涙
頭痛・・
頭が痛いのはどうして?
腹痛・・
下半身がダルイ・・・
これは、もしかしなくても・・・生理!?
ガバッと布団をまくれば、お見事。
「汚れてんじゃん」
何てこう突っ込める所が女らしくないよな。
何時か完全に男として生きられそう・・・
いや、今はそれ所じゃねぇ。
は痛むお腹を押さえ、ベッドから起きるとまずはトイレ。
まずったなぁ、あの後確かに来るかなぁって兆しはあったんよ。
だけどこんな早く来るとは・・・。
ショーツは見事に血の海。
腹はいてぇし、頭がぼんやりして眠い。
腰も痛く 下半身がメチャだるい。
こんな日は学校なんか行きたくねぇーなぁ・・・
とも思うが、これしきで休む訳にも行かない。
痛み止めも切れていて、最悪な一日になる。
そう思いつつ、はマンションを出て学校へ向かった。
歩くのが億劫なくらい痛む体と、揺らぐ視界。
授業は寝てよう。
危なげな足取りで歩き、黒銀への門を潜ったを
物影から見ている者がいたが、俺は気づかず教室へ急いだ。
血の気の失せた顔で3Dの教室へ入る。
何時ものように騒がしいクラスで、誰もの顔を気にする者はいない・・・
と思ってたが俺を呼び止める奴がいた。
「・・おまえ、何か血生ぐせぇけど どうした?」
ドキィ!
俺の腕を掴んで 鋭く指摘する竜。
それは生理独特の匂いです!と言いたいが、何とか誤魔化す。
「きっとコレじゃねぇ?朝切っちゃってさ。」
そう言って見せたのは、偶然朝包丁で切った指。
んなわけねぇ〜指の血なんてそんな鼻につく程におわねぇよ。
いかにも怪しい言い訳に、内心竜はそう思うが
此処まで隠す理由があるのか・・と考える事にした。
今一腑に落ちないが、竜はの腕を離す。
ヤケに鋭い竜を、何とか誤魔化せた事にホッと一息。
「 オハヨ〜!」
ヨロヨロしないように勤めて歩く俺を、明るい声が呼ぶ。
重い視線を向ければ、元気よく手を振るタケ。
いいなぁ・・・ホンマモンの男って。
生理の時って体温上がるんだよな・・顔赤くねぇかなぁ。
それを心配しながら、俺は竜の隣から歩き出す。
あいつ・・・足元あぶねぇな、顔も赤かったし。
フラフラ歩く姿を、竜は冷や冷やして見送った。
「よ・・タケ。」
「あれ?何かさ、顔赤くねぇ?」
バッチリ指摘されたよ・・やっぱ赤かったか。
タケの指摘に、隼人とつっちー・浩介の視線も注がれる。
そんなに見んな(怒)。
「風邪か〜?」
「ちょっとあったけーな」
「うーん・・保健室とか行く?」
コラコラ、勝手に額に手ぇ当てて熱はかんな。
とは思うが、体がだるくて払えない。
う・・・立ってるのつれぇ・・・・
つっちー達が好き勝手言ってるのは、筒抜け。
そんな事より、椅子に座らせろ。
腹を押さえるように、前かがみになっていると
「おい、」
え?と顔を上げるより先に、グイッと腕を引かれる。
勢いが良すぎて、一瞬視界が回った。
またしても目の前に隼人のアップ。
「いっ・・!ちょっ隼人、引っ張んなよっ」
腕を掴まれてても、体勢は変わらない。
その様子に、これは本気で体調が悪いんか?と隼人も竜も思い
「おまえさ辛いんなら素直に言えよ」
「は?何言って・・俺、ちょっと寝不足でさ・・・!?」
「バカ」
バレバレだっつーの、辛そうなの。
隼人は内心でベロを出し、を背負うと外に面した窓へ向かう。
「何処行く気だよ!?これから授業だろ!」
「体調が悪い時は、学校なんかくんなって。」
とか言うとつっちー達に行くぞ〜と言い、校庭へと出る。
タケと浩介が久美子を誤魔化す為の人形を用意し
クラスメイトに後を任せ、竜も伴って学校を去った。
隼人に背負われたのは初めてだ。
結構男らしい体つきだなぁ・・って男じゃん。
生理独特の眠気が、揺ら揺らと背に揺られてると襲われる。
「眠ってていいぜ?そんな遠くいかねぇし。」
「そうそう、着いたら起こすからさ。」
ウトウトし始めた事に、竜とタケが気づいて声を掛けて来た。
細かい気遣いが嬉しい。
とゆうか、生理なんて思ってもいないだろうに
自然と弱ってる者に優しく接せられる二人は凄いな・・・
隼人達もそうだけどさ・・・・
二人に頷いてみせ、目を閉じようとした時。
俺の目に、病院が映った。
が担ぎ込まれたトコとは違うが、ちょっと似ている。
回復・・・してきてるだろうか。
もし会えたら、笑って『』って言ってくれるかな。
また、一緒に・・・遊んだり出来るかな。
また・・あの日々は戻るだろうか・・・・
・・・
が眠るまで、隣から見ていた竜とタケ。
二人だけは、悲しそうな目で病院を見上げ
見つめているうちに眠ってしまった様子を眺めていた。
病院に、何かあるんだろうか。
しかし、思った所での事が分かる訳ない。
俺達は コイツから言ってくれるのを待ってる。
背負っていた隼人も、が眠った事は分かった。
背負っていた温もりに加え、背中に新たな温もりを感じたから。
まだ 俺達には知らない部分がある。
『仲間』『絆』どちらも人と関わる上では、重んじる物。
ずっとそれをは言ってきた。
大体は笑顔を見せてくれるようになったが
まだ何か隠してるようで、気になる。
コイツが抱えてる物・・何となくだけど、重いんだろう。
それから公園に着いた。
一面芝生で覆われた所に、竜が学ランを敷き
その上に寝かせたの上に 隼人が学ランを掛けてやる。
芝生に横になってるのは、つっちーと隼人・・竜。
元気なタケと浩介は、持って来ていた凧を持って
公園を走りまわってる。
何だかペットを散歩に連れてきたような気分。
自分達の間に挟むように寝せた。
両サイドの隼人と竜は、それぞれを眺めた。
ほんのり染まった頬、前の開いた学ランから覗くヤケに白い肌。
男にしては柔らかそうな唇・・・
その唇が少し動き、凄く小さな声では呟いた。
「・・・」
響きは、とても辛い感じ。
呟きを聞き取れた隼人と竜は、ジッとを見てハッとした。
「・・」
「コイツ・・・その『』って奴と何かあったんかな」
自分達には聞き覚えの無い名前。
の呼び方からして、かなり親しい関係にあるようだ。
そうゆう感じなのに 呟いた声は悲しさと辛さが混じってて
ふと見たは、眠りながら泣いていた。
驚いたように名を呼ぶ隼人に対し、冷静なコメントを言う竜。
竜の呟きには反応を示さず、隼人はただを見下ろした。
保健室で触れた頬の感触と 柔らかい肢体をリンクせながら。
行き着いた考えがあってたら、俺はどうする?