみましょう。
「四月一日さん」
「うん?ああか、どうしたんだい?」
「あの、私田舎から出て来たので・・その・・・」
「まさか食べた事ないのかい?」
「はい、そのまさかなんです!なので試食とかさせて頂けませんか?」
「しっかしそんなに田舎なのかい?駄菓子屋さんに売られてなかった?」
偶々歩いて来た四月一日に駆け寄って問うと、が田舎から来たと思っている(まあ強ち間違いとも言えない)四月一日は
疑問に思いながらも試食用のガムが休憩コーナーにある事をに教えた。
駄菓子屋さんはありましたけど、明らかに売り物が違いますから!!
内心で突っ込みを入れつつ休憩コーナーを目指す。
撮影が始まる前にと早足で辿り着いた休憩コーナー
其処には既に人影があった、意外な組み合わせの赤西と田口の姿だ。
「あれ?も休憩??」(田
「あ、いえ・・新商品を少し試食させて貰おうかなと」
「は?試食?」(赤
「ちょっと待ってごめん、残りはこれだけだった」(田
えー・・・・・一足遅かったのですね・・・orz
と落ち込んだら、思わぬ言葉が飛び込んで来ました。
「其処で落ち込むなよ、何ならこれやる――」(赤
「最後の一粒だけどにあげる!ほら、あーん」(田
「ぶっ!!?おいコラ田口ぃ!!」(赤
いやもう驚いたと言うよりもブッ飛んだ←
しかし『あーん』の意味が分からないは、赤西のリアクションにキョトンとしている。
其処お前のリアクション薄すぎるだろ!!
誰だって『あーん』とか言われたら分かるモンだっつーの!
分かってないのか何なのか、は素直に口を開ける。
思いっきり噴き出した赤西も数秒硬直していたが、ハッと我に返ると
ガタッと立ち上がって田口の手から粒のガムを奪い取った。
「わっ!ちょっと赤西君何すんの!」(田
「俺に言わせりゃお前が何やってんのって話だよ」(赤
「????」
「お前もお前だ、野郎にあーんとかされてキモくねぇの?」(赤
「いやあのその・・『あーん』とは?」
「ぶっ!!つーかそれも知らねぇのかよどんだけ〜」(赤
「て言うか赤西君、野郎同士なんだからムキになって止めなくてもいいのに〜」(田
くそ、確かに何で止めたんだ俺・・
別にただのじゃれ合いみたいなもんじゃん?なのに・・・・
「――だぁらそれは」(赤
「そっか赤西君も『あーん』で食べたかったんでしょ?」(田
「ばっ」(赤
バカかぁあああ!!!!!!!!!!!
怒髪天が起きました!
赤西さんの目が怒りに燃えてます!!
しかしそんな赤西さんの怒りを諸共せずにかわす田口さんも突き抜けてますね!!(何が
でもですね、試食が目的で来た事ですし先ずは試食を・・・・・
後で『あーん』について聞いてみましょう(誰に聞くつもりだよ)
取り敢えずガムを手に乱闘しそうな赤西の方へ近づき
ちょっと遠慮がちにその腕を取り、赤西が驚いて固まってる隙に手にしていたガムを取ると
二人が見ている前でそのガムを口に放り込んだ。
ガムを貰う為とはいえ、殿方の腕に触ってしまいました!
(それ以前に抱き着いてるだろ)
心臓がドキドキしてます、どうしてでしょう。
「お、美味しいです!歯応えもありますし、とても爽やかな後味ですね!!」
「いててて、そうでしょ?新発売なんだよ〜」(田
胸のドキドキを誤魔化す意味合いもあるが、初めて味わったガムの感想を笑顔で素直に声にした。
すると関節技をくらっていた田口が反応して嬉しそうに頷く。
不覚にもその笑顔にドキッとしてしまった奴が一人。
てか何でまた野郎の笑顔にドキッとかしてんだよ俺。
そうです赤西です。
思わず田口の首に関節技をかけていた腕が緩んでしまった。
最近起きている自身の心の変化に正直赤西は戸惑っている。
理由は簡単だ、は男なのだから。
誰かに似てる気がするが・・・目の前にいるは確かに男。
あーーーーもうーーーっ!!!(注:赤西です
何かおっかしいや俺!そっち系の趣味とかないはずなんですけど〜
大体コイツ色々知らなさすぎだろ、そうだそれが悪い!
他の所はストイックなくせに、その辺抜けてるんだよ。
色んな意味で隙がありすぎ!
赤西が一人悶々とする中、そんなの関係ないとばかりにCM撮影は幕を開けるのでした。