寒い。

いよいよ冬に突入。
先月は最悪な再会と、新たな出会いがいっぺんに来た。
元彼との遭遇で、ネチネチと過去の事を言われて頭に来てたその時に

和也君と上田君の友達だと言う二人の青年が助け舟を出してくれたの。
いかつい・・・いや、ワイルドな青年と美青年。
田中君と赤西君だっけ、あの場にその二人がいなかったら口論になってたかもしれなかった。

流石、和也君達の友達だなって感心しましたよ。
私なんかの事を気遣ってくれるし、助け舟まで出してくれたし。

あの後、あの四人で上田君の誕生日・・祝ったんだろうな〜
来年とか一緒に祝いたいかも。まあ来年の10月までに仲良くなれてればだけどさ。
先々月以来また会ってないけど、元気にしてるかな。和也君達。

チカンに遭った事は忘れてしまいたいけども
和也君達に助けてもらった事は忘れたくない思い出。

名前もやっと聞けたしね。
あの至近距離でってのは物凄く緊張したけど(笑)

・・・・・そう言えば何で耳元でだったんだろう?
混雑してたとは言え、別に会話をしちゃいけない訳でもない。
凄くドキドキしたし・・いい匂いもしたなあ・・・・って!論点がずれたわ。

思い出したら顔が熱くなったから、思考を切り替えるべく近くのコンビニへ。
今夜は鍋にしよう。鍋の素みたいなのを探しに入ったコンビニ。
偶々雑誌コーナーから通った。

そして偶然目に入ったメンズファッション誌。
読むつもりもなかったのに、の目はその雑誌の表紙に釘付けになった。

え。これ・・私の目が悪い訳じゃないよね?
どう見ても、この雑誌の表紙を飾ってるのって・・・・・

「あ、気付いちゃった系?」
「だから帽子とサングラスしてたのね・・・」
「うん・・って納得したのは其処なんだ(笑)」
「( ゚Д゚)わぁっ!!」
「ぷっ、面白いリアクション」

ええバッチリ気付いてしまいましたよ。
だから顔を隠してたり、女の子に囲まれたり、名前も小声で名乗ったんだ。
一人で納得してふと気付く。誰か横に・・・・・・・!?

ちょっ、え?

隣を見たら、いつ来たのか分からないけど
キャラメル色の髪をした可愛い美青年・・・
もとい、上田君がいたのですよ。

思い切り驚いたのリアクションに軽快な笑い声を披露(
笑い声も可愛らしい人だなあ。
下手したら女の子より可愛いんじゃ?

と言うか今日は上田君一人のようだ。
ちゃっかりからその雑誌を受け取って中を見ている上田。

「えっと、和也君はモデルさんだったんですね」
「うん。学生の時からやってるんだって」
「凄いなあ・・・・だから街中で女の子に捕まってたのね・・」
ちゃんは、カメをどう思う?」
「えっ!?」
「モデルだって分かって、どう感じた?」

和也君は学生の時からモデルをしてたらしい。
どうりで只者じゃないオーラを纏ってた訳だわ・・・

最新の服に身を包み、沢山のポーズを取って紙面上で笑ってる和也君。
屈託のない笑顔は普段と全く変わらない感じがした。
私の、好きな笑顔を見せてる。

胸に若干の痛みを覚えた時、ページを捲りながら上田君が質問してきた。
内容はごく簡単な物。どうしてそう聞いたのかは分からないが、思った事を有りのまま口にする。

「うーん。正直あまりピンとは来てないんです。ただ電車で見かけてた時も目を惹く人だなくらいだったし」
「ふんふん」
「話してみると普通に本が好きな男の人で、お勧めも教えてくれたし。」
「うん」

「モデルだとかそうでないとか関係ない、和也君は和也君だから。
今更その事で態度を変えたりなんてしません。私もそうされたら嫌だし、嫌だと思う事はしたくない。
十分魅力のある人だし、変に飾る必要なんてないもの。素の亀梨和也君と私は友達?になったんですから(笑み)」

感じた事、胸の中にある言葉を真摯に伝えた
上田は何処か嬉しそうな笑みで眺めた。

モデルのカメではなく、ありのままのカメと友達になった。
どうしてかその言葉を彼女が、他でもないが言ってくれただけで嬉しい。
カメ・・・・この子なら。ちゃんならきっと――――

「有り難う、ちゃん。その台詞、後でカメに言ってあげて」
「???」
「あ。そうだ。来月のイヴなんだけど暇?」
「勿論暇ですよ」
「それは良かった。イヴにさ、俺とカメと他に四人野郎がいるんだけどパーティー開くから来てよ」
「いいんですか?私が参加しても」
「当たり前、友達でしょ?俺達。それに男ばっかでイヴに集まってもムサイだけだし」
「嬉しいです!絶対行きますね」
「そう?良かった、じゃあ連絡先教えてくれる?場所とか電話するから」

私の意見を聞いた上田さんは、とても綺麗に微笑むと穏やかな顔でお礼を言った。
どうしてお礼を言われたのかは分からないまま、お礼と一緒に伸ばされた大きい手に頭を撫でられる。
和也君と同じ、男の人の手で。

一通り私の頭を撫でると、上田さんはイヴのパーティーに誘ってくれた。
きっと先月会った赤西君に田中君も来るんだと思う。

残り二人のお友達にも会ってみたいし、また和也君と会えると思うと心が弾んだ。
モデルだとしても、そうじゃないとしても和也君は和也君だから。
そう上田君に自分の口で言った時点で・・・・もしかしたら芽生える物が芽吹いたのは・・この時からだったんだろう。