虹色の旋律 三十章



扉を開けたその先にいた人。
それは練習場にいるはずの赤西だった。
忘れ物でもしたのか、ロッカー室方向に向かう所だったらしい。

その途中偶々居合わせた感じだ。
誰も居ないはずの会議室から人が出てきて、しかも出てきたのは嵐の松本と
これには赤西も目を丸くするしかなかった。

何で松潤とが二人で出てくるんだよ←

「おー赤西じゃん久し振り」
「てか何で?」(赤
「あ、あのそれはですね」
「ちょっと忘れ物此処にしちゃってさ、偶々歩いてたルーキー君に手伝って貰ってたんだよ」
「えっとはい、お役に立てましたか??」
「へー・・・救急箱持ってっすか?」(赤
「そ、これを忘れてったんだよ。翔君が突き指しちゃってね」
「マジっすか?桜井君平気だったんですか?」(赤
「おう、すぐ湿布もしたし平気だってさ。じゃあ俺もう行くから、赤西、、またな。」
「はいっ」
「うっす」(赤

目が合うとすぐに松本は自然体で事情を説明。
違和感は感じなかったくらいに自然な話でして
なので赤西も納得し、救急箱を持って立ち去る松本をと共に見送った。

何か気まずくなった←
て言うか、忘れ物とか別になかったんだよな・・・・
何となく何処に行くのか気になって戻ってみただけ。

そしたら会議室から出て来るし、松潤と一緒だしで吃驚した訳よ。
で別に気にならないのかキョトンとした顔をこっちに向けてるだけだ。

「赤西さん、忘れ物ですか?」
「へ?あ、いや・・・俺の勘違いだったみたい。戻るわ」
「では一緒に行きましょう、私まだレッスン室の場所覚えてないんです」
「しょうがねぇから一緒に行ってやるよ、同じグループのよしみだからな」
「はいっ、有り難うございます!」

とか素直に俺の横に並んで歩き始めてるし・・
怒ってねぇのかな・・・昨日の夜の事。
デリカシーねぇ事言っちまったしさ、泣かせたんだぞ?

触れちゃいけない琴線なんじゃねぇのか?
それに・・・これも返さないとだしな・・・・俺が持つべきモンじゃない。

その前にどうしても気になる事がある。
この写真の男との関係性。
かなり気になるんだよな・・・何でこんな気になってんだろ。

やっぱグループだからかな。
んー・・そう言う事にしとこ。
って訳で・・・・聞いてみるか・・?

一歩間違えたらまた泣かせるかもしれないけど。
何か、スッキリさせたかったのかもしんない。

「なあ、ちょっと聞いていい?」
「はい、何でしょう。」
「答えたくなければ答えなくていいんだけどさ」
「?・・・はい」
「一昨日お前が失くした写真に写ってるのって、大事な奴?」

思い切って聞くと一瞬だけは肩を震わせた。
やっぱ聞くのは不味かったかな・・と感じて別の言葉を捜す。
一度口から出した言葉はなかった事に出来ないし、どうした物かと悩む俺に隣からが言った。

「大事な肉親――・・なんです」
「えっと・・・じいちゃん?」
「はい・・軍服だったでしょう?あれは祖父が徴兵される前に撮った物で・・・私のお守りなんです」
「だから白黒で軍服だった訳か・・・・にとっては宝物なんだ?」
「若い頃の写真しか残っていなくて、祖父の写真はあれ一枚だから・・」
「・・・・昨日はマジ悪かった、俺何も知らなかったとは言えサイテーだったよな」
「いいえっ!私も泣いたりしてごめんなさい、赤西さんは気遣って下さったんですよね、それなのに・・・」

何か俺って器ちっせぇとか思った。
の大事なじいちゃんの写真なのに勝手に色々推測したり
見つけてたのにすぐ返そうとしないでKYな事口走っちゃってさ

それなのには回りくどい俺の気遣いっつーか、まあそれを汲んでくれてる。
やっぱまっさら具合が半端ネェなお前・・・・・

心の中で白旗上げながらポケットをまさぐり
いつのタイミングで返そうか出し悩んでたその写真を前に突き出した。

いきなり突き出された俺の手に、吃驚したの目が見開かれる。
そして突き出された俺の指が持つ物が、探してた物だと分かるや否
(野郎に使う表現じゃねぇけど)花みたいな笑顔が零れて、一瞬見惚れた。

ボォーッとの表情を見てた俺は、次の衝撃にも襲われる羽目に。
俺の方を咲き乱れる花の如く、柔らかい笑みで見た

「探してくれたんですね赤西さん!有り難うございますっ!!」

とか言うと、両腕を広げたと思ったら
バフッと言う効果音と一緒に、俺に抱き着いた。

「!???」

これにはもうピシッと固まるしかない。
何かふわっといい匂いがしますよセンセー・・・・・

野郎なのにゴツゴツしてねぇし、肩幅ちっせぇなオイ。
しかも廊下っつーか通路だからめさくさ注目浴びる訳ですよ。

「わぁーったわぁーった、落ち着け。」
「あ、すみません!嬉しかったのでつい!」
「(ついで抱き着くなよ)そか、見つかってよかったな。」
「赤西さんのお陰です!やる気が沸いてきましたっ」
「それはいいけどレッスン室こっちじゃなくてあっちね」
「うわあはいっ」

方向音痴具合に口元が緩む。
素直に喜びを表現するのペースに、つい乱されそうになる。
嫌味じゃないからどうも調子狂うわ・・・・

けど、それとこれは別じゃん?
振り付けとかはちゃんと覚えてもらわネェとな。
本番まで残り四ヶ月、出来ませんでしたじゃ済まない。

より小さいジュニアだって自分の出る部分は覚えてこなすんだし
途中から抜擢されて入ったから出来ません、じゃ通らない訳よ。

まあ・・・・の性格からして、妥協とかしなさそうなのは分かる。
ぶっ倒れるまでムリを通すくらいだもんな。
この世界の事、何もしらネェのに偶に俺等が驚くような言葉を言ったりする。

ですら気付ける事に俺が気付けなくなってただけだけど・・
ちょっと悔しかったんだよな・・・
これから本格的にレッスンも始まるだろうし、そうなる前に写真も返せて良かったわ〜。

隣でニコニコした笑みを浮かべて歩くを少し盗み見ながら思う。
グループを意識した事とか思えるようになっちゃうとか、ホント、何か不思議な奴だよな・・って。

なんて事を考えながら二人してレッスン室に到着。
俺等に気づいたメンバーが直ぐに近づいて来た。
のじいちゃんが上田にクリソツな件・・それだけは聞かずにおいた。

それこそ『不可侵』な気がして。

「赤西、忘れモンあったん?」(中
「それ俺の勘違いだったみたい」(赤
には途中いき合ったの?」(上
「はいっ!此処の場所、覚えてなかったので赤西さんと会えて良かったです」
「此処は何回も使う所だからちゃんと覚えとけよ?」(和
「はい!もう始まってるんですか??」
「今休憩〜」(淳

ワッと話しかけられたと赤西。
個々の問い掛けに丁寧に答えながら室内を見渡せば、鏡の前で復習したりストレッチしてるジュニアが目に入る。

どうやら田口の言うように、合間の休憩に入ってるようだ。
初めて見る顔も多々あり、は一人一人を眺める。
10代から20代のメンバーが集まり、練習をしているらしく年齢はバラバラ。

の周りに来たメンバーも話しながらの傍らに振りを確認し合っている。
案内してくれた赤西も自然とその輪に入り、振りを合わせたりカウントを取ったりしていた。
皆切り替えが早いんだなあ、なんて感心してると後ろから声が掛かった。

クーン」(?

誰だろう?と思って振り向くと、少し上の位置に声の主の顔があった。
綺麗に整った容姿、クセのない真っ直ぐな毛足・・・・

誰だっただろう?
表情はそのままに考える。
が名前を思い出す前に後ろのメンバーが声を掛けた人の名を口にした。

「おーPじゃん、こっち側でレッスン?」(赤
「そんなトコ。KAT-TUNに合わせてるから立ち位置確認程度だけどね」(山
「俺等も5月下旬から同時進行にはなると思うよ」(和
「うん知ってる、だから先に君だけでも先に始めておこうかと思ってさ」(山
「そうですね!私は皆さんと同じ位置まで身に着けないとですから」
「熱心なのはいいけど、前みたいに無理はしない事。いい?間違っても俺等がフォローするし」(上
「そうだぞー、マジあの日は寿命縮んだんだからね?」(山
「・・・・はぃ」

そうでした山下さんです!!!と、声には出来ないので心の中で←
何やら気遣って下さったみたいです。

何か紙を持っていて、立ち位置の打ち合わせにと誘いに来て下さったみたいですね。
山下さんの言葉に亀梨さんも皆さんが思い当たったらしく、それぞれに声を掛けて下さった。

優しく声を掛けて下さる皆さんに応える為にも精一杯勤めを果たさなくては。
意気込む私に釘を刺す事を忘れない上田さん。
全く持ってその通りなので、素直に言葉を受け止めます。

「いい子いい子」(山
「あーっ、それ俺の役目なのに〜」(上
「え」
「いつ決まったんだよそれは」(聖
「初日から」(上
「俺等聞いてないから無効ね」(和

えーっ、とか何とか言いながら口論が始まったみたいです(
頭を撫でる山下さんを見て、上田さんがぷくーっと頬を膨らます様はとても可愛らしいですね( ´ー`)

すかさずチャチャを入れる亀梨と田中。
そのやり取りを呆れつつ笑って眺める赤西と中丸。
二人を落ち着かせるようにして、話の先を赤西が促した。

「じゃあはそっち確認する?こっちはまだ休憩らしいから」(赤
「そうですね、確認を先にしましょう。」
「動きつつやりたいから、軽くOP合わしてみない?」(山
「その方が動きも掴めていいかもしんないね」(和
「登場からですか?」
「ついでに其処からやってみようか」(山

他のジュニアが見ている中での軽い合わせが開始された。