Amazing Kiss



思いついたのは、ふとした仕草から。
仕草と言っても大した事じゃない。
女でも男でも、誰でもする仕草。

それは、リップクリームを塗る仕草。
冬とか特に乾燥するトコにいる時とか
唇がひび割れないように、人はリップを塗る。
例外と言えば、小さな子供かお年寄りくらい?

がいるのは自宅のマンション。
この日は授業をサボった。
4月になったってのに、まだ気温が安定しない。

「はぁ〜さみぃ・・唇カサカサだよ」

とか言いながら、テレビを見てる竜とタケをそのままに
はリップを取りにその場を後にする。

遊びに来ていた竜とタケは、立ったのは分かったが
特に気にせず、視線を画面に戻す。
その頃俺は、手にしたリップを見つめ
ちょっとした悪戯を思いつく。

俺も女だし、興味はある。
てゆうか、正直言うと何時もあんだけ
いい素材を間近で見てると、触ってみたいって気になるんだ。

まさか向こうもそう思ってるとは知らず。

引き出しに入っていたのは、二種類のリップ。
一つはメロンの香りと、イチゴの香り。
そのリップを手に、テレビのある居間まで行き
居間には入らず 壁の影に立ってから話しかけた。

「なあ、メロンとイチゴどっちが好き?」
「メロンとイチゴ?」
「別に気ィ使うなよ、持って来るなら手伝う・・」
「あ、いや そうじゃなくて味の好み。」

果物を持って来るのかと、勘違いした竜が
席を立とうとしたのが気配で分かり
慌ててそれを制した。

こっちに来られたらバレちゃうだろ。

「俺ね〜イチゴがいい!」
元気よく挙手して言ったタケ。
うんうん、タケにはイチゴが似合うぞ。
「・・・じゃあ俺はメロン」
「よし、分かった。」

何処か楽しげな声の
不審に思いつつも、竜はタケとは違う方を選ぶ。
二択の場合、相手が選ばない方を選んだ方がいいだろうし
どう違うのか楽しみだから。

そうとは知らず、俺は嬉々としてまずイチゴのリップを出し
手馴れた動きで自分の唇に塗ると、タケを呼んだ。

「タケ!ちょっと来てみ〜」
「ん?俺?じゃあ竜、俺先に行ってくる。」
「ああ」

からイチゴを貰える物だと受け取ったタケ。
ニコニコした笑顔を竜に向け、布団から立ち上がって
居間を出て行く。
竜はその間、普段通りの表情でテレビに向き直った。

一方 素直に呼ばれて台所に現れたタケ。
俺はニコッと笑いかけ、タケを迎えた。

「来たよ、あれ? イチゴは?」
「イチゴは今からやるよ」
「え?やるって・・・」

不敵な笑み、その笑顔に只ならぬ物を悟ったが
ガシッとに腕を掴まれ、その場に固定される。
今からやるよ の言葉にを見たが・・・
タケの言葉は、の唇と一緒に封じ込められた。

自分の唇に押し当てられる柔らかい感触と
間近で香る イチゴの甘い匂い。

「んんっ・・んっ!?」

触れ合ったキスは、思ったより長かった。
照れが過ぎ、恥ずかしさが通り過ぎると
段々 タケには焦りが生じた。
竜が来たらどうしよう!みたいな。
でも もう少し味わっていたいとも・・

「はい 終わり♪イチゴだっただろ?」
「う・・・うん」
「タケ可愛い〜vv」
・・不意打ち、でも甘かった。」

タケとのキスを味わい、ちょっと余裕になってた俺。
でもさ、タケの反応って可愛いんだよな・・。
本当に女の子でもやって行けそうな?
タケ本人は、顔が真っ赤になっていたけど
甘いキスの贈り物に満足して帰って行った。

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