何年経っても
久美子達に遅れる事数十分。
隼人とを待っていた久美子達と合流し、近くの公園へ。
隼人と熊井さんをヤンクミに任せ、はハンカチを濡らしに走った。
ついでに火照る顔を冷やしに・・・・・
お互いに必死で真剣だったから、凄い恥ずかしい事とか言っちゃったんだよ。
置いて行かれたくないってのも本音だし、傍にいたいのも本音。
だけど言わないつもりだったからさ・・・
でも言わなきゃ伝わらないもんな。
納得づけながら水に濡らす。
その水の冷たさが火照った心と体を冷やしてくれる。
正直・・・・ホント、嬉しかったんだ。
隼人が、俺の事大事に思ってくれてるって分かったから。
って言うか・・・・俺、乙女モードになってる!?
こんなの俺のキャラじゃないから!!(問題はキャラじゃないだろ
皆待たせてるし早く戻ろうぜ俺。
水を絞って戻り、先ずは隼人の痛々しい口許の痣にハンカチを当てる
「っつ・・!」
「あ、ごめん」
「痛っ」
「す、すみません;;」
「お前ら少しは我慢しろよ」
布地が擦れたのか分からないけど、小さく呻いて顔を逸らす。
思わず謝ってから、次は隣の熊井さんの額の痣をハンカチで宛がえば
思い切り痛がられた。
そんなに俺下手か、って顔をしたらヤンクミが隣から呆れた声で突っ込む。
ヤンクミの言う通りだっ、男ならもうちょっと我慢しろ。
其処へ仲間達の声が聞こえた。
声の先を見ると、心配そうに駆け寄る竜達の姿。
「隼人!!!」
「隼人お前大丈夫かよ」
「、俺達心配してたんだぜ?」
「何処も怪我ない?」
「ああ、俺は乗り込んでないから安心して」
駆け寄るや否、心配そうにと隼人に声をかける。
タケ達は、今初めてと顔を合わせたので余計心配そうだ。
皆が心配してくれるのが嬉しくて、大丈夫だよと笑って答えた。
そのの笑顔を見て、に怪我がない事と無事だったことを素直に彼等は喜んでくれた。
その場に座った竜やタケ、浩介につっちーと顔を見合せ
俺や隼人が微笑みあう中、遠慮がちに熊井さんがヤンクミへ言った。
「ヤンクミ・・・俺・・・・・」
「クマ、お前は今もあたしの生徒だろ?」
「え?」
「卒業する時お前らが言ってくれたんじゃねぇか、あたしはずっと一生お前らのセンコーだってな」
申し訳なさそうなクマに対し、変らず久美子は接した。
彼等が3年前ヤンクミにくれた言葉を、彼女は今でもちゃんと覚えてた。
寧ろその言葉を誇りに思い、嬉しく感じてるに違いない。
熊井さんも、ヤンクミが自分達の言った言葉を覚えてくれてるのが驚いたらしい。
それでもくすぐったそうに小さく笑った。
こんな先生・・・何処を探しても見つからないだろうな。
自分が受け持った生徒の事をいつまでも案じ、守ろうとするセンコーなんて。
「いつだってあたしは、お前の味方だ。いざって時は力になるから、もう面倒掛けらんねぇなんて寂しい事言うなよ」
「わりぃ、ヤンクミ」
二人の絆が深いものだと感じて、聞き手の俺達も温かい気持ちになる。
ヤンクミはそういうセンコーだったもんな。
こんなセンコーと出会えた俺達は、それを誇りに思わないといけないんだと思う。
これからも、ヤンクミは俺達を導いてくれる気がした。
が感慨深げに見つめれば、熊井さんの頭を撫でて嬉しそうに笑ったヤンクミが
立ち上がって俺達を見る。
「お前らもだ、卒業しても皆あたしの生徒だ。ずっと、一生な・・忘れんなよ?」
「ああ」
「その前にお前ら、ちゃんと卒業しなきゃだな」
「お前が言うなよ」
ヤンクミからの言葉は嬉しい物で、皆自然と笑顔になる。
皆が微笑む中、竜が笑顔で約束した。
久しぶりに見る竜の笑顔、それが見れたのがも嬉しかった。
上手くまとまった処に、ちょっと得意そうな熊井さんの横やりが入る。
それに対して真っ先にヤンクミが突っ込みを入れ、その光景が微笑ましくて皆で笑った。
一通り笑い合った空間。
とても温かくて、これからも無くしたくないものだな。
ヤンクミの一声で全員が立ち上がり、怪我をした隼人と竜が自然と支え合う姿が見れては凄く嬉しくなった。
おんぶしろとせがむ隼人を、素直に背負う竜。
やっぱりツートップはこうでなきゃな!
タケ達は熊井さんを手伝ってるから、俺は自然な流れで隼人を背負う竜を手伝いに行く。
細いのにガタイのいい隼人を背負った竜、は背負われた隼人の背中を支える事にした。
皆が仲がいいのが一番だよな!
□□□
そして翌日。
妙にスッキリした顔をした隼人が教室に現れ、皆が揃うと熊井さんが教室に現れた。
手には二つの出前のケース。
突然の登場に、クラスは沸き立つ。
皆が見守る中机に出されたのは・・・・・
「さあ皆!食ってくれ!」
「いっただきまーす!!」←クラス全員
「あんなに沢山、いいんすか?」
「店を続けられる事になったお祝いだからな」
「近所の人たちの反対で、マンション建設なくなったんだもんな」
「良かったっすね」
「ああ、お前らっ!」
大皿に乗った4皿の餃子、早速タケ達クラスメイトは喜び勇んで餃子を食べ始める。
結構な量に隼人が気遣うが、熊井さんは店が続けられるお祝いだと笑って見せた。
ヤンクミも言ったが、近所の力は偉大だな。
結構な抗議とかがあったのも幸いして、マンション建設の話はなくなったらしい。
嬉しそうな熊井さんに、竜も笑顔で同意すれば嬉しそうな熊井さんに頭を撫でられまくった。
くしゃ混ぜにされた頭のまま、笑顔の熊井さんを見やる2人。
それから熊井さんは俺の処にも来て、隼人達と同じように頭を撫でてくれた。
歩き出した熊井さんは、餃子を頬張ってるタケ達の背中もバシバシと叩いて行く。
一通り眺めた後、意気揚揚とヤンクミが餃子を食べに行くが・・・・・
既に一皿も残っておらず、怒ったヤンクミがクラス中を追いかけ回したのは言うまでもない。
数日後、いつものように六人での登校時。
ヤンクミが3Dに来てからの二日目辺りに、この川原で隼人がタイマンをした。
此処では警官に見つかって出来なかったけどな。
そんな事もあった今では、すっかりクラスもまとまり
皆がヤンクミを信頼するようになった。
団結も強まってきてるしね。
朝日に照らされながらの登校。
前の方ではつっちーと浩介が駆けっ子めいた事をしてる。
その少し後ろには一人で歩く竜の背中。
其処へgoodmorningと言いながら、タケと隼人が合流してきた。
は一番最後に彼等に追いつく。
隼人とタケは何やらご機嫌みたいだ。
それは次の瞬間に分かった。
「約束しちった」
「約束?」
「聞いて驚くな・・本日桃女と合コンでーーーす!」
「合・・コン」
オイ隼人てめぇ・・今何つった?
もうこれは怒るしかねぇだろ、と俺は思った。
―お前が一番大切なんだよ!!―
とか言ってたの誰だ?
この男・・・・懲りてねぇ・・・
選ぶ相手間違ったかも。
ひややかーなの視線には隼人は気付いていない。
俺試されてるのか?とか思ってしまう。
「真希ちゃんに話しつけてもらったんだ」
「おおーでかしたぞタケ」
「おいおい俺もよくやったじゃねぇかよ」
「タケはよくやったぞ」
「竜、お前も参加だからな」
「分かった」
何かすげぇ盛り上がってます。
ちゃっかり竜も行くとか言ってる。
なんじゃそりゃあああーー・・・
ムスッとした顔で盛り上がる五人を眺める。
タケが珍しいじゃん、竜ちゃんが乗り気なんてさーと言えば
ただ座ってりゃいいんだろ?とドライに答える竜。
あの竜がね〜・・・まあ、男同士の付き合いも大切だよな。
何か複雑だなぁ、仮にも俺さ・・隼人にああ言った手前・・・・・
「、お前も竜みたいに座ってるだけでいいからな」
「って俺も行くのかよ、だって俺――」
「俺の気持ちははなから決まってっから、これも付き合いだと思って」
「何コソコソ話してんだよ隼人、は俺と座ってりゃいいんだろ?」
「てめ、竜!は俺の隣りなんです邪魔しないでくだパイ」
どうも会話に混ざれずにいると、不意に腕を引っ張られた。
相手を見ると、それは隼人で何やら囁いて来る。
どうやら気持ちは分かってるみたいだった。
竜みたいに座ってるだけでいいってさ。
付き合いで行くって分かってホッとしてる自分がいる。
やり取りに気づいた竜が、少し笑みを浮かべた顔での肩に腕を回してきた。
相変わらずのエロイ目線で言われ、不意打ちだったせいで胸が大きく高鳴る。
心臓に悪い話掛け方の竜からを絡め捕り、負けじと言い返す此方もエロイ隼人。
やんややんやと賑やかになる登校の道。
それからも輪に入れられ、円陣を組まされ
気合いを入れる達の手にふと別の手が重ねられた。