僅かな物でも何でも良かった。
ただあの時の事が分かるならそれだけで
それはいけない事だったのでしょうか?
お父さんお母さん・・・
私が本当に此処に来てしまった意味、ってあるんでしょうか・・・・
虹色の旋律 十四章
図書館と言う場所には17時半に到着しました。
館内に入った私達は、それぞれに調べ物を開始してます。
亀梨さんと赤西さんはパソコン、と言うもので本を検索して下さるそうなので
私は普通に本棚を回って地道に歴史コーナーを物色中。
どの時代も図書館と言う物は静かに過ごす場所のようですね・・・・
お二方は銀幕スターさんですけど(まだそう思ってます)、此処ならはそんなに騒がれずに済みますし
私は勿論の事、この時代にはそもそも存在してないはずの人間なので
自由に動き回れますよっ!(
それにしても・・本当に広いです・・・・規模が違います!
うーん、ただ本棚を探しても駄目だったりするんでしょうか・・・?
幕末・明治・大正・昭和・平成・・と本は並んでますね・・・・
迷うよりも先ずは読んでみましょうっ
もし書かれていなければ・・・直球で地震の本を探せばいいですしね。
「何アイツは百面相してんだ・・・・・」
「ホントだ、は顔に考えてる事出てるよね(笑)」
「はっ・・バカ丸出しじゃん」
「いいんじゃない?其処も仁と同じだし」
「バカかお前、何処が同じなんだよ」
「嘘がつけない所とか?」
「・・・・バーロー、俺のとアイツのはちげぇんだよ」
「て言うか監視とは言えさ、珍しいよね。」
「あぁ?」
「仁がまだメンバーになってないとはいえさ、こうやって一緒に行動するのって」
「・・・・・・・・ちょっとトイレ」
バカカメアホかっ(しかも読みづれぇーし)
似ても似つかねぇし監視の為に来ただけだっつーの!
確かに嘘とかきれぇだけど、俺は・・あんな・・・・・?
カメと話してるとむず痒くなっから離れた。
ガシガシと頭を掻きながら言った手前トイレに向かう道中。
歴史棚の前で本を前にしたを発見した。
苛々してる時に限って目に入る奴。
・・・そういや久し振りに大声出して怒鳴り合ったかも・・・・
メンバーとも落ち着いてきてたし、歌もダンスも求められるままにこなして来た。
少し変わらない毎日に飽きて来てた所もあった・・
そんな時にコイツが現れたんだよなー・・・・
オーディションもパスして、持って生まれた才能だけで選ばれた奴で
何の苦労もしないで一気に駆け上ってきたから・・少しだけ胸がムカついた。
『―――気持ちを籠めないで歌っても踊っても、見てる人には何も伝えられません!』
生意気な奴・・・って思ったのは認める。
でも・・その言葉は正しくもあった。
俺達はエンターテイナー。
プロとして観手を愉しませ、感動させ、喜ばせなくてはならない。
あの言葉は、今まで一般人として生きて来たアイツだからこそ言えた言葉だったんだろう。
フン・・・・・
「あ、赤西さんっ」
「・・・・」
「あーーっ・・ちょっと待って下さい、赤西さーん」
「・・・・・・」
「待って下さい、赤西さんってば―――」
「無視してんだよ何回も呼ぶなアホ!」
「シーッシーッ!!」
あークソッ、ペースが乱されるんですけどっ
素通りしようとしたのにも関わらず、しつこく名前を連呼してくるアホ野郎。
わざと無視してやったっつーのに鈍いのか分かってねェ・・・・・
イラッと来たから振り向いて詰め寄ると、負けじと人差し指を口に当てたに注意される。
めげねぇ奴だなマジで・・・・
仕方ないから呼び止める訳を聞いてやる事にした。
慈悲だよ慈悲!
「で何だよ用件は」
「あのですね、それらしい本を見つけたんですけども・・私の背では届かないのですよ」
「・・・・・つまり?」
「ですからその・・・もし良かったら取って欲しいなー・・・・とか」
「あの脚立使って取ればいいじゃん」
「それも試したんですけどそれでも足りないんです・・・」
「恨むなら身長を恨め」
「うー・・では仕方ないので亀梨さんに頼みま――」
「わーったよ!どれだよ本!」
もごもごと申し訳なさそうに頼み込んでくる。
どうやら一番上の段にある本が取りたいらしい。
背が足りず、二段の脚立でも無理なんだとさ・・・・
めんどくせぇ・・・・・
渋る俺に頼むのを諦めたは、パソコンの所にいるはずのカメに頼むと言い出した。
何か瞬間的に俺がやると口から飛び出した言葉。
別に親切心じゃねぇーかんな・・・貸しを作っとくだけですからぁ
とか何とか理由を付けると、脚立を運んでの示す本を視界に収め
脚立に上ってその背表紙を見た。
その背に書かれていたのは、大正時代とだけ書かれた文字。
これ大雑把っぽいな・・・・・絞られた内容じゃなさそうだぞ・・?
取り出したその本の表紙を捲って、ざっと目次に目を通す。
目次には大正時代の幕開け、その時代の暮らし、その時代に始まった戦争の事と・・・・
後は好景気だった事と、男子のみに選挙権があった事くらい。
が知りたがってた地震の事は一切書かれてなかった。
んー・・・けどまあ、俺には関係ねぇし。
「取ってやったぞ、大いに感謝しろよな」
「はいっ!」
下にいるに取った本を投げて寄越すと
自分に感謝しろと言い捨てて歩き出した。
別に用もねぇし、手伝う気もねぇもん・・・トイレいこ←
歩いて行く赤西の背に向かってもう一度頭を下げ、感謝する。
それから漸く手にした本を開いた。
赤西と同じように表紙を開くと、目次をなぞる。
だが・・・地震について書かれた項目は見つからない。
・・・・赤西さん、そう言えば私の前に本開いてたけど・・
地震の事が書かれてないって確認したのに渡しに寄越したのね?
でもちゃんと頼んだら取って下さったし・・・・あ。
「戻すのはどうしよう・・」
あ・・この本、あの戦争の事が書かれている。
この時代では『第一次世界大戦』と名前がついたのね・・・
服のポケットからたった一枚持っていた写真を取り出す。
手元にあるのはこの写真しかない。
形見分けにと、継信さんのご両親が下さった。
あのままあちらにいたらまた貰えたかもしれないけど
今は戻る術がない・・だから絶対なくさないようにしなくては。
白黒の写真に写る継信さんは眩しいくらいの笑顔。
戦争に行く数日前に撮られた・・・・
本当に誇りを抱いていたから・・とても誇らしそう・・・
それから一緒に土手沿いの道を共に歩いた。
ただただ歩いた・・・会話は少なかったけども、一緒に歩けるだけで幸せだった。
今の時代だったら笑われてしまうでしょうね・・
でもあの時代の私達にとっては、殿方の一歩後ろを一緒に歩けるだけで
女としての幸せを感じられるような時代だったのよ。
そっと写真を胸に抱くの姿、亀梨と赤西が眺めていた。