皆の潤滑油 4
🖤「取り敢えず良かったっす」
💚「目黒もありがとう」
🖤「皆阿部ちゃんに対して過保護っすよね」
一通り話が終わった頃、近くに居た目黒へ
改めてお礼を言ったら返された言葉。
皆が俺に対して過保護・・・・・・?
イマイチ同意はし兼ねる目黒の言葉。
まあ今日は事が事だったからってのもある。
でも俺じゃなかった場合でも皆心配するだろうし・・・、取り敢えず否定。
💚「そう?いつもああだと思うけどな?」
🖤「過保護じゃなかったら途中帰ってますって、特に翔太くんとかふっかさん辺り」
💚「それは確かに言えてる(笑)」
🖤「でしょ?兎に角皆阿部ちゃんに何かあると凄く心配してますよ🙂」
💚「皆平等に心配してると思うけどなぁ」
🖤「まあ本人は分からない事ですし」
と言うだけ言って笑顔で立ち去る目黒。
確かにまあ振り返ると今日の皆は凄く気にかけてくれたと思う。
照なんて横抱きしちゃったりね。
え?俺ってそんな頼りない・・・?
も気負いすぎてたしさ。
もっと体力付けないと頼って貰えないね🤔
照に筋トレ教わろうかな。
とか考えていると、後ろから頭を小突かれた
ぐぃんと頭が揺れたので吃驚した阿部。
それは小突いた側も同じだった。
💙「あっ!ごめん阿部ちゃん😱」
💗「わあ!ナベのバカああ」
♥「大丈夫?!」
💚「・・・っ、吃驚したけど大丈夫」
💙「良かった・・・そのごめん」
💚「大丈夫だって🙂俺も心配掛けたり迷惑掛けたからおあいこだね」
💗「阿部ちゃん~」
慌てた声が後ろから前に移動。
そして判明した小突いた犯人( ˙꒳˙ )
ドキドキしたが、こんなに謝ってる渡辺は滅多に見れないと思ったのと
悪気が無いのも分かっているから許せた。
翔太に向かって微笑んだ後に感じる感触。
ふと見たら腰に佐久間がくっ付いていた(笑)
ギューってくっついてて可愛い。
凄く心配してたんだなってのが伝わってくる
💚「ん?どうしたの佐久間」
💗「すんごい心配したんだよ~」
🧡「確かに佐久間くん、ずっと落ち着かなかったな~」
💚「へえ?そうだったんだ🙂」
💗「バカ言うなよ康二っ」
ゆり組と交代で現れた康二に、自分が知らない間の話をされ顔を赤くする佐久間。
容易に想像出来て笑みが浮かぶ。
💚「ふふ、康二も心配してくれてありがとうね」
🧡「・・・阿部ちゃん🥺」
💚「!?あれ、ごめん康二泣くなって~」
🧡「俺ホンマに心配したんや、治らんかったらどないしよって😭」
軽口は叩いてるが少し元気が無い康二。
気になったから改めて謝っといた。
ら、急に黙った後 大洪水に( ˙꒳˙ )
ボロボロと涙を毀す康二を見たら胸がギュッと締め付けられ、もらい泣きしそうに。
ホントに心配してくれてたんだなあと嬉しくなった。
💗「康二落ち着け俺まで泣いちゃう」
🧡「うわーんさっくん~😭」
とか謎に抱き合って泣く2人を苦笑を浮かべて見送ったら、正面から人影。
🤍「阿部ちゃん~!」
元気な声と共に正面から抱き締めて来るラウ
背中に手を回してポンポンしてると
遅れてふっかが現れた。
何となくふっかを見たら安心したんだよね。
付き合いも1番長いからかな🙂
💚「ラウ~心配掛けたな、ごめんね」
🤍「ううん、元気になったのを見れて良かったよ」
💜「なんて言ってるけどラウも心配してたんだぞ~ちゃんと治るの?って」
💚「元気な俺に戻ったから安心してな😊」
🤍「うん!お帰りなさい阿部ちゃん😆」
💜「あ~かぁいいなあお前ら~」
身長は誰より高いのに心配性なラウを見て
まだまだ甘えたい盛りだなぁと思い
ハグしながら頭もヨシヨシしてあげた。
ふっかがニヤニヤして変な事を言ってたのはスルーしてラウールを愛でる(笑)
それを苦笑して見ていたふっかが去り際に
💜「元気になってホント良かった。あんま心配させんなよ?」
と囁いてナチュラルに俺の頭を撫でて行った
不意打ちすぎてマジ吃驚したし妙にくすぐったい気持ちにさせられる。
何だか皆に凄く気にかけて貰えた日だった・・・
そんな皆にも、良性発作性頭位めまい症の原因は言えなかった。
👨⚕️『これらの原因は複数あるんです』
診断を話した医師の言葉が脳裏を巡る。
1つはビタミンBの不足。
2つ目がの話した耳石が引き起こす場合
そして3つ目・・・過多なストレスが原因。
流石にストレスが原因ってのは
何となくだが皆に話し難かった😕
自分は今好きな事を仕事に出来てて
念願だったデビューもさせて貰えてさ
めちゃくちゃ充実してるし楽しいのに
ストレスが原因だなんて、言えないよ・・・。
💛「阿部?・・・どした?」
パイプ椅子に座ったまま俯いている阿部を見つけ
気になったから迷わず声を掛けた岩本。
阿部はあんま辛いとか口にしないし
俺らに話したりしないから心配なんだよなあ
まあメンバー基本弱音吐いたりしないけど
ラウは比較的俺らにちゃんと伝えてくれる。
顔に出易いメンバーは気付きやすいし
素直な康二も、正直な翔太も分かりやすい。
分かりにくいのは舘さんと目黒、ふっかかな
阿部とは、分かりにくいだけじゃなく
周りに悟らせないよう振る舞う🤔
今も多分悟らせないようにしてる感じ。
これまた無理しそうじゃね?😕
💚「ううん、何でもないよ疲れたのかも」
💛「なら今日は先に帰る?」
💚「いやそれは・・・練習はしたいし」
💛「お前さ、ダウンしたばかりなんだから今日くらいは休んどけよ」
💚「・・・遅れたくないからさ」
また阿部って頑固なんだよな~。
焦ったって良い事無いっつの😶
💛「・・・また無茶したらアイツら泣くぞ?」
仕方ないから耳許でコソッと囁く。
優しい阿部は弟分達の泣き顔は見たくない筈
案の定肩をビクッと揺らした阿部。
6人の頃から変わらず阿部は優しい。
雰囲気も柔らかいから、Snow Manで1番話しかけ易いのは阿部だと思う。
まあその分頼られるし甘え易いかな。
それもあって、潤滑油的な存在でもある。
変な空気も和ませてくれるし・・・落ち着く。
だから俺も気付いたら同じ空間に居るし?
💚「それは嫌かな・・・俺お兄ちゃんだし」
💛「ん~まあ俺ら5人の中じゃ阿部はずっと末っ子だけどな」
💚「そう、なの?」
💛「現に今日のアイツらすげぇ過保護だったじゃん🙂」
指摘されて思い返すのは焦りに焦った5人。
良かったと言って頭を撫でて行ったふっか
小突いた後大慌てだった翔太。
めちゃくちゃ調べてくれた舘さま。
泣きそうになりながら抱き着いてきた佐久間
・・・横抱きしちゃった照。
そっか、これ過保護に心配されてたんだ?
人数が増えて末っ子からお兄ちゃんになって
先輩だからしっかりしなきゃって思ったり
くん・・・ちゃんの事もあるからさ。
くんが本当はちゃんって名前の
女の子だって知ってるのは俺だけ。
他のメンバーにバレないよう気を張ってたのも良性発作性頭位めまい症に繋がったのかな
自分で思ってるよりメンタルに来てたのかも
・・・認めたくないし思いたくないけどさ。
実際レッスンを中断させちゃったもんな😓
💚「うん・・・今日は本当にごめんね」
思わず反射的に謝ってしまったら
気配が動いて近付いてきたのを感じる。
💛「だから謝んな」
💚「・・・照、今日は凄く優しいね(笑)」
💛「そう?基本優しくしてるよ?阿部には」
💚「や、久しぶりだな~って」
目線を合わすように阿部の前にしゃがんだら
目を細めた阿部が力なく笑う。
何となく本音を笑みに隠してる気がした。
長年共に過ごして来た故のカンが働く。
こういう笑い方をする時の阿部は大体無理してる。
隠した本音を気取らせないよう距離を取る。
まあバレバレなんだけどな🙂
一方の阿部は
照が優しく接するのはラウと佐久間じゃん。
と内心で呟いていた。
ふっかともシンメだったから仲がいい。
この2人の中にある強い結び付きには勝てん
最近はくんの事も気にかけてるし。
康二の事も可愛がってる。
正直良いな~・・・なんて思ったりもした。
俺も素直だったら皆に言えたのかな。
偶には元末っ子の事も構ってよ・・・とか・・・
いや無理言えないわ!(笑)
まあ今日は怪我の功名?で
久しぶりに5人のお兄ちゃんから過保護?にして貰えたね🙂
💛「お前ホント自分の事は無頓智だな」
💚「え?」
💛「見て分かんない?自分がどれだけ皆から大事に思われてるのか」
💚「いや・・・誰の時でもああなるでしょ?」
💛「心配は誰が弱っててもするけどさ」
💚「うん・・・?」
💛「阿部の時だけだよ」
でもあまり『過保護』にされてる実感は無い
皆比較的、どのメンバーが不調になっても
等しく心配するし、面倒見るものだ。
だから目の前にしゃがんだ照の言葉が分からない
皆同じに互いを大事にしてる10人。
それが俺にだけ特別な扱いをしたりなんて
違いを付けたりはしないでしょ?
そう問い掛ける阿部に対し
やっぱ分かってないなと照は肩を竦めた。
💛「5人全員が必死に助けようとすんのは。
翔太とか特に分かりやすい。
阿部の時だけずっとそこに残ってる🙂」
つい面倒見たくなるんだろね、と話す照。
確かに今日、翔太は戻るまで残ってた。
💚「・・・なんか意外」
💛「だろ?4人見てると心配の仕方が兄バカ」
💚「照が言うならそうなんかも」
💛「かもじゃなくてそうなの!」
普段表に出したりしないが、気にかけてる。
それは人数が増えてからも変わらない。
末っ子じゃなくなっても同じ。
同じ養父母に引き取られ、同じ家で暮らし
が新たに引き取られて末っ子になったが
阿部が末っ子なのも変わらないのだ。
💛「兎に角、俺らにとって阿部は大事な末っ子だから 甘えたって良いんだよ」
💚「――!」
💛「お前の事だからもう末っ子じゃないからしっかりしなきゃとか思ってんだろ?」
💚「う、うん・・・」
💛「寧ろ俺らは頼られるの待ってっから」
💚「!?」
人数増えてから急に距離を取るようになり
末っ子らしさを見せなくなった阿部。
しっかりしてるように見えて実はおっちょこちょいなヤツ。
そんな阿部の世話を焼いたり弄ったりする事も最近は無くなっていた。
分かりやすく態度に出したりもしないから
いつでも助けられるようになるべく傍で過ごし、移動中も隣を歩くようにしてた。
💛「気付いてなかっただろ?」
💚「気づかなかった・・・」
💛「何となくだけど阿部の近くって落ち着くんだよね」
💚「えっ、そうなの?」
💛「言わないだけでそう感じてるよ」
💚「うわあ・・・めっちゃ嬉しい😆」
💛「まあ何が言いたいのかっていうと」
💚「うん?」
💛「思ってる以上に阿部は大事な存在だから、変に悩まなくて良いって事」
改めて言葉にしたら恥ずかしくなったな。
けど伝えないと分かんないからさ🙂
阿部が思ってる以上に皆阿部の笑顔と存在に癒されてる。
まあ、それらは今後分かってくるかもな。
💚「うん!照、ありがとう!」
💛「きゅ、急に抱き着くなって!」
🤍「あー!岩本くん狡いっ」
💛「はあ?(笑)」
ラウの声を皮切りに散っていた8人が気付き
ワラワラと集まるメンバー。
🧡「ホンマや照くん狡いで!」
💗「俺も阿部ちゃんに抱き着きたい!」
🖤「俺だって阿部ちゃんと話したいっす」
💛「なんなんだお前らは(笑)」
💜「あらま騒がしい」
💙「とか言いながらサラッと横座んな😀」
💚「ふっかだ、ちょっと狭いね」
💜「俺の顔がデカいって言いたいんだろ!」
🌕「俺も混ざる~😆」
♥「は小さいから潰されないようにね」
🌕「はーい!」
なんかよく分からんが、最終的に皆集まり
おしくらまんじゅうみたいになった。
が、阿部は楽しそうにしてたし。
まあ良いか、と照は思う事にした。
この後ももっと気にしてやれば良かったな
って後悔するなんて、まだ微塵も思ってなく
シェアハウスへ帰るのだった。
『皆の潤滑油』Fin