何だよソレ
真っ先に出た言葉がこれだった。
俺達にはすげー長い時間で積み重ねてきた絆がある。

それなのにいきなりまた新メンバー?
しかもド素人の女みたいな奴だなんて――



虹色の旋律 七章



姓は同じで名前も似てる・・・
でもコイツは男だし、さんは女の子だったから・・別人?
にしても似てるなあ〜・・・・・この喋り方とか。

どもり方とかさ(笑)
まあいっか、似てるだけだし見てて和む(

確かに小さいから中丸と田口に囲まれてる様は小人だな。
聖の言いたい事も俺は分かる。
わざわざジャニーさんが受かったばかりの新人君をわざわざ俺達に紹介するとは思えない。

サマリーに出演させるとか言うなら少しは分かるけど・・・
まあそれもジャニーさんが来れば分かるよな。
四人に囲まれた少年を遠くから亀梨は眺め、思った。

「You達揃ったみたいだね」
「お早うございます!」(全員
「さてYou達も色々と聞きたいだろうから本題に入るよ」
「はい」(全員

タイミングよく社長であるジャニー喜多川が現れ
声を揃えて挨拶した六人を席に座るよう勧める。

それから突っ立ったままのを傍に呼び寄せ
全員の視線が注がれる中、社長は思いも寄らない事を発表したのだ。

「突然だけど、KAT-TUNに新しいメンバーが加わる」
「―――えっ!?」
「ジャニーさん、俺達は今年の夏のイベントに向けてやっと団結して来たんすよ?構成だって決まってるんです」
「そうっすよ、この時期に新メンバーっつっても・・・」
「You達の心配は承知してるよ、でもこの子は特別な子だ。きっとやってくれるさ」
「何っすかそれ・・・・・特別って、どう特別なんっすか・・・」

ううっ・・・やはりそう思われますよね・・・・
私自身が一番そう思います・・・
赤西さんの鋭い視線を受けながらは小さくなるしかなかった。

どうしたら認めてもらえるんだろうか・・
やはり此処は、それ相応の実力をみせるべきよね・・・?

答えが欲しいと社長さんを見上げる。
今のままでは皆さんに受け入れてもらえないのは確か。

その視線に気付いた社長。
彼もそう思ったらしく、に目配せをした。
見せてやりなさいと言わんばかりの嬉々とした目。

その視線に背中を押されるようにして
心を決めたは、ついさっき覚えたばかりのサマリーを歌う事にした。

ドア越しではなく目の前で改めて歌声を聴いた面々。
その声を聴いて、やっぱり同じ声なんじゃないかと亀梨は感じていた。

けど性別関係なく綺麗な声だから、やっぱり聞き入ってしまう。
それに覚えたばかりとは思えないくらいに完璧だった。
ジャニーに否を唱えた赤西と田中も、難色を示した事も忘れて聞き入っていた。

何だコイツの表現力・・・・・
歌詞を通して気持ちが伝わってくるような、そんな感覚。
兎に角肌が粟立った。

特別って、こういう事かよ。
実力はすげぇー感じる・・・声も鳥肌立つくれぇに巧い。

けど何かが面白くねぇんだよ・・・・
理由の分からない苛立ちが赤西を支配する。

すぐに目の前の少年を受け入れられない自分がいた。
ガキの発想だ、そう分かっていても心は焼けたみたいに痛んで
痛みに逆らうかのように言葉が溢れる。

「ジャニーさん、悪いっすけど俺、ソイツ入るの同意出来ないっすから」
「おい仁っ」
「・・・・・・」
「俺も赤西の気持ち、分かります。いきなりは受け入れられないっすよ・・・」
「聖・・・」
「残りのYou達は?意見があるなら言って」
「俺はどっちの意見も尊重します・・確かに今からって言うのはどうかと思いますけど・・・コイツもやる気はあるだろうし」
「俺も中丸君に賛成です」
「・・・・俺は、コイツの意見を尊重します。ジャニーズに入りたくて入ったにしろ、その声、俺は活かして欲しいから」

キッパリと、でも少し辛そうに否を唱えた赤西。
その表情から視線が逸らせなかった。

鋭い言葉と拒絶。
覚悟してない訳ではなかった・・・でもやっぱり痛くて
歯を食いしばり、唇を噛み締める。

こうしないと泣いてしまいそうだった。
此処で泣く訳にはいかない、だから懸命に堪えた。

するとそれを見ていた上田は、小さく息を吐くとその隣に行き
くしゃりとの髪を撫でた。


「酷い事を言ったかもしれないけど、当然の反応だよ?俺達はやっと此処までまとまってきた。
下積みも結構やった奴もいる・・俺らより先に入っても下っ端のままだったり、大きな仕事をやれない奴もいる。
君は幸いにして特別な才能があったから選ばれた。ならそれを誇りに思わないとね。
今君が申し訳ない、とか感じてるならそれは赤西と聖に対して失礼だし俺も怒る。
この場に立って新メンバーに選ばれたのなら、それは君の実力だよ?
やるって決めたんならそれ相応にやる気を見せてもらわないとね、それであの二人を認めさせればいい。
相手の実力が分かっても、素直にすんなり受け入れられる程・・今の俺達は大人じゃないからさ。」


でも俺個人としては、リーダーとして歓迎するよ?
君が此処に慣れるように、俺達にも君を受け入れる準備をさせて。

ふわりと微笑む綺麗な顔。
そうへ言ったのはKAT-TUNのU、上田竜也。
このグループで最年長だと聞く彼の言葉は、自然とストンとの中に落ちた。

其処で初めて、は泣く事が出来た。
全く知らない未来へ飛ばされ、訳も分からないまま自分は芸能界と言う世界へ入る事になり
怒鳴られたり睨まれたりされて、ゆっくりこの現実を受け入れられずにいた私は

其処で今初めて此処に居てもいいのだと、居場所を見つけられた気がしたのです。
この方の言うように、赤西さんと田中さんに認めてもらえるよう努めるわ・・

優しく頭を撫でる手。
・・・・手?
( ゚Д゚)!!!!!←注:ヒロイン

ど!!どうしましょう!!!!
緊急事態で忘れてました!!
でも此処で振り払ってしまったら気を悪くされるわ!

この時代ではこんなにも普通に婚約もしていない男女が触れ合うのですか??
今此処で騒いでしまったらすぐにバレてしまう・・・・

ああーーけどどうすればっ!!?

「よし、じゃあ後はYou達に任せるよ?」
「はい。じゃ俺達、取り敢えず打ち合わせ、行きます」
「ではあの、失礼します・・・」
「頑張ってね君、期待してるよ」
「は・・・・はい・・」
「行こうか、打ち合わせ室には赤西達もいるだろうけど今は打ち合わせに集中するようにね?」
「わ、分かりました。」

上田の手を払うにも払えず硬直していると
見計らったかのようにジャニーが言葉を挟み
もう自分の役目は終わったとでも言いたそうに背を向けた。

それが退室の合図なのか、亀梨を筆頭にジャニーへ挨拶。
部屋を出ると早速上田がこの後の予定をに話した。
軽くプレッシャーを掛けるのも忘れずに←

またあの二人の殿方に会うのは正直恐ろしい。
でも認めて貰うためには行かなくちゃ。

元の時代に戻る糸口を見つける為にも――
そう決めただったが、まだ本当の意味での試練を知らずにいた。