皆の潤滑油 3



その頃事務所内のレッスン室では。
3人を見送った後のメンバーが残っていた。
レッスンは一応中断、帰る帰らないは自由。

だがメンバーは誰1人帰ろうとはせず
休憩の延長がてら時間を潰していた。
休憩とはいえ、皆落ち着かない。
理由は、阿部の容態が気になっているから。

皆それぞれ落ち着きがないが
表に出さないのは深澤と宮舘、渡辺の3人。
マネージャーやスタッフと話し終え
深澤が皆の座る席に戻って来た。

🤍「マネージャーなんて言ってました?」
💜「今照達が診察終わったってさ」
🌕「・・・亮兄の容態は?」
⛄「・・・・・・」
💜「が言った通りの症状だったって」
🧡「凄いなぁ!」

戻って来た深澤に皆集まり、言葉を待つ中
神妙な顔付きで話し始めた深澤。

"良性発作性頭位めまい症"で間違いないと。
としては当たっても嬉しくはない。
1番辛くて悔しいのは阿部自身だから。

ダンスやアクロバットをする彼らにとって
頭を動かせず上下を向けないというのは
最大の武器を封じられるようなものだ・・・。
ましてや加入組はまだアクロを練習中。

アクロバット要員が減る事のダメージは
皆にとっても大きいだろう。
早く私も兄達に追い付きたいな
と焦りは増し、なんだか落ち着かない。

焦燥感が湧くのは否めなかった。
特異な能力から、症状に対する知識はある。
対処法も本から得て、記憶に刻まれている。

でも、あくまでも覚えてるだけだ。
現に待つ事しか出来てなくて悔しかった。
それを察してか分からないが隣に来る気配。

💜「、お前が落ち込む必要ないだろ?」
🌕「ふっかさん・・・」
💜「俺達だって気付けなかったんだ」
🌕「うん・・・」
💜「けどは俺らが分からない事に気付いたじゃん?」
🌕「気付いたのは涼太兄さんが先だよ?」
💜「それはそれ、俺ら知らないからが説明してくれて助かった🙂」

横に来ながら肩に乗せられる手。
柔らかい声で私を励ましてくれた長兄の姿。
他の皆もその言葉に相槌を打つように頷く。

「俺も名前だけ知ってたけど詳しくは知らなかったから助かったよ」
💙「だな、お陰で正しく判断出来たし」
💗「うんうん!ありがとな😆」
💜「謝る必要は無いけどこれからは皆も体調悪かったら隠さず言えよ?」
⛄「はーい!」

分かってはいるが中々気持ちを切り替えられず
黙ったまま皆を眺めているに深澤が

💜「阿部ちゃん、なんて言ってたっけ?」

いつまでも落ち込んでたら阿部ちゃんに心配かけちゃうぞ?と付け足した。

"元気になって帰って来るからね"
そんな風に言ってたと思う・・・。
問われた言葉を深澤に伝えると横にしゃがみ

だろ?と口にしながら笑った後
少し雰囲気が変わった。

💜「気付けなかった事を責めてるならそれはちょっと違うんじゃない?
知識量はあっても不測の事態は起きる。
俺から見た今のは、何か焦ってるように見えるんだわ」

冷たい事を言うようだけど
と1度仕切り直し、私の目を見て
ふっかさんは厳しく突き放す言葉を敢えて口にした。

確かに焦りは感じてたから
内心はギクリと心が揺れていた。

💜「出来る事って限られるから」

全部をやろうとなんてしない方がいい。
阿部ちゃんはそういうのは望まないし
俺らもそこまでの献身さは求めてない😶

優しさをはき違えないようにして欲しいと。
何故こんなにも自分達を守ろうとしてるのか
偽善ではないのは分かる、が
守ろうとしてるのが分かるから苛立つ?

上手く言えない(笑)
もラウと1つしか変わらないし加入組。
様々な意見や中傷と戦ってる。

辛さをあまり見せようとしないし
頑張ってるのもめちゃくちゃ分かる。
だから甘やかしたくなるんだよな~🙂
でも今はの考え方や気持ちに同意はし兼ねた。

そういうの、1人が背負うモンじゃない
取り敢えず今はこれだけ伝われば良いかな。

💜「1人で守ろうとしなくて良いの」
🌕「・・・良いの?」
💗「良いに決まってんじゃん~!」
💙「ふっかの話長ぇから分かりにくいわ」
「要するに俺らが居るよって話だね」
🧡「もっと頼ってくれてええんやで!」
🤍「僕らはお兄ちゃん達に甘えちゃえば良いんだよくん!」
🌕「そうだね?!末っ子の特権だなっ」
🤍「うん!だから僕らと良い子で阿部ちゃん待とうね!😆」
💜「ラウに良いとこ持ってかれた~🤣」

正直深澤に指摘された言葉は耳に痛かった。
その通りだったから・・・。

なんの取り柄もない私が唯一出来る事。
それは皆を危険から守る事だと。

私になら出来ると自負していただけに
今の言葉はキツかった。
勝手に1人で守ろうと決め、出来なくて落ちた
独りよがりだったのだと打ちのめされた。

バカみたい、そんな気持ちに駆られたが
てんでお子様な思考の私を皆は肯定した。
皆で守っていけばいいんだ、と。

漸く納得した様子の
深澤はホッとしながら眺めた。

自分以上にSnow Manに人生を賭けてる感じが伝わって来る。
誇らしいけど背負いすぎなんだよな~。
後でアイツらにも話しとこう。

無茶しがちなは、岩本と阿部に弱い。
どんなにワガママ言ってもその2人に正されたら直ぐ直すのだ。
慕ってるのが分かるだけにちょっと妬く(笑)

その時、閉じていたレッスン室のドアが開き
通路から待ち侘びた人影が現れた。

🤍「あ!くん3人戻って来たよ!」
🌕「――えっ、あ!亮兄、照にぃに蓮くん」
💛「お前らずっと待ってたん?」
💜「阿部ちゃんが心配だったしな~」
💚「皆ありがとう、帰って来たよ😄」

先ず気付いたのはドアの方を向いて座ってた最年少ラウール。
パッと目を輝かせ、相向かいのを呼ぶ。

教えられたは素早く振り返り
ラウールと同じく目を輝かせた。
ドアを開けて入りながら阿部の手を取り
中に入らせ、自分も入って目黒が閉める。

戻って吃驚したのは全員残っていた事。
軽く1時間ちょいはかかったと思うが
誰1人帰らずに待っていたらしい。

末っ子2人が嬉しそうに喜ぶのを見つつ
歩く阿部の横を歩きながら皆の方へ。

💗「阿部ちゃんもう大丈夫なの!?」
💚「うん、眩暈は治まったよ」
💙「マジ吃驚したんだからな俺ら」
💚「翔太・・・うん、驚かせてごめん😳」
💙「別に謝んなって、兎に角お帰り」
💜 (翔太のデレ期を見た)

わっと皆に駆け寄られた阿部が嬉しそうに笑い
1人1人に声を掛けてお礼を言っている。
やっぱ阿部が居ると華やぐな?

皆の空気が和らぐって言うか、穏やかになる
ん~・・・これが阿部マイナスイオン😶

💚「、良い子にしてた?」

皆に囲まれながらも離れた位置に居るに気付いて声を掛ける阿部。
見送る際も不安そうだったを皆気にかけていたのだろう。

声を掛けられたは躊躇ってるのか
阿部に近寄ろうとしない。
不思議そうに皆が見た時はふっかを見た

💜「阿部ちゃんに言わなくて良いの?」
🌕「・・・俺良い子にしてなかったし・・・・・・」

と言ってシュンとなる
俺ら居ない間に何かあったんか?
駄々こねたとか?・・・それは無さそう🙂

💚「、良い子にしてなかったの?」

阿部に優しく問われ、ふっかから視線を外し
ゆっくりと阿部へ向き直る

何かを気にしてる感じではあるな。
居なかった俺や阿部、目黒以外は分かってるんだろう
6人はニヤニヤとを見守っている。

その様子から察するに悪い意味じゃなさそう

するとゆり組がに近寄り
促すみたいに背中を叩いた。
は舘さんと翔太を振り返りオロオロ。

「ふふ、ちょっと頑張りすぎただけかな」
💙「だな~でももうふっかに怒られたから
阿部ちゃんからは怒らないでやってよ」
💚「おぉ?ゆり組からのお墨付き?😃」
🧡「ヒント出すなら"は頑張り屋"」
💗「そうでやんすな!」
🖤「なになにマジ気になるんだけど🤔」

見兼ねたのか、次々に助け舟を出すメンバー
なんかめっちゃ気になるんだけど。

促される事数分を要し
ぽつりぽつりは良い子じゃなかった理由を口にした。

聞いてみて思ったのはまあ、ふっかに1票。
メンバーの体調云々をが気にかけるのは無理があるし
逆にそこまでやらなくて良い

俺が残ってたらもっときつく言ってたかも。
自分の事以上に周りを気遣うのは良いが
ちゃんと自分の事を面倒見れるようになってからにしろ、って。

💚「なるほどね、でも俺の事心配してくれたんでしょ?」
🌕「けど・・・」
💚「くんはくんが出来る範囲で皆を気にかけて行けば良いんじゃないかな」
🌕「出来る範囲・・・」
💚「焦って追い付こうとしなくて良いんだよ、俺ら頼りにしてるんだから」

着実に力を着け始め、前へ進もうとしてる姿
それらは6人の力にもなるし励みになる。

今焦って追い付こうとするより
ゆっくり着実に歩んで欲しい。
頑張る事を強要したくないのだと。

💚「ただでさえ頑張ってる4人に頑張れ言うのは失礼だからね」
💛「・・・まあそうだな」
「俺らはいつも見守ってるよ」
💜「前に進もうとしてるの知ってるしさ」
💗「間違ってたら今みたいに言うから」
💙「自信持って進めば良いんだよ」

何だかしんみりした話になってしまったが
改めてこういう話をするのも良いかなと思う

ふっかが感じたの焦りは
俺らに早く追い付こうとしてたからだった。
それに関しては同感だな。

焦ったって良い事は無いし。
努力してれば自然に身になるから追い付ける
まあ兎に角阿部も回復したみたいで良かった

も漸く阿部に歩み寄りハグした。
それを見たラウや康二も阿部にくっつき
仕舞いには佐久間までくっ付いていた(笑)
俺はそういうのはやらない代わりに肩は組んどいた。