梅雨入り前の晴れた日、コンビニに行き
おむすびと飲み物、チンするだけのおかず。
それともう1本の飲み物も買って帰宅した。

帰宅した部屋は市内のアパート。
家賃は普通かな、徒歩圏内にコンビニもある

ただ駅からはかなり離れてるかな
でもその分静かで快適だ。

❄「小腹空いた~おむすびだけ食べちゃえ」

室内は静かで、多分まだ出かけてるんかな。
私は相手の分の飲み物を冷蔵庫に入れ
リビングのソファーに腰掛け袋をゴソゴソ。

取り出したのは買ってきたばかりのおむすび
新発売の焼肉ビビンバのおむすびだ。

凄く辛いのは苦手だが、ビビンバは好き。
切り口を切り、おむすびにかぶりつく
やべぇ美味いわこのおむすび!

まだ昼飯前だから間食はコレだけにしよう。
そんな時、アパートの部屋のインターホンが来客を報せる。

モニターを確認すれば、待っていた同居者だ
外出先から戻って来たのだろう。

❄「おかえりなさい!」

部屋の鍵を解錠し、扉を開けながら出迎えた
私を見て微笑むと"ただいま"と言ってくれる
些細なやり取りだが、幸せな気持ちになる。

私の住むアパートに帰って来た彼。
2年前に同居を始めた大好きな彼氏だ。
背は高く、手足も長いしカッコイイ
そんな彼がリビングに入って行く背に私は声を掛ける。

❄「好きな飲み物買っといたよ!」

冷蔵庫に入れてあるから、と言えば
足を止め振り向くと少し怪訝そうな顔で彼は私に言った。

💛「1人で買いに行ったの?」
❄「?うん、だって徒歩圏内にあるし」

何故そう聞いてきたのかは分からないが
田舎だし歩いて行けるなら徒歩のが良いかな
そう考えた故の行動だ。

💛「行くなら俺も一緒に行きたかった」

だが何故か唇を尖らせて拗ねている。
そんな顔も好きなんだよね~(笑)

一応冷蔵庫に向かってくれた照。
また行く時あったら行こうね、と答えれば
くしゃりとした笑顔を見せてくれる。

この笑顔は何度見ても嬉しくなるなぁ・・・
なんかこう胸がぎゅーってなる感じ。
私も嬉しくなっちゃうんだよね、あの笑顔見るとさ。

途中だったおむすびを食べながらも
気付けば自然と表情は笑顔になってる。
因みに照に買ったのは黒糖タピオカラテだ。
冷蔵庫からそれを見つけた照の声が聞こえる

💛「タピオカじゃん!さんきゅ」
❄「ふふふ、喜んでくれてよかった」

一応コンビニもあるが、その少し先には
こじんまりとしたタピオカ屋さんが在る。
土地だけは数有る田舎、店も広い。

タピオカ好きな客が立ち寄る為
田舎の割に活気ある店内だったな

よく冷えたタピオカを嬉しそうに手にした照
ニコニコとご機嫌な様子は保護案件間違いないだろうまあ私が既に保護済みです。

💛「んまぁい~は何食ってんの?」

ちゃんと隣に座り幸せそうな顔でタピってた照
今度は私が食べてるおむすびに興味を示したのか聞いてきた。

照を見たらストローを口に含んだまま。
聞いたら聞いたでタピオカを吸い込む事に集中してしまったが質問には答えてあげた。

❄「新発売の『焼肉ビビンバ』おむすび」
💛「へぇ~それって辛い?」
❄「どうだろ、ビビンバだけどおむすびだし辛さはあまり感じないよ」
💛「ふーん」

一応興味があるのか、チラチラ横目で見てる
残り僅かなおむすびの中身を見えるように
照の方へ傾けてやりながら食リポした

キムチが好きならこれも好きな味だと思う。
は辛い物も多少ならイケる口だ。
照は見た通り甘党なので、辛味のあるものを好んで食べてるのは見た事がない。

兎に角女子が好む食べ物をよく食べてるね。
私は逆に甘い物が苦手でコーヒーゼリーすら
途中気持ち悪くなってしまい止められた。

生クリームもダメでショートケーキは無理。
子供の頃は食べれたがいつからか苦手に。

まあ兎に角味の好みが正反対。
でもお菓子のアーモンドチョコとかはイケる
ビター系なチョコとかチョコレートケーキも1つなら食べれる。

照とはチョコレート系の食べ物をシェアしたり
ケーキを買うならチョコレートケーキ。
少しでも合う部分があるから良かった。

私の説明をふむふむと聞いてくれてた照。
辛味を気にしたのか1口ちょーだい?とは言ってこなかった(分かりやすいな)。
普段は口癖のように言ってくるだけに笑えた

💛「あれお前飲み物は?」
❄「買ったよ?ミネラルウォーター」
💛「ホント好きだなミネラルウォーターとか」
❄「お茶も好きだけど味が変わっちゃうからさ自然と水ばかり買っちゃう(笑)」
💛「なるほどね、じゃあ昼メシ食べた?」
❄「まだかな、おむすびとおかずは買ったよ」

こっそり見ていたら照が私を振り向いた。
やっぱおむすび食べてみたかったのかな?

しかし聞いてきたのは飲み物の事。
タピオカを自分に買い、私は買わなかったのかと気にしてくれたようだ。

💛「俺もまだだから何か作るか」
❄「良いね、何が食べたい?」

買い出ししてないからある材料で作れるやつになるけどと言いながら照を見たら
少し考えるそぶりをしたが、何か作るかと言い照も私を見ている。

何だろう?と首を傾げた
私を見ていた照、間を取ってから口を開いた

💛「さっきのおにぎり美味かった?」
❄「あれ、やっぱり味見したかったんだ?」
💛「美味そうに食ってるからさ」
❄「それじゃあまた買いに行く?」
💛「いや、俺はこっち味見するからいいや」
❄「――え・・・」

やっぱり聞いてきたのはおむすびの事。
さっきから見て来たのは聞こうとしてたのね

ならお昼もコンビニのそれで良いよ?
と答えたが、味見をするだけで良いと言った
味見と言ってももうおむすびは食べてしまったはず

味見とは?ってな感じで照を見たのと同時に
私の顔に影が差し、ふわりと香る匂い。

ああ、この匂いは照だ。

照だと感じた後ザラっとした温かい感触が
私の頬を舐めて行くのを感じた。

💛「んー、少し辛いけど美味いな」
❄「も、もうちょっと普通に味見してよ」
💛「なに、照れた?可愛い」
❄「私よりタピってる照のが可愛いよ」

吃驚してる間に離れた照の顔が見える。
味見と称した照はどうやら私の頬に付いてた米粒を舐め取って味見をしたらしい。

めっちゃドキドキさせられてしまった!
なんか悔しくてタピってる照の可愛さで反撃
実際タピってる照は可愛いからね。
保護したくなるくらいには可愛いよ

って言ったら目の前の照がムスッとなり
私の目より下限を伏し目で見ながら囁く。

💛「腹立つから追加の味見な」

拗ねた口調で言うと私の顎を掴み振り向かせると
照は顔を傾け、そのまま私に口付けた。

しかも深いキス。

巧みに口を割らせると絡み付いてくる照の熱い舌に
私の舌は難なく絡め取られ吸われた。

深いキスに息が上がる頃、漸く照は私を解放
目の前で気だるげに笑う様はエロい。
肩で息する私にニヤリと意地悪く照が言った

💛「これでも可愛いって言える?」
❄「・・・ま、参りました」
💛「ははっ顔真っ赤マジ可愛い」
❄「照のせいでしょ、何アレ恥ずかしすぎ」
💛「が煽るからこのまま食べたくなっちゃったな」
❄「私は悪くないもん、てか、何を?」
💛「とぼけてる?決まってるじゃん」

傍から見たらバカップルみたいな甘いやり取りを繰り広げる私と照。
まだ昼飯前なのにまだ間食?
てな意味合いで照を見たらなんか熱っぽい目で私を見つめていた。

あ、え、まさか?
と察した時には既に腕を引かれ

💛「俺が食べたいのは、お前な?」

そう笑う照の掠れた声が聞こえた。



おにぎり.Fin


オマケ

💛「は何で『おむすび』って言うん?」

純粋に気になった照。
ベッドの中からに問いかけた。
『おむすび』と『おにぎり』どう違うのか。

❄「握り方の違いで言い方が違うんだよ」
💛「へぇ、俺が言った『おにぎり』は?」
❄「『おにぎり』は握り飯が由来、形は何でもいいやつかな」
💛「そうなんだ『おむすび』は?」
❄「神様の力を授かる為に米を山型にした事が由来で形は三角じゃないとダメ。」
💛「へぇ~詳しいなぁ阿部みたい(笑)」
❄「(笑)後は私なりの解釈で、縁を結ぶってな意味で『おむすび』のが好きかな」
💛「お前可愛いな、俺今日それしか言ってないわ」

照れくさそうに笑うを見てから
そっと肩を抱き寄せ、優しくまたキスをする

もっともっと君が欲しくなった。