虹色の旋律 三十五章
が加わったプラスXの新CMは、次の週から一斉に流れた。
『大変だ大変だーっ』(聖
『何だよ騒がしいな聖〜』(中
(息を切らして家に飛び込んできた田中)
『プラスXに、おニューな奴が出たんだよ!』(聖
『マジかよ!どんな奴なんだ?』(赤
(一斉に詰め寄るメンバー)
『兎に角探しに行こうぜ』(亀
(セットと場面が野外に切り替わり、公園に辿り着いた面々)
『あ!あそこに誰かいるよ?』(田
『皆行ってみようぜ』(上
『おお』(全
(の足から映り、駆けてくるメンバーが映ってが振り向く)
『初めまして!プラスXブルーシトラス味です!』
『お前がおニューな奴?』(赤
『はい!です、おニューなプラスXをお届けに来たKAT-TUNのハイフンです!』
『なんだってぇえー??』(全
【おニューな味と新たなメンバー登場!??ロッテプラスXブルーシトラス新登場!】
と言う感じでドキドキの初披露CMは放送されました。
う、わぁああーーーーー世間の反応が怖いです!!!!
もう世間に顔が知れてしまいましたから、外出も難しくなりそうですね。
でももうテレビでお披露目されましたし恐れてる場合じゃありません。
大舞台へ向けてきちんと集中しなくては!
先週からSUMMARYへ向けたレッスンは本格的に始まっている。
今日も休む間もなくレッスンだ。
「おう、これからレッスンだよね一緒に行こう」(田
「はい!」
「だったら俺も〜」(上
「それなら俺も」(中
「はい!皆さんで行きましょう!」
自室を出れば下から田口に声を掛けられ、便乗した他の面々も現れる。
七人で行くのは目立つ為、3:4に分かれて移動する事が多いのだ。
関係ないが今日はCM撮影の次に撮った雑誌が発売する日。
何となくもう逃げ場はないのだと感じた。
ジタバタしてももう遅い、腹を括らねばならないのだと。
いつ帰る時が来てもいいように、悔いなく過ごさなくちゃね。
そう・・私には継信さんのお墓参りに行くという使命があるのよ・・・
いつの間にか楽しんでしまっていた・・不謹慎ですよね、継信さん。
別々に事務所に向かう亀梨達に挨拶し、背を向けた時、若干だが視界が暗くなった。
目まぐるしく過ぎる日常、環境の変化、体の酷使、心身的疲労・・それが相俟っての立ち眩みだったのかもしれない。
少しふらついた体は、隣りを歩いていた中丸に支えられる。
「っと、?どした?」(中
「すみません、大丈夫です!まだ頭が眠ってるだけです」
「本当?少しだけど顔色悪いよ?」(上
「何なら後から来る?赤西君達と」(田
心配そうに声をかける中丸の横から、気づいた上田と田口も心配そうにに提案。
有り難い気持ちもあったが、それだけは丁重に断るつもりだった。
この大事な時に心配されてる場合じゃない。
玉森に認めて貰うには、倒れてる時ではないのだ。
四人を見送って家に入ろうとしていた亀梨らも異変に気づいたのか駆け寄ってくる。
流石に全員に集まられては誤魔化しきれるか分からない。
現に皆の顔はとても真剣だ。
皆が口々に心配する中、一人ジッとを見ていた赤西。
ふとこの状況と似た事が以前遭ったのを思い出した。
「お前Pと約束した事あるんじゃねぇの?」(赤
「・・・・・・!」
「言わないのもいいけど、後々迷惑かかるの誰だよ」(赤
「・・・・でも休む訳にはいかないんです」
「はぁ」(赤
「じゃあ少し休んでから俺らと一緒に行こう?それならいい?」(亀
「・・・はい」
思い出したまま口にしてみれば、やはり口篭った。
どうやら自覚はあるらしい。
それを承知で無理をしようとしているようだ。
頑なに休みたがらない理由って何だ?
今まで一般人だったから張り切るのは分かる気もするけどさ――
『はお前と似てるよ、とことん突き詰めようとしてる。他人の言葉を素直に受け取るから多分無理するだろうね』
ふと過ぎった亀梨の言葉。
前がぶっ倒れる少し前の会話だ。
張り切ってんじゃないとしたら?
・・・つー事は、やっぱまた無理してるとかか?
何か吹き込まれたって事?・・・どんだけ鵜呑みにするんだコイツは。
亀梨に諭されやっと休んでから行く事を承諾した。
チラッと顔を伺えば、上田の指摘したように確かに顔色が悪そうだ。
まあ・・・ここ最近はレッスンも激しくなってきてるしな・・
「・・・・・・・」(聖
亀梨に肩を借りながら歩くを、田中も複雑な面持ちで眺めている事に赤西は気づいた。
何て言うか新鮮な驚き?聖がこんな顔すんの初めてに近い勢いで見たかも。
「おう聖、どうかしたん?」(赤
「ん?いや、何もねぇって」(聖
「ふーん・・?」(赤
「・・・・・・・・」(聖
「お前・・さては何か知ってんな?」(赤
「べ、別に何もしらねぇって」(聖
怪しい・・怪しすぎるぞ聖!
うーん、揃いも揃って何隠してんだ?
これから舞台の練習も本格的になって行くっつーのに・・
一方でと亀梨。
はこの前のCM撮影時に気になっていた事を亀梨に尋ねていた。
「そうだ亀梨さん、聞いてもいいですか?」
「うん?何かまた分からない事があった?」(亀
「はい、この前CM撮影した時の事なんですけど」
「うんうん」(亀
「『あーん』って何ですか?」
「ぶっ!!!!」(亀
あ、噴いた。
リビングでお茶を淹れてくれた亀梨さん。
私に勧めながらご自身も口に含まれた所で聞いてしまったら
見事にお茶が霧のように・・ry
いやいやいや、淹れたてですから熱いはず
キッチンに走り布きんでテーブルに散ったお茶を拭いた。
「ちょ、誰がやってたんだそれ」(亀
「え?田口さんですよ?最後のガムを私に差し出しながら・・・」
「「まさかそれで食べたん(のか)!??」」(亀&?
「いえ(今別の声も聞こえたような)良く分からなかったので」
「俺が止めた」(赤
何でしょう?この燃え滾るような怒りのオーラが見えます・・・・・?
「いやお前らその反応おかしいだろ、コイツは男だぜ?」(赤
「そうだけどさぁ」(亀
傍観側の赤西、先週田口に指摘されたまんまを亀梨と田中にしてやった。
切り返しも前の自分と同じ。
まさかこいつ等もそっち系k(殴
『も』って!俺はそっち系じゃねぇよ。(誰に言い訳してんのさ)
この中でもやはり当の本人は頭にクエッション乗せてぽけらとしている。
何やらイラッとした赤西。
感情の苛立つままに、茶菓子の饅頭を手にすると
ズカズカ歩いての隣に行き、肩を引いて此方を向かせ
「しらねぇなら教えてやるよ」(赤
「え?」
「おら口開けろ」(赤
「!!!!??」(亀&聖
「『あーん』・・・」(赤
「――――っ!!」
「ん?」(赤
振り向かされた先には、饅頭を手にした赤西。
少し苛々した様子でを見下ろす、その怒りを含んだ眼差しは妙に艶やかで
そのまま顔に大きな手を添えられ口を開かされた。
亀梨と田中が硬直する中、迫る饅頭と艶やかな赤西の表情のダブル攻撃に
カッと体中の熱が顔に集中した。
体は動かないので、そのまま赤西を見つめるしか出来ない。
何やら様子のおかしいに赤西も気づき、つられて顔が熱くなってしまった。
それから急にこの行為が恥ずかしくなり饅頭はの口に押し込むと逃げるようにその場を離れた。
なに?何が起きた??by亀
固まったまま見守っていた亀梨と田中、突然の幕引きに頭がついていかない。
妙に雰囲気が出来てて口挟めなかったけど・・・え?何。
赤西が根負けしたって事??
ちょっと何、面白いんですけど!!by聖
は押し込まれた饅頭をそのまま食べ始めてみた。
おかしい・・確実におかしいです。
田口さんにされた時はこんな風になりませんでした!
この空気おかしいだろby亀
「て言うか、もう頭冴えた?」(亀
「あ、はい!(今ので)バッチリ冴えました!」
「ならさっさと行こうぜ、もう数十分経っただろ」(赤
「そ、そうだなうん」(聖
その空気をぶった切るように話を変えた亀梨。
気恥ずかしさを何とか取っ払って赤西もそれに便乗。
田中だけは笑いをかみ殺しながら立ち上がった。
なんとも珍しい光景が見られたな、と言う意味で。