人魚姫 4



不思議な少女、
見慣れない制服に身を包むも、わったーを知ってて
アカバナの香りも懐かしい言ってる。

うちなーにいた事でもあるんば?
が学校に言ってみたい言ったさー
ついでに永四郎に聞いてみるばよ。

名前聞いてもわんの記憶には引っ掛からなかった。

裕次郎も言ってたけど、こげにちゅらさんば
忘れたくても忘れないんばけど・・・・

わんの横を歩くを盗み見。
身長はわんの胸辺りに、ちらが来る高さ。
軽く10cmは低いさね。

観察するみたいに見ていたら、その隣を歩く裕次郎と目が合う。
・・・って、何や裕次郎もくんひゃー見てたんか
わんと目が合うと、向こうは逸らした。

少し面白くない気がする
無意識に心で感じた。

「あっ、見えて来たね」
「しんけんば、それよりもやー・・体大丈夫なんかー?」
「え?」
「凛の言う通りさー、やーはさっき海で漂流してたんやしー」
「あ、うん・・けどもう平気さー」
「しんけんばいいけど」

何となく無言だった空間に響いた声。
それは凛の隣、から発せられた物。
何かと思って目線を向ければ、比嘉中の校舎だった。

その表情はやっぱり懐かしそうであり、嬉しそうな笑みでちゅらさんだった。
って、わんそればっかり思ってるやっしー・・・・
それにしても目だって覚めたばっかりで平気なんだろうか?

思ったままを聞いてみると、同意して来た裕次郎も同じように聞いてる。
わったー同じ事ば思ってたみたいば〜

問い掛けに大丈夫だと答えた彼女。
まあ顔色も良さそうだし、と結論付けた。
取り敢えず目的は永四郎に話ばする事、校内よりもコートへ向かう事に。

「二人は部活は何にしたば?」
「やーは知らないんば?わんも裕次郎もテニス部ばよ」
「そうなんだ、今日は部活行かないの?」
「まあ・・・・もうそろそろ行っても平気――」

「平古場君に甲斐君、授業サボって何処に行ってたんです?」
「「永四郎!?」」

向かう先が校舎じゃないと気づいたからの問い。
どうやらわったーがテニス部って知らんうちに来られなくなったみたいさね・・
時計を見た裕次郎、そろそろ行っても平気かと思った矢先にそれは聞こえてきた。

明らかに怒ってそうなトーンの声。
言わずとも知れる・・・部長の声だ・・・・
いつの間に近くに来ていたのか、見た先には腕組みをして仁王立ちしている木手。

鋭い視線は凛と裕次郎に向けられ、それから木手は第三者に気付いた。
二人の背に隠されるようにして立っている気配。

うちなーのてぃーだに照らされた立ち姿が、何故か儚く見える。
本人が自ら凛の後ろより姿を覗かせると、木手の脳裏にあるフラッシュバックが。

それは二年前のニュースと新聞の記事。
本人だとするならば・・・・これはまた・・・・・・
どうもしっくり来ませんねぇ・・その服装といい・・・雰囲気といい・・・・

この違和感は、何なのでしょう?

腕組みをしたまま険しくなった木手の表情。
それはわんと裕次郎に向けた物じゃない
驚いたような永四郎の目は、へ向けられていた。

永四郎も何か感じたんだろうか
を見た木手の目から凛は似た物を感じ取った。
同じ『違和感』を―――

「で、お二人は授業をサボって彼女とデートでもしていたんですか?」
「で!?デート?違うって」
「あーうーん・・・・これは説明し辛いんばよ」
「デートをしていたからでしょう?・・全く困ったものですねえ・・・」
「あっあの、違うんです」
「?」
「お二人は・・私を助けてくれただけだから・・・」

木手の目に浮かんでいた探るような色は消え
再び此方を見て眉間に皺を寄せた。

永四郎しつこいやっしー・・・・
デートとか疑われて裕次郎が慌ててるやんに
それこそ永四郎の思う壺さー

だがその問いに答えたのはわんでも裕次郎でもなく
線の細い・・折れそうなほどに華奢なだった。

が語る理由に、再び木手は探るような鋭い目になり
話を聞き終わる頃には先程の予感が確信へと変わるのを感じていた。
それこそ自分が予想し始めていた通りの確信を。

これは・・・・直接確かめに行く必要があるみたいですね。
甲斐と凛に囲まれた少女を眺めながら、一人水面下で木手は思考を巡らせた。
きっと職員の誰かが知っているかもしれない、そう推理した木手は彼等にこう告げた。

「少し職員室へ行ってきます、この場は任せましたよ?」
「職員室になんか何のようがあるんよ?」
「一応あの人も顧問ですからね・・今日のメニューを聞きに行ってきます」
「ああ〜・・・そう言う事なら任せたさー」
「それでは失礼しますよ」
「・・・・・・・・」
「・・・・君も、あまり遅くならないうちに帰った方がいい」
「―――っ」

意図を汲ませないよう適当な理由を作り、職員室へ向かう。
進行方向にいた彼女と目が合った。
少し怯えたような、それでいて意思の宿った強い瞳。

気取られては意味がない。
木手はに己の意図を匂わせない言葉を向けた。
匂わせないとは言え、知略に優れた者なら遠まわしでも気付くだろう。

この言葉に秘められし意味を。

木手が立ち去った後、取り敢えず手持ち無沙汰になった三人。
結局こん子の事も詳しく聞けなかったやー・・・・
・・寧ろ聞けなくて良かったのかもしれないさー・・・と密かに凛は思っていた。

一方でも、あの擦れ違い様の木手の視線に胸騒ぎを覚えた。
初めて顔を合わせた時も見せた、あの探るような瞳。
見透かされてしまうのではないかと、体が震えた。

あの後折角凛君達が、部活の様子を見せてくれたりしたのに
どうにも上の空になってしまった。

嫌な予感がするんだ・・・・
知られてしまいそうで、木手君と言う人はカンが鋭そうな印象を受けたから・・
止めなくてはいけないと、私は感じていた。



久し振り過ぎてうちなーぐうちが忘れ気味( ゚Д゚)
どうか大目に見てやって下さい><