猫の気持ち



(カメ)『どうだった?』
(聖) 『そうだなあ・・・・は多分俺達にいわねぇ事とかあると思うぜ?』
(中丸)『まあそうかもな、まだ知り合ってそんな経ってないし』
(田口)『多少は警戒とかしてるんだろうねぇ』
(上田)『さん美人だしなー・・』
(カメ)『いや、其処は関係なくね?』

赤西達がゴミ捨てに行った後の猫達の会話。
空き部屋のと一緒にいた田中は、戻るなり亀梨から問われる。
気にかけてるのは皆同じ。

飼う形だが、自分達に住む所を提供してくれた
亀梨達は心から感謝している。

そんなもまだ自分達に言わない何かがある。
誰しも胸の内にしまってある事はあるだろうから
亀梨達も詮索はしない。見守って、本当にが助けを求めた時は全力で力になろうと決めている。

猫でいる限り難しいけど、皆気持ちは同じだ。
時計をチラッと見れば、そろそろ六時間が経とうとしている。
独自に考え出したリミットだけど、目安としては役立った。

そろそろ二人も戻るだろう頃。
ふと嫌な感じを亀梨は感知した。

動物になってるからか?気配に敏感になってる感じだ。
嫌な何かは玄関方面から・・・・

(上田)『カメ?』

問う声を背中で流して亀梨は玄関へ。
近づくにつれて、その気配は洗濯場からも感じる。

何だろう、この粘っこい感覚。
密度を増すようにその気配は色濃くなっていく。
やがてドアに近づくと赤西の気配。

指紋承認とパスワードを入力する音・・
施錠が解除され、ドアが開かれる―――――

「ニャーーーーーッ!!」
「えっ?」
!!」

色濃くなり形を成した水気。
それはドアが開くなり、狙い済ましたかのようにへ魔手を伸ばす。

開けるな!と叫んだが亀梨の声は動物の物にしかならない。
が、代わりに赤西が危険を知らせると
を抱き締めるようにして庇い、身を伏せた。

それさえ構わずその水気は広がって、赤西共々飲み込もうとした。
思わず二人の前に飛び出した亀梨の体が、水気に触れた瞬間。
首に揺れていた蒼玉の石から、眩い光が放たれる。

【ギャアアッ!!クソ・・マサカ、須佐乃男ノ神器マデアルトハ・・・】

その光を受けた水気から苦悶の声が漏れ
またも聞きなれない言葉を残し、それは胡散した。

庇った亀梨は気を失ったのか、伏せていた二人の前に飛ばされる。
ドサッと倒れた音に、ハッと庇われたが気付き
赤西も他の猫達も玄関へ駆けつけた。

「和也!!!」
「おいカメ!!??」

ぐったりした亀梨の体を抱えるに倣い、同じく近寄って名前を叫ぶ赤西。
二人の足元には駆けつけた猫達。
に抱えられた亀梨は、ぐったりしていて反応がない。

あの水気は何だったのか。
それよりもは、外で自分に襲い掛かった気配と同じだった事に恐怖を感じ
ついに家の中にも?と言う新たな恐怖に襲われた。

私を庇って和也が・・・・・
私が・・っ、彼等と関わったせいだ。

此処なら、此処だけは安全だと思ってた私の油断が招いたんだ・・・
抱き締めた和也は水に濡れていて冷たい。
命まで奪わせる訳には行かない。

この指輪も、彼らの命も・・・
何一つ渡さない!!
ギュッと抱き締めている所へ田口と中丸がバスタオルを持って来た。

それを受け取り、亀梨の体を包んで抱き締める。
赤西は咄嗟に風呂場へと向かい、慣れた手つきでボタンを操作してお湯を沸かしだす。

給湯器からお湯が出され、湯を張り始める。
其処に亀梨を抱えてが風呂場へ行き、適温に沸かされた風呂へゆっくり支えながら浸からせた。

「ごめん和也・・っ・・・私のせいだ・・・・」
「お前のせいじゃねぇだろ・・」
「ううん・・・私の・・・・せいなの・・っ」
・・・・・?」

色々な不安が脳裏を巡り、声は震えて視界が滲んだ。
もし目が覚めなかったら?
不安と恐怖で思考が混乱しているを赤西も責めないように声を掛ける。

だがにはその言葉が届いておらず
崩れそうな心と戦っていた。

支えてる亀梨の体は徐々に温まってくる。
それが少し安心を与えてくれた。
後は目を覚ましてくれるかどうか・・・・・

風呂場に全員が集合し、行く末を見守る。
しかしほぼ全員が別の疑問にも向き合っていた。
に襲い掛かろうとしていたあのジメジメした気配は?

網みたいに横に広がって、赤西共々襲おうとしていたアレ。
亀梨は何らかの痛手を受けたのだろうか?

皆が様子を見守る中、湯船の中のアメショー亀梨が目を覚ましそうになったその時
まさかの事態が起きた。突然モワッと煙が亀梨を包んだと思った直後

「わっ」
「!?」
「え」

猫から風呂場の中で亀梨は人間に戻った。
まさかの事態に泣きそうだったも目が点になる。

ぐったりしてた猫の姿の代わりに
目の前にはこの前着てた服のまま浴槽に座っている亀梨が。
これには赤西も、人に戻った亀梨自身も呆気にとられている。

それは集まっていた猫達も同じで、一斉に誰もが声をなくした。
一番に言葉を発したのは人に戻ったばかりの亀梨。
集まった面々に向かって一言発した。

「あれ、えっと・・・・戻れた?」
「・・・・・・」
?」
「・・・・ば」
「ば?」
「ばかぁああっ心配したんだからっ!」
「わっ・・と、うん・・・ごめん」

全くの無傷。
ちょっと照れ笑いした和也の姿にホッとするとの同時に怒りが。

思わず心配したあまりに和也を怒鳴ると
それから思い切り抱き着いた。

吃驚した亀梨だったが、本当に心配させてしまったのだと分かり
微かに震えた体を優しく抱き締め返し、背中をポンポン、と叩いた。
その様子を、赤西も他の上田達も 少し安心した顔で見つめた。