お帰りなさいませ
あの物音以外音は聞こえてこない。
かと言っても安心は出来ないわ・・・・
女の一人暮らし程 怖い物はないのよっ
と意気込んで仕切りのドアを開けると・・・・
先ず目に入ったのは、落ちている写真立て。
中に入ってるのは祖母と撮った写真。
これを撮った数日後に祖母はこの世を去った・・
この写真が落ちてたのって意味とかあるのかなあ。
写真を眺めてからそっと元の場所に戻す・・・・・・・
んん????
これは尻尾ですかね先生(誰
ふと視界に入った灰色の尻尾。
え、猫?どっかから紛れ込んだのかな?
ふわふわの尻尾を眺めつつ、立ち上がって覗き込めば
何処か慌てた感じで身を隠そうとしてる猫と目が合う。
ってかこれロシアンブルーだよね?
「可愛いーーーっwwww」
さっきまでおっかなびっくりだったくせに猫だと分かるや否
ガシッとロシアンブルーを抱き上げて抱き締める。
そしてそれを見ていた他メンバーは、声にならない悲鳴を上げていた。
先ずは聖が見つかった事、やっぱあの音のせいで一番に見つかりやがった・・・
しかし問題はその後だな。何か綺麗な女の人に抱き締められてるし!!!!
抱き締められ頬ずりまでされて、顔がニヤケてる聖を物陰から亀梨達が睨み付ける。
大っぴらに出て行けない為睨むしか出来ないのがちょっと歯痒い。
しかしどうするか・・聖は見つかっちまったしなあ
思案する亀梨、その横でソファーの下に居た赤西は
聖猫をあやす女性の耳を見て驚き、勢い良くソファーの下に頭をぶつけた。
だっだってあのあれ!!←何語
痛さも忘れて声にならない弁解を睨んでる上田にしている赤西。
しかし残念ながらさっきの音が聞こえており・・・・
「きゃーーーww此処には黒猫さんとチンチラがいる!!?」
『ギャーーーーー』
『って言うか何でこんな猫が隠れてるのかとか考えろよ〜』
「何か和む〜・・・・」
『いや、今は和む所違うだろ』
ズリズリとソファーの下から引きずり出される赤西の悲鳴。
同じく引きずり出され、むぎゅーっと抱き締められながら冷静な突っ込みを入れてるのは上田。
それを見て更に突っ込んでるのは雑誌入れに隠れている亀梨。
何とも暢気な家主さんらしい・・・・
って言うか赤西は何で驚いてたんだろ?
雑誌入れから少しだけ顔を覗かせ、家主の女性を観察。
聖は膝に乗せて赤西と上田を撫でたり抱き締めたりしている様子。
改めて見ると、物凄く美人な人。
黒髪と花魁みたいな目元のメイクで色白。
細くてスタイルもいい、しかもスゲーお洒落。
アクセサリーは控え目で、シンプルだけど目を引く耳飾り。
うん?耳飾り?・・・・・あぁぁああああ!!!!!!!!!!
視線が女性の耳で揺れるソレに縫い止められた瞬間。
亀梨も赤西並みに驚いてしまい、立ち上がって雑誌入れの淵に前足を乗せていた為
その乗せていた前足がずり落ち、体勢が前へ傾いた。
ガターン!!
と派手な音を響かせ、雑誌入れごと前へ倒れ込んだ亀梨。
勿論家主と先に見つかっていた赤西達の視線を釘付けにした。
「こんなとこにもいたの?しかもアメショー・・・・・」
『てめぇバカ、何見つかってんだよっ』
『バカはお前らだろっ』
「コラコラ、喧嘩しないの」
『は、はーい・・・・』
『すまんせん』
『ごめんなさい』
『・・・はぃ』
亀梨まで見つかった事に赤西が指摘すれば、返す言葉で指摘し返す亀梨。
そのやり取りは勿論家主であるには、ニャア、ニャー!とかにしか聞こえていない。
なので喧嘩してるのかと勘違いされて諌められる亀梨ら。
順繰りにしょんぼりして項垂れる様が、猛烈に可愛くては四匹を撫で回した。
それをちょっと羨ましそうに眺めているのは、テーブルの下にいる中丸と
カーテンの裏に隠れたままの田口。
何て言うか寧ろもう見つかってしまえばいいのではと思う中丸。
この家主さんなら猫が六匹いても怒りはしないような気がしてきた。
出ようか出まいか悩んでいる中丸達はさて置き
撫でられながらも亀梨の目は家主の耳元を見つめていた。
上田を撫でている家主の耳で揺れるソレ、猫になったおかげか視力が増しているのでよく見えた。
シルバー製の造り、そしてアクセントになっているホワイトパール。
石の色は違うが仕様は同じだな・・・・・
そしての方も徐々に気付いた。
黒猫の尻尾にある指輪と、アメショーの首に下げられているネックレスに。
私の部屋にはアクセとかあんまないから私のじゃない。
となると誰の?何処かの家に入って持って来ちゃったとか?
まさか、と思いつつアメショーのネックレスを手に取る。
仕様はシンプルその物で、蒼玉の石が付いた物。
ターコイズにも似てるし瑠璃?でも通用しそうだけども
どっちかと言えば・・・・サファイアみたいな
続いては黒猫の尻尾に嵌ってる指輪を緩めて抜いてみた。
眼下で黒猫さんが少し焦ったようにも見えたけどスルーして指輪をチェック。
こっちは私の耳飾りと似た造りだなあ・・・
シルバーでクリスタルが嵌められた指輪。
何で猫が持ってるのかは触れないでおこう←
「そう言えば何処から来たの?四匹はお友達?って聞いても分からないよね・・」
『えーと俺達は・・・』
『って言うか猫の姿じゃ説明出来なくね?』
『まあそうだけどさー・・俺らもどうしたら戻れるのかわかんねぇし』
「あれ?まだ二匹もいたんだねー」
『は!?』
『何自分から出て来てんだよ中丸ーっ』
『田口も出てきたら全員じゃんか』
の問い掛けには猫である限り答えられないもどかしさ。
すると其処に中丸と田口を発見した家主の声。
どうやら自ら姿を見せたらしい。
当然これには講義する赤西と上田。
はあー・・説明出来るチャンスとかないんかなー・・・・
真剣に思い悩む亀梨ら六人。
彼等が実は人間で、アイドルだとは思いもしてない
全く別の事を考えていた。
時間は16時を回っていた事に気づく。
あれから二時間も経ってたのか〜・・・・ちょっと小腹が空く頃だよね。
そう思って猫達を眺める。
猫もお腹空くよね?でもキャットフードないな。
うーん買って来るべきかも?
「取り敢えずお腹空いてる?」
『あー・・そういやあ朝から何も食ってないや』
『メシまで世話になるのって申しをないよな』
『けどこの姿じゃ自分らでメシ作れないぜ?』
『結局は世話になるしかねぇよ』
『だな、頼もうぜ』
『食べます!』
家主の言葉は分かる為、相談してからお世話になる事を決意。
代表して亀梨が家主を見上げて鳴いた。
幸いその仕草を肯定と受け取り、は財布を手にして玄関へ。
いい人だなあーと言う目線を全員で向ける中、上田はある事に気付いた。
『ちょっと待った』
『あんだよ』
『今、家主さんは俺らを見て腹減ってないか聞いたんだよね?』
『当たり前だろそれは』
『今俺らって、猫だよね?』
『何でかしらんけどそうだな』
『あ!!!』
上田が言わんとしている事に気付いた赤西が声を張り上げ
玄関へと走り、靴を履いていたの背中に飛びついた。
一方靴を履いていた、軽い衝撃を背中に感じて振り向いた。
すると其処には行かせまいと必死にしがみ付いている黒猫の姿が。
かっ・・・・かわいぃぃいいいいwwwwwwwwww
爪を服に引っ掛けて引き止めてる姿に猛烈に悶えた。
振り向かせる事に成功した赤西は、何とか意思を疎通させようと必死に鳴いた。
ニャー!ニャニャーッ!としか聞こえないは何だろうと首を傾げる。
「キャットフードでいいんだよね?」
『いやっそれは食えないからっ』(ニャーッ!ニャニャッ)
「あれ、嫌いだとか?じゃあまぐろ缶は?」
『まぐろはまぐろでも猫缶のはちょっと・・・・昔食ったら美味かったけど今は無理っしょ』
さり気に爆弾発言をかました赤西。
あー、とかうー、とか呻きつつどうした物かと悩む。
そんな時、亀梨はさっき自分が倒した雑誌入れから
グルメ雑誌を発見、何とか持って行こうと試みて口に銜えてみる。
しかしどうにも上手く運べず、このままでは猫缶かキャットフードの道を進む羽目になると言う危機を迎えた。