2018年3月25日ジャニーズJr祭りSnow Man単独公演。
いよいよ当日の朝を迎えた。
照達はアリーナの会場に18時までに向かう。
その間私はどうしてるのかというと、午前中だけリモートの講義を受け
午後17時くらいになったら皆と一緒に横浜アリーナへ移動。
まだ存在は伏せられているが関係者という扱いなので、裏口から入る。
会場に入ってからは控室に通され、客席にファンの人達が入場するのと同時に
私も関係者席に入れる事になっている。
まあ大体が一般の客から見え難い構造になった位置に用意される。
そういう席がある事も、コンサート会場に入って楽しむ体験も生まれて初めてだ。
あの家にいる頃には全く想像すら出来なかった未来。
あまりにも充実してて楽しくて、全てが夢なんじゃないかって偶に思ったりする。
だから思わず眼前に翳した右手でほっぺを抓ってみた。
🌕「・・・・うん、痛いね」
夢じゃないわ、良かった。
なんて行為を結構繰り返している。
それから確認する日課になってるのは・・
チラリと見た先、今回はシェアハウスみたいに個室を出なくても確認出来る事。
💜「んー・・」
兄が居るのか居ないのかの確認です。
偶に周期的に巡って来る怖さがあって、気づいたらこうやって確認してた。
目が覚めたら此処は伯父の住む家にある私の部屋で、下には伯父が居るんじゃないか?と
兄達も誰も居なく、細雪も従妹も義母も居なくて伯父と私しか居ないのでは?とかね。
でも大丈夫だった。
此処はホテルで、視界には天井が見えて・・・
右横のベッドにはカーテンの隙間から漏れる木漏れ日に眉を顰める兄の姿。
もそりとベッドから下り、まだ寝てる深澤の方へ行ってみる。
一応時間を確認、外は白み始めてはいるがまだ早朝5時30分くらい。
深澤の顔は此方を向いてて、毛布で口許は見えない。
何故そうしたのか分からない、でも何となく眺めたくなったのかな。
ベッドの横にしゃがみ、その淵に腕組をした体勢で寄り掛かって寝顔を眺めていた。
良く分からないんだ、姿を確認したら安心出来るかなって思ったのは確か。
よく、分からない。
急に感情が揺り動かされて視界が歪んだ。
泣こうとした訳じゃないのにぽろぽろと涙が溢れて毀れた。
自分でも分からなくて毀れる涙を手の甲で拭いながら呟く。
🌕「なんだこれ・・」
💜「・・・それ俺のセリフな?」
🌕「――ひょえっ」
💜「マテマテ逃げるな(笑)」
疑問形の独白は虚空に消えるはずだったのに、それを拾う声が。
ベッドの淵で腕に乗せていた顎を外し、体を起こしながら呟いた時に聞こえた声と目が合う。
いつの間にか寝てた筈の深澤が目を覚ましていて、至近距離で目が合っていた。
ヤバイ見られた!と急いで距離を取ったら腕が伸びて来て阻止される。
目を覚ました深澤も何となく止めてみたが寝起きの頭は混乱なう。
明るくなった朝の気配に身じろぎしてたら左側で動く気配を感じ
気配が動くのがなくなったので目を開けてみたらなんとベッドの淵に末っ子。
寝たふりしながら様子を窺っていたら、アースアイの双眸が滲み、涙。
不思議な光彩の目から毀れる涙は神秘的で、柄にもなく綺麗だなあと息を呑んだ深澤。
そうしてるうちに現実が戻って来て、なんで泣いてるんだろう?と疑問が湧いた。
💜「怖い夢でも見たん?・・」
伯父さんの家に居た頃の、とは口にしなかったが末っ子は意図を理解。
ゆるゆると首を振り、不安になったから確認しに来ただけと彼は答えた。
誰にも話してなかったがシェアハウスで暮らし始めてから今日まで彼は毎朝確認していたと
起きた場所はシェアハウスの個室で、リビングに行けば俺達の誰かが居るのかを。
ここに来てからもやっぱり確認してしまったのだと。
末っ子曰く、確認しなくても大丈夫な日もあるが今回のように急に環境が変わったり
何か不安な事があったりすると、こうやって確認せずにいられなくなるのだとか。
💜「いつも、泣いちゃう感じ?」
🌕「ううん・・今日だけ、分からないんだ・・・ちゃんとふっかさん居たって思ってるうちに」
理由は分からない、気づいたら泣いてたと話す姿はたどたどしい。
この感じからして殆ど無意識なのは明白だった。
本人も理由が分からないならそれは深澤にも分からないだろう。
1つ感じたのはこの時のの様子がいつも以上に不安定に思えた。
どうしたものか悩んだ結果、試しに聞いてみる事に。
💜「うーん、まだ起きるには早いからもう少し寝るか?兄ちゃんと」
🌕「うん・・・ん!?」
💜「良いリアクションだなー(笑)何となくだけど落ち着くかもよ?」
🌕「ふっかさんベッド狭くなりません・・・?」
💜「俺の顔がでかいって言いたいんだろ!(笑)俺の事とかまだ怖かったりするならやめとくか?」
🌕「・・・・・怖さは、無い・・かな、後はふっかさんがそこまで言うならまあ」
💜「お前ねぇ(笑)まあいいや、枕持って来な」
🌕「はーい」
めっちゃ吃驚して眉宇を寄せたに笑いが漏れる。
潔癖な俺らしからぬ提案をしてしまった自分自身に内心戸惑った。
でもまあさ、可愛い末っ子が俺を頼ってくれたと思うと嬉しい訳よ。
後多分だけど・・・・あれよ、人恋しい感じなんじゃないかなって
辛い時期を乗り越え、環境の変化に加え大学院での度重なる事件。
それら全てから今解放され、兄ちゃんが6人も出来たり?
彼が今まで歩んできた中で一番今が充実?してて欲しいけどまあしてるんかな
これは俺の願望だけど、今があまりにも楽しくて充実してるからこその反動で
今回急に不安になったんじゃないかーって思うわけよ。
とか言って俺は自身じゃないから真相は分かんないけどね。
照れ隠しからか本音を誤魔化し、笑いに持って行く所なんてもう可愛さの極限(兄バカ
年齢的に思春期真っただ中だもんな、反抗期とか来んのかなー楽しみ(ぇ
なんて事を深澤が考え、こっそりニヤニヤしてるのは知らない。
自分のベッドへ戻り枕を抱えて戻る頃には深澤の顔も普段の顔に戻っていた。
🌕「それではお邪魔します」
💜「はいよ(笑)」
🌕「・・ふっかさん」
💜「んー?」
🌕「起こしちゃってごめん、それと・・・・ありがとう」
💜「ははっ、うちの末っ子はホント素直でかわいいな~どういたしまして。」
深澤の隣に枕を置き、ベッドに潜り込む。
何となくだが、忘れかけてた子供の頃を彷彿とさせ凍えていた心が温まる気がした。
そんな風に思うとまた泣きそうになって、お礼を言いながら何とか堪える。
素直でかわいいと言ってくれるが、どちらも全く違うよと思う。
まだまだ心の内に隠した事もあるし、言えない気持ちも抱えてる。
でも・・・脳裏に浮かんだ兄に出来ない事も、深澤には出来そうな気がした。
多分亮兄にも出来ない事。
緊張させない雰囲気があるふっかさんだからこその?
照兄には、そうしてしまったら何かが変わってしまいそうで無理。
亮兄は本当の性別を知られてる故の気恥ずかしさが邪魔をする。
さっくん・・には何れしてみたい😀
涼太兄さんにも多分・・・・緊張はするかもしれないけどしてみたい。
翔兄さんはめっちゃ恥ずかしがるだろなあ、そこを楽しむ(あれ?
兎に角行きやすいのはふっかさんで間違いない(キリリ
🌕「ふっかさん、あの」
💜「はぁい?」
🌕「ぎゅってしてもいいすか(急な真顔)」
💜「んん??お、マジ?俺にハグしちゃう?えっ俺役得?」
何でそんな嬉しそうなんだ(笑)
🌕「あーでもやっぱ騒がしいからやめときま」
💜「わああ待って冗談だから遠慮なく来なさいっ」
🌕「Welcomeなの笑うwwwでは、ぎゅーーっ」
思った通り、この人は甘えやすい空気を出すのが上手い。
決して変な空気にしないって分かるから安心するのだろう。
この日私は初めて自分の意思に従い、大人な異性に甘えてみた。
年齢差は10個あるから、本当に歳の離れたお兄さんに甘える感覚。
懼れしかない対象に自分からくっつく日がこんな早く来るとはね・・
でもいつまでも遠ざけたまま生きて行けるとは限らないし
悔しくても屈辱的でも乗り越え、受け入れ、赦して行くしかない。
だってもう此処には私の事を優しく受け入れてくれた人達しかいないんだから。
初めてしがみついた異性、兄ふっかさんの体温は温かく身に沁みた。
何人かの兄からハグはされてたけど、改めて人の温もりの心地よさに浸れた。
独りじゃない事の安心感たるや、ホント・・・ありがとう。
💜「・・寝ちゃったな、少しでも安眠出来ればいいけど」
初めて分かり易く甘えて来た末っ子の寝顔を眺め
落っこちないよう軽く自分の方へ引いた。
軽くて柔らかな二の腕に、微かに眉宇を寄せる深澤。
筋肉とも違う柔らかさ・・・・あれこれって・・?男子?
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや
男子に決まってるやろ俺!(動揺してエセ関西弁
結構食べてるのに細いなあは。
照に鍛えて貰うレベルだぞコレ。
そんな事よりもう少し俺も寝よっと←疲れた
という訳で謎のボケツッコミを1人で繰り広げた深澤は
ぎゅっとしながら寝てしまったを潰さないようにしつつ目覚ましをセット。
柔らかい抱き枕みたいだなあと感じながら自身も二度寝を楽しんだ。
+++
そして迎えた朝の8時過ぎ。
何となく漂う良い香りにつられて深澤は目を覚ました。
🌕「あ、ふっかさんおはようございます」
すぐ飛んで来た声にそっちを見ると、既に仕度を終えたが。
いつの間に起きたのだろう、腕の中に居た筈が備え付きのキッチンに立っている。
腰にくっついていた温もりは薄れ、少しだけ名残惜しさを感じた深澤。
そんな自身の心に笑いつつ布団を捲り、おはようと答えながらベッドを出た。
ホテルの朝食を食べる事も出来るが食堂に行けば気付かれる心配もある為
Snow Manは滞在中の食事をルームサービスに統一している。
良い匂いの正体はルームサービスの朝食・・ではなく、の手作り朝食だった。
この事実に寝惚けていた頭が一気にクリアになった深澤。
💜「えっの手作り?」
🌕「朝方のお礼に作ってみました!」
💜「お礼って俺何もしてないよ(笑)」
🌕「俺がしたかったからしただけですよっ」
💜「分かった分かった(笑)先に顔洗って歯磨きして来るわ」
🌕「了解っす」
これは有り難いと素直に喜び、唇を尖らせた末っ子の頭を撫でると
直ぐに洗面所へ意気揚々と歩いて行った。
何かにつけて頭を撫でて行く兄達、昨日のやり取りが思い起こされる。
やっぱ私の頭って撫でやすい形してるのかしら?
でも正直撫でられる事は好きだし嬉しい(´ー`)
すっかり感化された自分の変化に戸惑うも、良い事なんだろなと思う事にした。
朝食を済ませた後リモート講義をは受けるが、兄達は自由時間になる。
その間、深澤は他のメンバーの部屋に行くような事を口にしていた。
少しの間寂しくなるが、きちんと卒業すると宣言したからには感謝して講義を受けなくては。
だからこそノートパソコンも持参したし、iPadも持って来た。
そして洗面所から戻って来た深澤を確認、作ったものをテーブルに並べる。
💜「すげー朝から健康的じゃん」
🌕「力も付くように鳥のささ身入りのサラダもありますよ~」
💜「ヤバいねこれ!他の奴らにバレたら俺袋にされそう(笑)いただきまーす」
🌕「袋とは・・?🤔兎に角食べましょう(巻いた)」
💜「コメントの拾い方が雑っ、もういいや食べようww」
さり気なくふっかさんは並べるのを手伝ってくれる。
これがリアコたる男か(
朝食にと用意したのは、鳥のささ身入りの野菜サラダ。
それからカリカリに焼いたトーストと、ベーコンとか目玉焼きも添えてみた。
嬉しそうに席に着くと良く分からない言葉を口にし、深澤は両手を合わせる。
でもまあ喜んでくれてる姿を見るのは嬉しいもので
2日目の朝食は深澤と2人、何だかんだ楽しい時間となりました。