出逢いは突然に



「わりぃけど、別れてくんね?」

2007年2月。
私は突然、付き合ってる彼から別れを告げられた。

付き合いだしたのは、去年の夏。
告白したのは彼からで、真っ直ぐな彼の気持ちに打たれ
私は彼と付き合い始めた。

我侭だって、甘えたりだって迷惑掛けないようにって我慢してた。
嫌いになって欲しくなかったから。
どうして?そんなそぶり、見せなかったのに。

理由を尋ねれば、お前より好きな奴が出来たって。
私にない物を、その人は持ってるの?分からないよ・・・・

何ともスッキリしなくて、友達にメールして相談に乗ってもらう事にした。
今の私は、誰かに話を聞いてもらいたかった。

何人かの友達にメールして数分、一人目の友達からメールが帰ってくる。

「理由も言わないなんて酷い奴だね」
「そっちから告ったくせに、軽い奴だったんだよ!気にすんな」
「男なんて幾らでもいるよ〜また一緒に見つけよう(^▽^)」

どれも私を励ましてくれる内容。
まあ、まだ15だし。これからよね。

何て思いながら、ケータイを折り畳んだ時だった。
再びメールを知らせる着うたが流れ、受信アリと画面にアイコンが出る。

『やーアドレス確認したっと?』

ん??
何やら知らないアドレスからのメール。
メアド確認したかって?

不思議に思って、もう一度送信ボックスを開く。
に詩織に香澄・・・・あれ?

「梓に送ったはずなんだけど、これ誰のアドレス??」

今来たメアドと、梓のメアドを見比べる。
不思議な事に、2人のメアドは非常に似てた。

って事は?・・・・・・私送り間違えた!?
サァーーッと血の気が引いていく。
全く知らない人に、彼氏にふられたなんつーメールを送っちゃった!!

『ごめんなさい!私が間違って送ってしまったみたいです、消してしまって構いません(><)』
『別に気にしてないさー、それよりやーはやまとうんちゅーば?』

え?やまとうんちゅー??
謝罪のメールを送ると、すぐに返事が来てその言葉に頭を悩ませる。
全く分からない言い回し・・・・日本人よね?

もしかして方言なのかな。
何て思ってると、その人からまたメールが届く。
今度は何だろう思って、メールを開くと

『本土の人間か?って意味さー、わんはうちなーのモンさ』
『そうよ?東京に住んでるの、その方言・・・何処の人?うちなーって?』
『沖縄って意味さー、やーは東京モンか。男にふられたんば、ちゅんにか?』
『沖縄ってうちなーってゆうんだ!!その話は忘れて〜〜』

何か間違って送ったのに、沖縄弁の事まで教えてくれる。
次第にその人とのメールが楽しくなってきた。

明るくて優しい、どんな声なんだろう。
その人の事が何故だか気になり始める。

それは沖縄でメールを受け取る側も同じ気持ちだった。
裕次郎は、ひょんな間違いからメールを受け
彼女がちゃんとした理由もなくふられたと聞き、顔も見た事のない少女を励ましたいと思うようになっていた。

「裕次郎〜!何してるさー、永四郎が呼んでるばよ!!」

名前も知らない少女とのやり取りに、すっかり夢中になっていて
部活に行くのを忘れていた。

同じテニス部の、平古場 凛がこっちに走ってくる。
このやり取りを見られるのはマズイ。
咄嗟にメールをそのままに、折り畳んでポッケに入れる。

「わぁーったわぁーった、すぐに行くさー!」
「ゴーヤ喰わされる前には来いよなー」

苦手なゴーヤの話を持ち出され、仕方なく了承してポッケからケータイを出し
会話の続きを打ち始める。
凛のせいで向こうがメールを打ち切っていないかが心配だったが、返事は変わらず返って来た。

『わりぃ返事遅れたさー』
『別に気にしてないよ^^』
『やーをフッた奴、勿体無い事したさー』
「え?」
『やーはちゃんとあにひゃーの事好きで、あにひゃーの為に努力してたのにって』
『でも・・・』
『あにひゃーはやーの事、ちゃんと見れてなかったばよ。わんだったら、わんの為に努力してくれるやーを放っといたりしないさー』

心臓がドクンと高鳴った。
私をフッた彼の事を、勿体無い事したって・・・・

『無理なんてさせない、好きな子には笑ってて欲しいば』

何で分かったんだろう・・・私が無理して抑えてたって、本音も口に出来なかった事。
鋭い言葉と、優しい言葉が・・心にすんなり入ってきて自然と涙が零れていた。

メールだからそんなのバレないけど、恥ずかしく思えて涙を拭う。
彼に聞いてもらえて、素直に言える気がした。

『でもね、私も彼に合わせたりして素直になれてなかったかもしれない。だから、彼だけが悪い訳じゃないよ。』
『やーは素直さー・・あのさ、迷惑じゃなかったらやーの番号教えてくれんか?』
『迷惑なんかじゃないよ、私もね・・・声を聞いてみたいって思ってたの。』

そう返事を返した途端、電話の着うたが放課後の教室に流れる。
緊張で震えそうな指で通話ボタンを押す。

全神経が耳に集中。
何て口にしようか迷っていると、向こうの声がケータイ越しに聞こえた。

【えーっと・・・わんの声、聞こえてる?】

中性的で、でも耳に優しい声。
ドキン!と心臓が脈打つ。

勝手に顔が熱くなって、声が震えそうになった。
すっごくいい声だよ・・・!!どうしよう!
無性に恥ずかしくて返事が出来ない、黙りっぱなしは失礼だから何とか第一声を・・・・・

「きっ聞こえてるよ」
【やーは・・・可愛い声してるやんに】
「お世辞言っても何も出ないよ」
【お世辞じゃないさー、それにさっきわんが言った言葉・・ちゃんと聞いてたか?】
「え?」

全くもう・・・可愛い声だなんて、初めて言われたよ。
さっき言った言葉?どれだろう・・・もしかして?

でも流石にアレは気を遣ってくれたんだろうし
違う事言って嫌われたくないし。
あれ・・何で嫌われたくないんだろう。

一方待つ側の裕次郎、適当に理由を付けて遅れると木手に言って更に待つ。
本当に分かってないのか、聞いてなかったのか・・・・
どっちにしても、虚しいさー・・

「それって・・・わんの為に努力してくれるやーを放っといたりしないさー・・・って言葉?」
【やー、意外に記憶力いいんだな】
「有り難う・・・ってまさか、冗談――」
【ゆくしじゃあらんば、わんはやーをあにひゃーみたいに悲しませたくない】
「初めて知り合ったばかりなのに?」
【あんに、そんな事は関係ないさー。わんは・・その、やーが気になるってゆうか・・・・】

電話越しに聞こえる困ったような焦ったような声。
一生懸命言葉にして、伝えようとしてくれてる姿勢が何だか可愛らしくて
彼を信じてみよう、私も素直に言ってみようって思った。

「私もね、君の事が気になるよ。もっと知り合いたい・・かな。」
【ちゅんにか!?わん、比嘉中の甲斐裕次郎。やーは?】

パッと声が明るくなった甲斐君。
やっと名前が聞けた。
これも何かの縁だろうと思うけど、沖縄と東京は遠いな〜。

尋ねられたから名前と学校を教える。
そのうち会えたらいいな、そう思って思い切って甲斐君に聞いた。
以前の私だったら、図々しいとか思われたくなくて聞かなかったかもしれない。

嫌われても、今聞かなくちゃダメだと思った。

「あっあの!甲斐君!」
【ぬうが?】
「写メール・・・送って」

言っちゃった、いきなりは失礼だったかな。
でも見たいって思っちゃったんだもん。

すると甲斐君は、返事の変わりにピロリンと機械音をさせ
その数秒後には私のケータイが鳴った。

【やーも送れよな】

ただ一言、メールを開いてる耳に聞こえる。
彼の声は不思議と聞くだけでドキドキしてしまう。
悔しいくらい、いい声。

甲斐君に短く返事を返し、添付されてるメールを開いて画面を下に下げて行く。
もう少しで甲斐君の写真が見える、ドキドキ・・・。
逸らしていた目を、ゆっくり画面に向けて吃驚。

かっ!!カッコイイ・・・どうしよう、こんな人が私の事気になるって言ってくれたの?
私の写メなんて送って平気かな、不細工思われるかもしれない。

【見たなら何か反応しろよー、約束。やーのも見たい。】
「う・・・・分かった、約束は約束だもんね!送るけどガッカリするかも」
【ぬうがや、わんはガッカリなんかあらんばよ】

何て声を聞きながら、ケータイのカメラのシヤッターを押す。
カシャッと音がしてそれをフォルダに保存。

撮っちゃったよー!緊張する!!

「今、送った」
【ちゅんにか?楽しみやしー】

それから静かになる、届いたんだ。今見てるんだ。
うわー間が長い、ガッカリしない言ってくれたけど気を遣ってくれたんだよ。
今見てるよ絶対!後悔してるかも?

返事が怖い!
私がそう思い、ドキドキしている時。
送られてきた写メを開いた甲斐は、言葉をなくしていた。

目がハッキリした二重、話していた通りに明るそうで活発そうな雰囲気。
素直に可愛い子だと思った。

【やー・・ちゅんに可愛いさー!!】
「嘘!?可愛くなんかない」
【ゆくしじゃあらんば!あー!何でわん東京モンじゃなかったんだろ!】
「仕方ないよ、そのうち会えたらいいけどね」
【本当か?わんもやーに会いたい!それまで誰とも付き合わん、メールも電話もする!!約束っさ】
「え?え!?」
【わんが付き合いたいのはやーだけだ!】
「私なんかでいいの?嬉しいけど」

甲斐君の言い方からして、嘘とは思えなかった。
けどこれは幸せで都合のいい夢みたいな気がして、どうにも聞かずにはいられなかった。
でも彼は迷わずに、すぐ私に言った。

【やーがいい、やーだから付き合いたいって思ったんば】
「有り難う・・・本当に嬉しいよ」
【泣くな、今泣かれたら困るさー】
「あ、うん・・・ごめん」
【そうじゃないさー、今泣かれたら・・・・やーの涙が拭えないだろ】

抱き締めたくなるから、とは恥ずかしくて口にはしなかった。
素直な言葉が、嬉しくて涙も止まってしまう。

もう私は悲しくはなかった。
だって、私には甲斐君ってゆう素敵な彼氏が出来たから。
中々会う事は出来ないけど、これから続いていく長い時間の中でもっと知っていければいいと思う。



あーまとまりのない話でごめんちゃい。
ニュース見てて閃いた話だから、短くまとめられなかった。
ついにテニプリの漫画買いましたよw30・31のみ。
比嘉中のオンパレード♪甲斐君のオンパレード♪
OVAも買いたいし、甲斐君のキャラソンも欲しい!!
書くごとに長くなってしまう管理人の文才のなさ、暇な方は付き合ってやって下さい。
ゆくし「嘘」あにひゃー「アイツ」あらんば「ない」ぬうが「何(何だよ)」