蒼き日々 3
🐇「衣装の事で来ました、失礼します・・・」
💗「――あ!雪うさぎちゃんだ」
🐇「雪うさぎちゃん・・・・・・?」
💚「佐久間、ダメだよ指差しちゃ」
💛「そうだぞ佐久間、失礼じゃん」
🐇「おお~・・・本物だ」
♥「うん?」
話し声するなぁ、人数多いなぁ
とか思いながら入ってみてはビビった。
まさかの先輩、Snow Man揃い踏み状態。
近いようで遠くに居るJrの中の頂点。
Jr達の中でも憧れてる子は多い。
そんな先輩方が目の前に居たのだ。
しかも"雪うさぎちゃん"・・・初めて言われた。
怖いと評判?の佐久間さんに
優しくて頭も良い阿部さん。
強面でストイックな岩本さん
クールな雰囲気の宮舘さんが私を見ていた。
深澤さんと渡辺さんは今衣装合わせの真っ最中
舞台で纏う衣装を仮合わせしている。
黒いスーツのジャケットに白いパンツ姿・・・
カッコイイ。
正直見惚れてしまった。
滝沢が言った少し待つかも、の意味を察した
🐇「あ、いや独り言です・・・」
つい口から出てしまった"本物だ"発言は
何となく俯いて誤魔化した。
さすがに失礼すぎたかな、と。
💚「どうかした?」
💗「俺ら居たらそりゃ吃驚するよね!」
💚「そうなの?」
💛「一応俺ら怖いって評判だぞ?」
💚「それ佐久間と翔太と照だけでしょ(笑)」
♥「それくらい俺らは情熱を以て臨んでるからね」
💛「おお~・・!」
何やら目の前で繰り広げられるテンポの良いやり取り
聞いてたより大分接しやすそうな先輩方だね・・・?
眺めながら衣装部屋の端に立って待機。
室内はたくさんの衣装が並べられ
中央には衣装さん達が置かれた机にデザイン画を広げ
熱心に深澤や渡辺と意見交換をしている。
皆真剣でカッコイイ。
私も代役乍この中に混じるのだ。
あ~・・・緊張するけど楽しみのがデカい。
憧れの舞台で憧れの先輩方と共演出来るのだ
そんな時、不意によぎるJr達の言葉。
"Snow Manさんの前でよくやれたよな"
"空気読め"
腹も立ったが後悔もしてない。
何より"よくやれたよな"って言葉が何か・・・
SnowManさんを下に見てるような印象を受けて腹が立った。
それこそ私が思う感情では無いが
バカにされたような、何とも言えない気持ち
・・・でもそう思う事すら失礼だった可能性も?
生意気言ってごめんなさい。
口はそう動きかけたがやめた。
これを言う事自体が失礼すぎる、と。
💜「うぇーい」
💚「あ、ふっかお帰り」
💜「おお、ってあれちゃんだ」
🐇「――あ、どうも・・・」
♥「大丈夫だよちゃんと彼人間だから」
💜「そうだよ怖くないよ~・・・って舘さん!?(笑)」
💗「化け物警報発令中で~す」
・・・あれ?(笑)
何だかイメージと全く違うよ?
大分処か、かなり印象が書き換えられて行く
和気藹々と話す彼らの印象はかなり変わった
もっと早くに関わりたかったなぁ・・・
やがて渡辺も衣装合わせを終えて合流。
怖いと評判の渡辺さんですら、雰囲気が違い
スイッチの切り換えが出来る人達なのだと感じた。
💜「えーと初めてだよね、一緒の仕事って」
🐇「はい、でも勝手に憧れてました」
の番の衣装合わせに取り掛かるまで
少し間がある為、彼らと話す事になった。
6人誰一人として否定的な事は言わない
始めは言わないようにしてるだけだと思ったが、
無理して気を付けてるんじゃないんだと話してるうちには気付いた。
💗「顔合わせのちゃんマジカッコ良かったよ!何か新しい風感じたわ」
💙「佐久間は大袈裟(笑)」
💜「でも俺らの考え方に近かったよ」
💛「そう在りたいって思いながら後輩と接してたからね」
💚「伝わりにくい事が少なくとも君に伝わってたのが嬉しかった」
♥「俺らやって来た事が無駄じゃないって分かったしね」
相手を否定せず理解し受け容れる。
こういう事を自然に出来てしまうからこそ
彼らは先輩後輩問わずに慕われてる・・・
やっぱりSnow Manさんは凄い。
私もいつかは彼らみたいな存在になりたいな
と烏滸がましいが、強く思った。
🐇「ありがとう、ございます!」
💚「結構厳しい目はあるかもしれないけど
君みたいな子にこそ頑張って貰いたいな」
♥「そうだね、頑張りたい事に性別なんて関係ないよ」
💜「ただ頑張る事が辛くなったら頼るようにね
弱音を吐く事も強さだと思うから」
🐇「なるほど・・・!」
💛「まあ今みたいな素直さがあれば大丈夫」
💗「ちゃん、これから宜しくな!」
💙「同じ舞台に挑むからには頑張ろうな」
まだ千穐楽じゃないのに胸が熱くなった。
こんな風に迎え入れてくれる先輩方に
私も応えたい、いっそう気合いが入った。
数日後、も本格的にバレエの稽古が始まった。
先ずは体の柔軟性から作って行く。
稽古場から稽古場を移動したり
稽古場から控え室までを移動する際も
目黒やSnow Manと擦れ違う度に話すようになっていた。
🖤「頑張ってるみたいじゃん」
🐇「目黒くんもね、凄いよホント」
今は丁度休憩中だ。
今回の滝沢歌舞伎2017ではセトリを見る限り目黒と一緒になる場面は無い。
唯一関わるとしたら、太鼓前の変面くらいだ
出番を控えた目黒が袖からを見る機会
それは恐らくそこだけだろう。
だからなのか目黒は興味津々だった。
🖤「バレエって大変?」
🐇「そりゃあね、だって初めてやるしさ」
🖤「の割にすっげぇ楽しそうじゃん」
🐇「大変だけどジャニーズだからこそ挑戦させて貰える世界だから凄く楽しいよ」
🖤「なるほどね、やっぱお前面白いわ」
🐇「・・・普通じゃない?」
🖤「少なくとも今まで会った女の中で1番」
女って言い方に笑うわ(笑)
何か変に畏まってなくて逆に良いb
🐇「ははっ、でも目黒くん変わらないね」
この人だけ初日からずっと態度が変わらない
変に避けたり遠巻きに見たりもしない。
何でなんだろってずっと考えてる。
私も有耶無耶なままにしとけない性格なので
折角だから聞いてしまえと思った。
🐇「目黒くんは・・・思うところとかある?」
🖤「何に対して?」
🐇「その、女だてらに・・・とかさ」
🖤「ごめんちょっと分からないわ」
🐇「あ、うんいきなりごめん」
🖤「いやその"女だてらに"ってどんな意味?」
('ω')・・・・・・。
あれ、そっちの意味の分からない だったの?
えーと・・これを女の私が説明するのも滑稽だな?
🐇「簡単に言うと非難的な意味だね」
女のくせに出しゃばるな、とかね。
性別や身分に相応しくない不相応とかを表す際に使う言い回しだよと説明。
そう説明した後、意味を察した目黒は
視線をへ向けて先ず謝った。
🖤「そんな説明させちゃってごめん・・・」
🐇「いいよ、知らなかったんだしさ」
🖤「んー・・・正直、男のくせにとか女のくせにとか全く気にしないかも俺。
逆に今まで気にした事すらない」
だから何?とか思う。
つか、性別だけで判断するのって勿体無い。
相手が誰であれ、自分に無いもの持ってたら
素直にすげぇって思うしリスペクトするよ俺は。
どんな相手に対しても凄いって素直に思う自分で居る方を俺は大事にしてる。
だから性別なんか気にしないで言ったら良いよ、
好きな事を好きって言えるお前自身もっと褒めてやったら?
🖤「俺は好きだよ?勝気な」
🐇「あ・・・ありがとう、目黒くん」
聞いてみたらめっちゃたくさんの言葉が返ってきた。
偏った見方じゃなく、見たままを捉える。
そういう事を自然に出来ちゃうからこそ
目黒蓮は変わらなかった。
・・・変わる必要も変える必要も無かった訳だ
世の中全ての人がこういう考え方なら
差別も偏見も女性軽視も無くなるのにな~・・
🖤「変面のバレエと太鼓前って違うん?」
🐇「・・・あぁ、うん違うよ!」
🖤「どう違うの?ちょっと見たい」
自然に話を変えた目黒の頼みで
覚えたばかりのバレエを披露する事にした。
本番では変面中の滝沢の両サイドで舞う。
決まったバレエ演目は無いから
場面に沿ったものを踊ると聞かされている。
目黒にバレエを披露する達を
通りすがりに何人かのJr達が見ていた。