行動開始
無事戻った亀梨を浴室に残し
リビングへ戻った面々。
取り敢えず着替えとして、赤西が服を選んでいる。
落ち着きを取り戻したは、テーブルに置かれた蒼玉を眺めていた。
見間違えじゃない。確かにこれが光って・・・・和也は人間に戻れた。
きっかけはあの水気の変な奴だと思う。
あれと和也が接触した時、この蒼玉は眩く輝いたのだから。
媒体は・・・・なんだろう?
――――水だ。
皆と出会う前水気の気配に襲われた時も私の指輪が光ったし
あの時もあの気配は変な事を言ってた。
【オノレ、邪魔ヲスルカ・・天照メ】
そしてさっきも言ってた言葉は。
須佐之男の神器があったとか何とかかんとか・・・・
この二つの名前、何処かで聞いた事があるような気がするのよね・・
天照・・ってもしかして、天照大神?
となると須佐之男は須佐之男命と言う事になる。
古事記に出てくる日本の神だ。
表記は文献毎に異なるが、須佐之男と言う名前は共通している。
その神の神器って何の事だろう?それらしい物なんて持ってないし・・・・
いや、ある。
この指輪じゃないか?あの変な気配がずっと欲しがってるとしたら指輪しかない。
私の耳飾りが、太陽を神格化した天照で。
和也のネックレスは、海原を統治する神 須佐之男命の。
この二神は三貴子と呼ばれてるうちの二神・・・
後一神に月読命と呼ばれる月を神格化した神がいる。
まさか?三つで意味を成すって・・仁君の持つあの月貴石は・・・・
月読命の神器って事?
おばあちゃんは知ってたんだろうか。
知っていて私に預け、三つが揃わないと意味がないと言ったのだろうか?
何故これらは家に代々受け継がれて来たんだろう。
どうして和也と仁君が預かったんだろう・・・
海原を統べた神の神器に触れたから、あの気配は完全に胡散した?
これ・・調べれば何か分かるかもしれない。
やっと取り掛かる糸口を見つけた気がした。
其処へ着替えた亀梨と、着替えを持ってった赤西が戻る。
「心配かけたな、風呂もサンキュ」
「ううん、無事で何よりです」
「俺らから聞いてもいいか?さっきの事」
「ちゃんと話すわ、取り敢えず座って?」
指示されるまま、の向かい側に座る二人。
の横には猫の上田と中丸。逆側には田中と田口が寄り添った。
此処まで決定的に巻き込んでしまった以上
これ以上隠しておく事が出来なくなった。
「私ね、さっきのが初めてじゃないのよ・・アレに襲われたの」
「え?前からあったのか?」
「ううん・・数ヶ月前からかな、嫌な気配がしたり・・・襲われた。」
「さっきみたいなのにかよ」
「そうね・・・理由は分からないけど、水に関わる場所によく現れるの」
「・・・・シンクの蛇口がガムテだらけなのはそれが理由?」
「ええ・・ちょっと怖くなっちゃったのよね、恥ずかしながら」
ちっとも恥ずかしい事じゃねぇし・・・とぼやく亀梨達。
誰だってあんな体験をしたら怖くなるだろう。
ましてや女性なら尚更、水に関わる事が多いと聞き亀梨らは納得。
だから水が使えないようになっていたり
洗濯機に近づかなかったのか、と合点がいく。
後はあの変な気配が憎々しげに言い残した言葉について聞いてみると
はなりに導き出した結論を話してくれた。
俺の持つのが古事記で日本の神として存在し、海原を統べる神 須佐之男の神器で
の耳飾りが、須佐之男の姉であり 太陽を神格化した天照大神の神器。
それと赤西の指輪にある石は、須佐之男の兄で月を神格化した 月読命の神器だと言う事。
何でそれが夕さんの家に伝わっていたのか
何でそのうちの二つが赤西と俺に預けられたのかは、も分からないらしい。
益々事がデカくなってないか?と思う。
ただ夕さんに信頼されて受け取っただけだったはずが
物凄い事に巻き込まれてる感じ。
俺が戻れたのは水が媒体になってるんじゃないかってのがの結論。
何せこのペンダントの石は、水を表し海原を統べる須佐之男の神器だから
水に反応して何らかの力が発揮されたんじゃないかって
はこの事から調べるきっかけにならないかなと言ってる。
俺もそう思う。まあ、今の所神器とか指輪とかしか取っ掛かりがない。
「ならさ、調べに行くんだろ?」
「そうしたいんだけど、二人は外出たらバレちゃわない?」
「あー・・・・」
「だから先ずは私んちのパソコンで調べられるだけ調べてみよう?それで駄目だったら図書館に行けばいいし」
「そう言う事ならオッケー、ネットからなら俺達でも手伝えるしな」
「だなー、けどそれも駄目だったらが一人で図書館行くんだろ?それ平気なんか?」
「赤西の言う通りだな、一人で行ってまた襲われたら俺ら助けらんないんだぞ?」
「う・・・其処は・・ダッシュで逃げるとか」
「「却下」」
二の句が継げない←
苦し紛れに提案した回避方法も、見事にハモって二人に却下された。
こう言う時ばかり一致団結しないでよ・・・・・
だって芸能人を連れ立って図書館に行く度胸ない。
あ、でも図書館なら騒がれずに済むかも。
図書館って静かだし、大声とか出せないし。
「考えとく、だから今日は家で調べましょ?」
「ちゃんと考えとけよ?」
「分かってますー」
「誤魔化しただけだったらお仕置きね」
「え」
「と、兎に角パソコンはこっち!」
二人を納得させてパソコンの部屋に案内しようとしたら
仁君がお仕置きとか言い出して、隣の和也が私以上に驚いてた。
色気たっぷりに言われてちょっと焦ったけど
何とか平静を装い、二人の背中を押しながら進む。
の慌て様と亀梨の反応に、ケラケラと赤西は笑いながら押されて歩く。
猫のままの上田達もつられて後を追いかけた。
出来る事はないが、検索の結果が気になる為ついて行く。
パソコンのある部屋は赤西の使う空き部屋の隣に設置されていた。
背中を押されながら、亀梨は考えている。
あの気配の正体とか・・・の泣き顔、そして抱き着いて来た小さな体。
守りたいっつーか、一人にしたらいけないと言う意識は益々高まるのだった。