お風呂ハプニング



※舘さんはうっすらが女の子なのでは?
と感じ始めています。

時刻は夜の22時。
シェアハウスには宮舘と翔太に深澤
それからの4人が在宅している。

残り2人、照と佐久間は仕事で不在だ。
これはお風呂に入るチャンスでは?
そう気付いた、すぐさま支度を開始。

不在の2人が来る前にと早歩きで向かった。
今2階の洗面所兼脱衣場を使ってる兄は居ない。

🌕「よし」

安心して扉を開け、中に入る。
洗面所を少し奥に行くと脱衣場があり
左側のラックには編みかごが6つ。

対して右側にあるラックが用だ。
その籠にバスタオルや小さいタオルと
出た後に着る服と着替えを入れる。

鍵も今度こそ閉め忘れないようにしなきゃね
と上から脱ごうとして扉を確認した。

両腕だけ脱ぎ、ジャージを肩に乗せたまま
洗面所を抜けて扉の前まで行き
鍵を掛けようとした瞬間、タッチの差で開いた。

🌕「っ!」

内開きの扉が自分へと向かって来た為
吃驚して声が出そうになった

そのの肩を押すようにして一緒に人影が入って来た。
連れ込まれるような感覚に肝が冷える。
不審者だったら?と想像してしまった

しかし、怯えながらもが相手を確認すると
意外な人物が心配そうに見ていた。

あ、とが気付くと自らの唇に人差し指をあて
形のいい唇を"しーっ"の形にした後
押し込むように入ったせいで間近な距離のまま息を吐くように言った。

「驚かせてごめん」
🌕「いえ、その、俺もごめんなさい」
「ううん」

目の前に居たのは宮舘。
仕草も動作も上品で、つい見つめてしまった

めっちゃ近い。
何気に宮舘さんも肌綺麗ですよね?
10cm下からジッと眺めてしまう

そんな視線に気付いた宮舘と目が合った。
クスッと笑うと目を細めて一言。

「可愛いね」

えぇっ!!
目を合わせた状態でそんな事言われたら
照れる以外なくないか!?

間近で見る宮舘さんはいい香りがした。
そう言えば何か用事があったのかな?
ふと気になったのでその場で聞いてみた。

🌕「此処に用事でしたか?」
「・・・ああ、歯を磨きに」

一瞬だけ間があったが良い声で答えてくれた

🌕「それじゃあ使って下さい!」
「いや、くんが出た後で良いよ」
🌕「そうですか?」
「身体を冷やすのは良くないからね」

急ぎならと申し出たが、やんわりと返された
さすが貴族舘様・・・!

それならばと宮舘に一礼し
脱衣場へ戻ろうと踵を返したのと同時に
ちょっと待って、という声と共に腕を引かれた。

優しい力だが簡単に引き戻された
ポスっと背中から宮舘の胸元に寄りかかった

途端に宮舘の香りに包まれる。
ごめんなさいと身体を起こしたら肩を引き戻された。

???頭にハテナが沢山並んだ
取り敢えず今の状況が飲み込めない。
背中に宮舘の体温を感じるのだけは分かる。

吃驚して固まったに小さく笑むと
耳元に唇を寄せて、宮舘は囁いた。

「そんな格好で彷徨いたらダメだよくん」
🌕「へっ・・・?」
「君は普通にしてても目を惹くんだから」
🌕「・・・そうなんですか?」

宮舘がどんな顔で言ってるのかは見えないし
何故そんな風に言うのかが分からない。
寧ろ今男として生活してるのだ。

何かに気を付ければ良いのね?
噛み砕いて考えてみたが分からない(笑)

そればかりか見えてないはずの
艶っぽい宮舘の目を想像してしまい
何だかドキドキして来た

一方の宮舘はジッとを眺めていた。
隠そうとしてるけど骨格が明らかに違うね
性別を偽ってまで此処に来たという事は

相当な強い意思があるんだと思う。
けど、危なっかしいからねは・・・

気付かれてないと思ってる当たりがまた、ね
多分佐久間と翔太以外は・・・
特に阿部は知ってると思う。

照は気付いてないかもしれないが
明らかにを見る目が変わって来た。
ふっかは・・・今の所読めないかな・・・

耳元で話しただけで赤くなってるのが分かる
隙だらけの首筋、細い肩。

辛い暮らしや環境にも負けず
突き進んで来た末っ子は見てて眩しくもあり
また時に儚く見える。

そんなを、宮舘は放っておけなかった。
外見も然る事乍ら、人としても他を惹き付けて止まない
宮舘としてはもう少し見守ろうかと考えている。

ただ、ちゃんと自分の存在をに印象付けるのは忘れない。
後ろからの右腕にそっと触れ、手首を握り
下から掬い上げるように曲げさせた。

掬い上げた右腕の内側に痣を発見。
ビクッと体を揺らしたを後ろから見つめ
あくまで優しく聞いた。

「この痣、どうしたの?」
🌕「痣・・・?あれ、いつぶつけたんだろ」
「痕が残ったら大変だよ、ちゃんと処置しよう?」
🌕「は、はいっ」

柔らかな腕に触れながら囁けば
またが顔を赤らめるのが分かる。
素直すぎて心配になるね・・・

お風呂から出たら湿布貼ろうか、と告げ
スっと離れる宮舘。

急に熱が離れ、忘れていた寒さを感じた。
春だけどまだ寒い日もある。
宮舘が立ち去るまでの間だけ、また袖に腕を通した。

「じゃあ俺は部屋に居るね」
🌕「は、はい!出たら教えます」
「慌てなくていいからちゃんと温まるんだよ?」
🌕「はーい」

服を着直した様子を満足そうに眺め
素直に返事したの頭を撫でる。
それから漸く扉を開けに背を向けた宮舘。

妙に胸がドキドキさせられた
少しホッとした顔でその背を見ていたら
急に宮舘が此方を振り向くと

凄く艶やかに微笑んで、サラッと言った。

「今回は俺だったから良かったけど
  は結構隙だらけだから気をつけるようにね。
  皆が皆、俺みたいに紳士とは限らないから」

じゃあ待ってるよ、と言い終え
颯爽と此処から立ち去った。

し、紳士は後ろから抱き寄せたり
腕を握ったりしません!

宮舘の言葉で一気に真っ赤になった
姿が消えて行った扉に向かって
声にならない反対意見を浴びせていた。

部屋に戻る宮舘は、見掛けた翔太曰く
今まで見た事が無いくらい機嫌が良かったとか?

「見守るのは皆が知らない間だけだよ」

覚悟しててね、と1人宮舘は
口許に妖艶な笑みを作った。

その後風呂から出たを迎えに行き
問答無用で痣の処置をした宮舘でした。


おわり