気になるアイツ
が呼んで現れたは、赤西と自己紹介し合い
服の入った紙袋をリビングに置いて更に驚いた。
さっきまで見えなかっただけで、五匹の猫が赤西の足元に勢揃いしていたのだ。
しかも全部種類の違う猫が五匹も。
ペット禁止じゃないからって飼いすぎじゃないか?
それにアイドル芸能人といつ懇意に?
よくよく見れば風呂上りっぽい気も・・・・・
「兄さん、掻い摘んでだけど説明するわ」
疑問符で一杯の思考、其処へ掛けられる言葉。
まあこの状況が把握出来るとなれば聞かない訳にはいかない。
頷いてリビングのソファーへ座る。
赤西は足元に居た上田を抱え、ソファーへ座りつつ横に下ろす。
その手馴れた扱い方に、益々不信感を募らせた。
まさか同棲して一緒に猫の世話してるのか?
が幸せなら誰と付き合ってもいいけど、KAT-TUNだぞ?
しかも赤西仁。パパラッチとか張り込んでないだろうな?
なんて事を気にしただが、話を聞かねばこの事態を把握出来ないと冷静を装い
ペットボトルの水を鍋に入れてスイッチを入れてからお茶を持って来たが座るのを待ってから口を開いた。
「まさかとは思うけど、付き合ってるのか?」
『ぶっ』←全員
「それは――」
「まっさか、そんなんじゃないよ兄さん」
即答で否定したに、ホッとしてみせたと亀梨達。
一方で即答された赤西は若干複雑そうな顔をした。
確かに違うけど即答かよ←
そんな赤西は見事にスルーされ、説明する為の会話は進んで行く。
ドンマイ赤西・・・
亀梨や聖はニマニマしながら赤西の足を叩く。
ムッとした赤西は、コッソリに気付かれないように亀梨と聖の額を指で弾いた。
何か面白くないんだよな〜・・理由はわかんね
「何から話せばいいんだろう、彼等は一昨日原因は分からないんだけど気がついたら私の家にいたみたいなの」
「お前の家に?それまた何で・・・・ん?彼等?」
「さん、俺達も分からない事だらけなんですよ。ファミレスでさんのお祖母さんから頂いたコレの話をしてたら景色が歪んで・・」
「夕さんから?」
「指輪は俺で、ネックレスはこっちの亀梨が。信じられないと思いますけどこいつ等同じグループの奴らなんです」
「えっ!?KAT-TUNって猫じゃなかったよな?」
いや、当たり前だろ。
と内心外野にいた亀梨らが突っ込む。
「どう言う訳か俺も含めて全員が猫になってたんっすよ」
「何か凄い次元の話をされてるような?」
「仁君は嘘とか言ってないわよ?現に私が立ち会ってるし、彼が猫から人に戻るのも見てるもの」
「別に疑ってない、お前は嘘をつく奴じゃないしお前が信用してる奴らを疑ったりしないよ」
何ですかこの会話。
物凄く疎外感感じるんですけど・・・・
つかさんが全ての基準かよ。
過保護っつーか兄バカって言うか何て言うか胸のあたりがムカムカする。
ジト目で二人を眺める赤西の隣では、同じように亀梨達も二人の間に流れる信頼関係と言うか
何とも入り込めない空気を感じ取ってムカムカしていた。
まあ・・が信じてる兄貴だしな・・・・信じる外ない。と亀梨も内心思う事にする。
「アメショー君は昨日戻ったけどまた猫に戻ってたのか」
「そうなのよ、どうして猫になってるのかとか・・どのサイクルで戻るのかもサッパリ」
「取り敢えず今朝俺は戻れたんすけど、亀梨同様いつまた猫に戻るのかは分かんないんすよ」
「ふーむ・・・それは結構厄介だな。取り敢えず服は持って来たから戻ったら着ればいいとして・・」
「うーん」
「、アレは平気なのか?」
「アレ?」
「あ〜今はそれよりも目先の事よ。」
このやり取りを聞いていると、やはり迷惑を掛けてるなあと感じざるを得ない六人。
広い家だとは言え、猫に戻ったり人になったりする男六人と住むってのは大変な事だし。
は女の人だから色々互いに気を遣うかもしれない。
かと言ってもこればかりはどうにもならない。
俺達も原因が分からないからぶっちゃけお手上げだったりする。
それより気になったのは、さんの問い掛け。
アレって何だ?
誤魔化して話を逸らした所から推察するとにとっては重要な事なんじゃ?
猫だとしても亀梨は気になった。
亀梨も幾つか気になる点があった為に色々推測してみる。
ガムテの蛇口の事とかか?そういやあ・・が水使ってる所見た事ないな。
俺達は知らない事、って人は知ってるんだろうな〜
そんな当たり前の事を考えて、少し亀梨と赤西らは再び胸がムカムカするのを味わった。
胸のムカつきが意味する物から目を逸らしといた。
親しみなのか好意なのか、まだ判断が付かなかったと言うのも言い訳にしておく。
「じゃあ次に聞くけど、生活の方はどうするんだ?彼だけでも俺のアパートの部屋に」
「いいの、此処の部屋での生活にも慣れて来てる所だし・・・ね?仁君・・」
「あ・・・・・はい、メンバーもいますし。迷惑は掛けませんから」
「そっか、なら俺は同意する。けどを困らせたりするなよ?」
「有り難う、兄さん。また何か頼んだりしちゃうかもしれないけど」
「そのくらい遠慮すんな、赤西君も色々と助けてやってくれよな」
「はい・・!」
さんが俺だけでも自分のアパートに呼ぶと言った時、迷った。
さんざ迷惑をかけているのは知ってる。
成人した六人の男が、一人の女性と共に住んでるなんて聞いた事もない。
だから同意しようかと思ったんだけど、それはさんが遮った。
俺が喋るのを遮るようにしてさんを説得するかのように食い下がる。
その際同意を求めるように向けられたさんの目と
必死に俺の腕を掴むその行動に驚いて、つい此処に残るとに告げていた。
するとも諦めたように微笑むと、を頼むぞと赤西に念を押した。
”私の家族になってくれる?”
不意に重なるの言葉。
不思議と離れてはいけないような予感がした。
向けられた目の中が微かに揺らいでいたようにも感じたし
不安のような物?そういうのも不思議と感じたんだよな・・・・
確たる物はない、ただそう感じただけ。
そうしなければならない何かが赤西を動かしていた。
とまあこの時会話に混ざれない亀梨達猫は、やり取りをジロリと睨みながら見ており
隙あらば赤西に蹴りを入れようとしていた。
何かあの雰囲気が気に入らないっつーか面白くないんだよなー・・
どうしてあんな必死に赤西を留めたんだろうとかさ
家族みたいに思ってるから?と思わなかった訳じゃない。
亀梨もの言葉をその日聞いているのだ。
あーー・・何か猫のままなのがじれったい・・・・また戻れるとしたらいつなんだ?
ジレンマを感じながらの時間を亀梨は過ごした。
説明の為のやり取りから数時間後、は紙袋を残し自分の職場へ出かけて行った。
お洒落でイケメンだなーと思っていたが、どうやら美容師らしい。
昔からの担当で、髪を切りに行っているとか。
・・・・・羨ましい・・・はっ!何考えてんだ俺。と自身が思った言葉に焦る亀梨。
何にしても先ずは人の姿に戻らないとならねぇよな
ため息はため息にはならず、紙袋から着れそうなのを選んでいる赤西とを眺めるだけにしておいた。
ふと中丸はある事に気付く。
『なあ』
『ん?』
『IHのスイッチ切ってあるんかな』
『そういやあ・・スイッチ入れてからさんと話してたよな?』
『やべぇな、そのまんまかもしんない』
『マズイって早く知らせなきゃ!』
あーもうバカ西〜!!!
中丸と亀梨は二人の方へ駆け出し、より伝わりやすくしようと上田はキッチン台に飛び乗った。
二人の方へ駆け寄る亀梨と中丸。
亀梨が赤西のズボンの裾を銜えて引っ張り
中丸は後ろ足で立ち上がり、前足を脹脛に乗せて懸命に鳴く。
勿論足元に絡みつく猫、亀梨と中丸に気付いた赤西。
自分のズボンを引っ張る亀梨を抱き上げ、怪訝そうに問うた。
「何だよカメ、先ずは俺の服決めなきゃなんねぇんだぞ?」
「ニャーッ!ニャニャッ」
「あ〜・・だから猫語はわかんねぇんだってば」
「仁君、この子も何か必死に鳴いてるわよ?」
「何なんだ?・・・・・ん?」
例え異常を知らせようにも、言葉が通じなければ意味がない。
焦る亀梨と中丸の気持ちとは裏腹に、猫の彼等が何をしようとしてるのかが分からず
赤西は困惑しながらキッチンの方を見る。
すると白い色が目に入り、その色がチンチラである上田だと判明。
上田は沸騰している鍋を示すようにして鳴いていた。
目を凝らすようにその鍋を眺め・・・・・・
「あ!やべっ!」
「仁君?」
漸く鍋の火をつけたままだった事に気付き、猫の亀梨をソファーへ荒々しく下ろしてからダッシュ。
鍋の傍にいる上田猫に下りるよう指示。
危うく噴き零れそうだった様子に危機一髪だったなあと安堵し、慌しくスイッチを切った。
ピッと機械音がして無事IHの熱は止められる。
赤西はホッと息を吐き出し、その場で胸を撫で下ろした際
その時誤って手が鍋の持ち手にぶつかってしまった。
当たった事に気づいて顔を上げた赤西、その鍋の放物線上にまだ上田がいた事に気付く。
何かを考えるより早く、赤西の体は既に動いていた。