抱きしめたい
秋に差し掛かる休日の午後。
の目の前には、コチラに背を向けて座る背中。
その人は、今熱心に自分の詩を書いてる。
趣味で書いたり、その完成作をただ人に見せてるだけじゃない。
ちゃんと曲も付けて、沢山の人の前で披露する。
の恋人でもあるその人。
ジャニーズ事務所に所属し、その中に作られた今最も人気のグループ。
KAT-TUNのUとして、活躍している上田竜也。
机の前に、胡坐をかいて座る背中を見つめる。
文字を書く手とその度に動く腕、文字を追う顔。
ちょっとずつ動いてるその頭が・・どうしようもなく可愛い。
可愛いって言うのは、失礼かもしんないけど可愛い。
あたしんちに来てくれるのは嬉しいけど、もっと構って欲しいな。
一応も何も、付き合ってるんだし。
きっかけはファンレター、何かずっと読んでてくれてたとか。
沢山あるハガキとか、レターの中からあたしのを手に取り
目を通して返事をくれて・・・いつの間にかこうなってた。
知られたら殺されそう、竜也のファンから。
これって夢じゃないよね?
目の前で背中を向けてるのは、竜也だよね?
こうやって一緒にいる事自体が夢だったりしないよね?
時々そうやって不安になる。
コンサートのチケットが、オークションに懸けられたり
その値が20万近くで落札されたりしちゃう人気っぷり。
夢みたいだな〜ちょっと不安になってきた。
はなるべく静かに立ち上がると、竜也の方へ歩き出す。
それからゆっくり座ると、そっと竜也のお腹に腕を回した。
腹部の温もりに、竜也は視線を下へ下ろす。
同時に感じる背中の温もり。
少し首を動かした先に、俯きがちに寄りかかる頭を発見。
「どうしたの、。」
「理由はないけど、抱きつきたくなったの。」
「ふーん・・甘えん坊さんだね。」
「うるさい、今日は甘えん坊さんになるの。」
「そっ」
に抱きつかれた竜也は、なるべく平静に問いかけた。
心地よい感触と、心地よい体温。
温もりが直に伝わって来て、正直ドキドキしてた。
ドキドキを隠すように口にした言葉にも、背中のは答えた。
自分と同じように、ドキドキしてるのか回してる腕に力が込もる。
可愛らしい彼女の仕草に、前を向いた顔が緩む。
惹かれたのは、ファンレターに現れていた前向きさ。
励ましと支えの言葉が自分に必要な物となってて
もっとの言葉が聞きたくて、自分も支えになりたくて・・
一緒に住むようになったのは、凄く自然な流れだった。
普段は甘えん坊さんじゃないが、俺だけに見せる弱さ。
頼ってくれると嬉しくなるし、そんなを独り占めしたい。
竜也は、後ろから回ってるの手の上に
そっと自分の手を重ねると、片手の甲にキスを落とした。
「ひゃあああっ!!たっ・・・竜也!?吃驚させないでよ!」
「いいじゃん、こんな可愛い姿見せられると堪らなくなるんだもん」
「堪らなくなるんだもん・・って、今詩書いてるんでしょ!?」
「そうさせないようにしたのはだから、ちょっと休憩。」
休憩!?人の手の甲にキスするのがアンタの休憩か!?
と思わず叫びたくなったが、竜也の前では無理。
あたしに触れる、この手も囁く声も全部が愛しくて・・
休憩と言った竜也は、あたしの方に向き直ると
触れるだけのキスをくれた。
柔らかい竜也の唇、触れただけなのに心臓が跳ねた。
息も出来ない程、心臓が高鳴る。
されっぱなしなのも悔しい。
そう思ったは、ニコニコしてる竜也の頬を手で挟むと
自分の唇を 竜也の唇に押し当てた。
素早い行動に、キスされた竜也が目を見開く。
顔を見られるのが恥ずかしいから、そのまま竜也に抱きついた。
埋めた胸元から、竜也の付けてる香水が香る。
「甘えん坊さんの割には、積極的だね。」
からのキスに、吃驚してた竜也だが
そのうち嬉しくなったらしく、照れつつも微笑みを刻むと
自分に抱きつくようにして、耳まで真っ赤になったのを隠してるを見下ろし髪を撫でた。
愛しくて大切な存在、恥ずかしがり屋な君。
けれど、その言葉と存在は俺を動かす原動力になる。
これからも、さえいてくれれば俺は構わないよ?
君だけが、俺をこんな風にさせられるんだから。
そう・・俺の中に在る、独占欲とかを引き出してしまう。
クスッと微笑み、俺に抱きついてるの額に優しくキスした。
「May I use all of you as only my thing?」