皆の潤滑油 2
♥「も多分同じ答えが出てると思うけど、一応俺から説明するね」
💗「はいっ!宜しくピーマンであります!」
💜「佐久間うっせーなぁ(笑)」
🖤「佐久間くん静かにお願いします」
💙「一斉にツッコミ入れられてやんの」
💗「お前ら団結ずりーわ(笑)」
まあ兎に角、説明するよ。と舘さん😶
今の阿部は三半規管に乱れが生じてるらしい
三半規管ってのは人間のバランス感覚や
平衡感覚みたいなのを保つ役割を担っている
それが何らかの原因で崩れると
今の阿部みたいになる。
そういや阿部、上とか下を見る時ぎこちなかったよな・・・。
振り付けで頭を回すのもやり難そうだった。
🤍「それって治るの?」
🧡「せや、ちゃんと治す方法あるんか?」
🖤「阿部ちゃんこのままとか俺嫌っすよ」
説明を終えた舘さんに加入組3人が問う。
三半規管ってのも中々聞き慣れない場所だし
3人が心配になるのも分かる。
加入組だけでなく俺らも気持ちは同じだ。
このまま治らなかったら阿部はどうなる?と
それに対し、先ず阿部本人が答えた。
💚「頭を動かさなければ大丈夫だよ」
とまあこんな風に言っている。
も説明してくれたが流石詳しかった。
🌕「原因は様々にあるけど一般的なのはビタミンBの不足かな」
🧡「流石詳しいなぁ」
🌕「後は耳石が原因の場合もあるね」
🤍「何か難しそう!」
💛「取り敢えず説明頼める?」
🌕「うん!」
原因について知ってそうなに説明を頼むと、元気良く頷いて快諾してくれた。
が言うに、阿部の症状は三半規管が原因
『良性発作性頭位めまい症』が正式名称。
も口にした耳の中にある耳石ってやつが
リンパに付着したのか、または規管に迷入したのかで原因も症状も分岐する。
今までの様子と発言からは
阿部の症状を見極めていた(今すぐ医者になれそう😶)
🌕「亮兄は『クプラ結石型』だよ」
💗「ポプラ・・・」
💙「ちげぇよ(💢^ω^)」
💗「ハイ( 'ㅂ')」
佐久間のアホはほっといて。
兎に角クプラって名前の神経に耳石が付着。
その場合だと長くて2分くらい眩暈が続く。
だから頭を動かさなければ大丈夫な訳か・・・
1回動かしたりするとその都度耳石が付着するから
約2分間眩暈に堪えなきゃならない🤔
💜「原因は分かったけどどうする?」
🌕「出来たら耳鼻科に連れて行くのが良い」
♥「だね、三半規管は耳にあるから」
🧡「せやな!」
💚「レッスン終わってからで良いよ?」
ただでさえ目が回って気持ち悪いだろうに
阿部は笑って遠慮しやがります。
10人になってからやたらと自身を後回しにするようになったな?
まあ歳下が増えたからってのもあるのかも。
今まで末っ子だったヤツが
いきなり4人の弟が下に出来たのだ。
まあ、血の繋がりは10人全員無いが
実質弟のようなモンだしな。
阿部は誰に対してもニコニコしてるから人当たりも良い。
自然と皆が頼り、誰かしらが傍に居る。
も言っていたがリラックス出来るらしい
阿部はマイナスイオンでも放ってんのか?
💛「ダメ、却下な阿部は遠慮し過ぎ」
兎に角今は遠慮させたらダメな気がした。
なので問答無用、椅子から立ち上がると
その足で1歩近づき、阿部の腕を引いて抱えた
💚「でも・・・って!何で横抱きなの(笑)」
💛「あ、間違えた。けどまあいいや」
🤍「分かる!阿部ちゃんはこっち向き👍」
💙「扱い方女子かよ😆」
🖤「でも阿部ちゃんはそう扱いたくなりますよね」
🌕「🤔?」
何か無意識にお姫様抱っこしちゃってたな😶
まあ阿部って女子みたいな時あるし?
翔太は笑ってたが、ヤツもあれで阿部の事気にかけてたりするんだよな~。
元々末っ子だったからそん時の感覚が抜けないんかも(笑)
何だかんだで皆阿部の事気にかけてんだろな
前々から自分の事は疎かだったしさ。
メンバー全員の事を皆互いに気にかけている
が、何かこう・・・変わらないものはあるって事
♥「ここから近い耳鼻科に連絡してくるよ」
💛「さんきゅ舘さん」
💜「俺はマネージャーに話して来るわ」
💛「頼んだ」
💚「ごめんね皆・・・」
💛「謝んなって、ちょっと移動すんぞ?」
💗「阿部ちゃん後の事は心配しないでな!」
🖤「岩本くん俺もついて行きましょうか?」
💛「ん、そうだな目黒頼むわ」
皆テキパキと役割分担し、散って行く。
翔太後は任した、と告げて歩き出す岩本。
その岩本に歩み寄り手伝いを申し出た目黒を連れ
後のメンバーには待機するよう念押し
待つだけの身としては気を揉むしかない。
🌕「・・・照にぃ」
知識として治る症状だと分かっていても
身近な兄の姿が見えなくなるのは心細い。
にとって、6人の兄達の存在は大きく
中でも特別この2人の存在は大きいだけに
居なくなってしまうのが寂しくなった。
💛「んな顔すんな、皆と待てる?」
🌕「・・・うん」
💚「元気になって帰って来るからね🙂」
🌕「うんっ」
🖤「俺には何もないの?」
🌕「えと・・・行ってらっしゃい!」
レッスン室を出る寸前で岩本に気付かれ
柔らかい声に指摘される。
思わず傍に走ったら器用に片手を伸ばし
わしゃわしゃと髪を乱された。
大きなその手に撫でられるのが嬉しい。
そうしていたら抱えられてる亮兄と目が合い
ふわりと優しく笑んで励まされてしまった。
亮兄にまで気を遣わせてしまうなんてダメね
もう大丈夫、ちゃんときき分けられるよと示すべく元気良く答えてみせた。
そこに届く蓮くんの声、難しい質問ね?
何もないの?に対しどう答えれば良いか困り
結果無難に送り出される目黒( ˙꒳˙ )
まあ不満そうだったのは言うまでもない。
目黒はを加入前から気に入ってたから
なにかしらの言葉が欲しかったんだろう😶
取り敢えず皆に見送られながらレッスン室を出ると
目黒に操作して貰いエレベーターに乗り込んで地下の駐車場に急いだ。
🖤「阿部ちゃん大丈夫?」
車内のドアを開け、後部座席に照が下ろし
シートベルトを付けて貰ってる阿部に
心配そうな声音で問えば
💚「うん大丈夫、頭さえ動かさなければ」
💛「それいつから?」
ニッコリ微笑んで答える阿部。
まあ様子からして嘘じゃなさそう🤔
取り敢えず舘さんから連絡来るまでは待機だ
耳鼻科の予約が取れた確認が出来次第
そこに向かう手筈、その間は問診みたいに質問を阿部に始める。
💚「・・・怒んない?」
🖤「え、阿部ちゃん可愛い」
💛「それは阿部の回答次第かな」
💚「あ~それ絶対怒るヤツだ🥺」
💛「いいから言ってみ」
いつから出た症状なのかを問えば
不安げに此方をチラ見する阿部。
若干上目遣いになる為、あざとさが・・・。
案の定助手席に座る目黒からぽそりと洩れる"可愛い"。
ん~・・・阿部にメロメロだな目黒😶
💚「実は今朝、目が覚めた時から・・・」
💛「なんですぐ言わねぇんだよ😕」
💚「言える訳ないじゃん・・・大事な時だし」
💛「けどその結果が今だろ?」
💚「・・・・・・あ・・・うん・・・そうだね・・・」
朝から眩暈に襲われてたんだと話す阿部。
しかし大事な時だからと隠していた。
迷惑かけたくなかったのは分かる、が
隠した結果、症状は治らず表に現れ
レッスンを中断、早退に発展してしまった
何より腹が立ったのは自分の行動。
仲間でありメンバー、もっと言うなら
同じ養父を持つ兄弟なのに
阿部の不調に気付けなかった己。
そればかりか強引に頭を動かす部分の振りをさせてしまい辛い思いをさせたのだ。
💛「朝の時点で言ってくれたら俺だって
お前に無理させたりしなかった。
いや、違うな・・・気付いてやれなくてごめん」
口をついてでる謝罪。
言おうとしたんじゃなくて自然に出ていた。
体の大きな照が背中を丸め俯く姿は
後ろから見ると何やら可愛らしく見えた。
💚「照が謝る事なんて無いよ?
実際俺が自分で決めて言わずに居たんだし
そのせいで結局皆に迷惑かけたんだもん」
ちゃんと怒ってくれてありがとう。
そう言って笑う阿部の笑顔は眩しかった。
きちんと言い合える関係が素敵だなと
助手席で見聞きしながら目黒は感じていた。
互いに信頼してなかったら先ず出来ない🙂
まだまだ追い付けないけど
早くオリジナルメンバーの6人に近付きたいと強く感じた。
そして宮舘からの連絡が届いた。
急だが受け付けてくれる都内の耳鼻科が見つかり
すぐさまそこへ車で出発。
着くまでの間も阿部の様子は安定していた。
頭を動かさなければ本当に平気なんだな?
💛「着いた、阿部降りれる?」
💚「うん」
🖤「阿部ちゃん俺に掴まって」
耳鼻科の駐車場に車を停車させ
阿部に声を掛ければシートベルトを外した所だった。
俺が運転席を降りるより先に助手席を降りた目黒が
後部座席のスライドドアを開け
片手を差し出しながら促している。
少し驚いた顔をした阿部だったが1つ頷き
差し出された目黒の手に掴まりながら降りる
照も反対側に寄り添うように立ち
阿部の背に片手を添える感じで支えてくれた
別に大丈夫なのになぁと思った阿部だが
2人の優しさが嬉しくて甘える事にした。