ここだよ、とを案内してくれたジャニーズの人に示された部屋。
確かに中から聞き慣れた兄達の声が聞こえて来る。
瞬間、嬉しさと安心感から緊張に満ちた表情からパッと笑顔になる

🌕「ありがとうございました!」
💎「・・どういたしまして、良かったね」

くるくると変わる表情に面食らったジャニーズの人。
青年に深いお辞儀をしてから嬉しさで小走りに一歩踏み出した
パタパタと走りながら控室のドアの前へ走って行く。

控室のドアは閉められておらず、覗き込めばすぐ室内が見れた。
駆け出した勢いを少し殺し、ヒョコっと顔を覗かせる。
すると室内で談笑しながら寛ぐ兄達を視界に捉えた。

ソファーに寝転んでいる兄と、テーブルに置いた食事をとっている兄もいる。
鏡台の前に座り、肌のケアをしているのが翔太だと一番先に分かった。

そしてハンディカメラを手に佐久間へレンズを向けている宮舘。
照と深澤の姿が見えないなと思いながら中を窺っていると、兄の1人と目が合った。

💙「お!やっと来たなくん」

私と目が合うや、ニカッと笑ったのは鏡に反射した兄 翔太。
この声に反応した他の兄達も一斉に入り口に居る私を見た。

💗「あーー!だ!!お前遅いぞー迷ったのかと思ったわ」
💙「俺ら遅いから迎えに行こうとしてたんだぞ?」
🌕「ごめんなさい翔兄さん、マネージャーさん電話が来ちゃって・・・」
❤「電話?それじゃあくん1人で此処まで来たの?凄いね、偉いよ」
🌕「うん、いや・・途中までは1人で来たよ」
💚「途中までは?」

佐久間を皮切りに一斉に声を掛けて来る兄達に笑みを返し答える。
ハンディカメラを止め、テーブルに置いてから傍に来た宮舘がニコニコしながら頭を撫でて来た。
佐久間はちゃっかりと肩を組んでいる、兄達との距離は中々に縮まっている証拠だ。

そんな中1人阿部だけが不思議そうな顔で聞き返して来た。
此処に来る事自体が初めてなのにマネージャーの案内無しで来られた事に驚いているのだろう。
勿論的には、瞬間記憶能力でマネージャーがした口頭の説明は記憶したのだが
肝心の建物の構造をマネージャーが記憶違いで説明した為、途中混乱してしまった為立ち往生はしてた。

これについて説明し、途中から居合わせたジャニーズの人に連れて来て貰った話をすべきか否か
阿部の顔を見ながら悩んだその一瞬、唐突に自分の後ろから穏やかな声で名乗り出る者が現れた。

💎「途中から俺が案内して此処に連れて来たんだよ~」
💚「高地??」
🌕「あ、そうなんですこの方が声を掛けて下さり案内して貰いました!」

ゆるゆるな笑みを浮かべて名乗り出たのは、さっき案内してくれたジャニーズの人。
その人は高地さんという名字らしい、亮兄が名前を口にしていた。

話そうか迷ったが本人が帰らずに後ろに居た事の方にビクッとしてしまったよ。
ドキドキした心臓を落ち着かせるように片手を胸にあてる

の背後に高地を見つけた面々は、各々違う反応を見せた。
お前未だ居たのか、案内ありがとなと感謝したのは佐久間。
同じく笑顔を見せたのは鏡台を立って此方に来た翔太の2人。

🦔「マンズ兄さん達にアクロバット教えて貰いに行きたいって熱心に言ってたから案内したんだよ」

その2人にニコニコと理由を説明する高地。
高地が説明した理由ってのはが苦し紛れに口にした適当な話である。

素直に信じた佐久間が¨お前アクロバットに興味あんのか??¨と嬉しそう。
理由を説明した高地本人がいる為、違うと否定出来ず曖昧に笑うだけの

対して難しい顔を一瞬見せたのは阿部と宮舘。
果たして高地は送って来てから戻ったのだろうか?と。
一度戻りかけたが、気が変わって此処に顔を出した可能性もある。

が、一番胸騒ぎを感じたのはそこではない。
一度戻ろうとして気が変わった、という予想を覆し胸騒ぎは現実になった。

🦔「ところで今、この子・・しょっぴーを¨翔兄さん¨って呼ばなかった??」

一度戻ろうとして居ればこの問いは出て来ないはずだから。
これにはニコニコしていた佐久間も翔太も意味を理解してカチコチに硬直した。
一瞬にして控室の空気が凍り付く中、高地の純粋な問いかけは続く。

バックを務めるJrなのに熱心だし、マンズ兄さんから控室に招かれる程仲が良いんだね!等々。
深い意味は無いと思うが所々鋭い問い掛けに押し黙る4人の兄。
これを見ていたは、自分が口にした兄さんという呼び方を
この人に聞かれるのは不味かったのだと察する。

言葉を失くして俯くに気づいた宮舘は
高地から注がれる視線から庇うようにフォローを入れる。

❤「俺達が可愛がってる子だからそう呼ぶ事も許してるんだよ」
🦔「そうなんだ、何か凄い自然に呼んでたからホントの兄弟かと思っちゃったよ~」

涼太兄さんが私を庇ってくれてるのだというのは、声の印象から感じる。
今ここで自分が口を開いても不自然にしかならないなと感じ
兄達と高地という人の話の行く末を見守るしか出来ない自分が歯痒かった。

兄達の様子からして、私の事を業界に隠し、伏せている事は無知でも分かった。
どうしよう、私がよく確認もしないで皆の事を呼んだりしなければ・・・

不安から自分の胸の鼓動が大きく聞こえる。
久々に漠然とした懼れを強く感じた
立っている足が震えそうになった時、またも背後に気配と温もりを感じた。

💛「高地、ジェシーが探してた」

そんな言葉と共には肩を引かれ、傾いた体と入れ違うように入って来た背中。
自然な動きでと位置を入れ替えつつ背に隠したのは見た事のある背だった。

より17㎝くらい高い位置にある背中は引き締まってて逞しい。
何度か目にしている慣れ親しんだ背中の主は、5番目の兄だ。
次いで姿の見えなかった深澤の気配と声も横から現れた。

💜「お前らSixTONESはホテルに帰るだけなんだからこんなとこで油売らないの」
🦔「岩本くんに深澤くん勢揃い!分かりました、兄さん達のとこに面会者も案内したし俺は帰りますね~」
💚「高地ありがとな」
🦔「んーん、どういたしまして!それじゃマンズ兄さん、明日から宜しくお願いします」
💗「またなー高地~」

現れた深澤は照の背中に隠されたの肩をポンと叩く。
目を合わすと優しい笑みが向けられ、不思議と安堵する事が出来た。

それから隠された先で照達と高地のやり取りを聞く。
悪意は感じられないが、妙にドキドキと胸が騒がしかった。

もしかしたら怒られるかもしれないと無意識に思う。
人懐こい笑みで挨拶した高地が、チラッと照の背中に居るを見ようとしたが
これまた自然な動きで照が半身を傾けるようにしてが見えないよう動く。

その甲斐あって最後まで高地と目を合わす事なく、彼は控室を出て行った。
高地を見送る足で歩き出した宮舘が開いたままだった控室のドアを閉める。

完全にドアが閉まってから漸くは無意識に止めていた息を吐き出した。
緊張から解放された安堵感で目の前に立つ照の背中にしがみ付きそうになるのをギリギリで踏み止まる。
打ち解けはしたが、自分から兄達にスキンシップを試みるのは出来ずにいた。

💛「おい大丈夫か

すぐ後ろを向いた照から問いかけられる。
息苦しさを感じながらも大丈夫だと頷き返す。

急な緊張感から久し振りにヒステリー球を起こしそうになっていた。
目敏く気づいた阿部が移動して来て、蓋の開いていないペットボトルの水を持たせてくれる。

💚「くん大丈夫?少し座ろう」
🌕「ごめんね亮兄」
💚「謝るような事じゃないよ」

控室にある椅子に座らせて貰いながら口から出る謝罪。
阿部はそう言ってくれたが、自責の念は薄れない。

現に不思議に思ったのだろう照と深澤が目線を合わせるように相向かいの席に座った。
自然と他のメンバーも歩み寄り、全員空いている椅子に腰掛ける。
皆が席に着くと、別にそれを待ってた訳でもないのに照が口を開いた。

💛「俺らが来るまでの間、何があったん」

有無を言わさぬ迫力を前に、説明の上手い阿部が答えを返した。
マネージャーに案内されて来た筈のは、途中から1人で此処を目指したが

口頭の説明に無い分かれ道が現れ困惑していた所
偶々通り掛かった高地に助けられ、自分達の控室まで連れて来てもらった。

高地に感謝とお礼を告げ、到着出来た安心感から翔太の事をシェアハウスでの呼び方で呼んでしまい
案内を終えたはずの高地が何故か控室に入って来ており
さり気なく、いや、純粋に気になったのだろう呼び方の事を指摘した。

そこに照と深澤が戻って来たのだと阿部は説明。
説明を聞き終えてからをチラ見する照と深澤。
眉宇を寄せ伏し目がちなは、先程から自分達と目を合わせない。
この様子から1つ感じた事を率直に照は口にした。

💛「、俺らはお前に対して何かを咎めたりする気はないよ?」
🌕「・・・・?」
💛「阿部の説明に間違いとかある?」
🌕「・・ううん、俺がよく確認しないで翔兄って呼んだのが悪かったんじゃないの?」
💙「そんな事くらいで俺らが怒るかよ(笑)」

内心で気にしていた事をすんなり見抜かれ、拍子抜けしてしまう。
そればかりか逆に兄達に笑い飛ばされてしまった。
軽く笑って言う翔太を見れば、他の兄達も頷き合っている。

💛「安心した?」

私が兄達の顔を見渡し終えたタイミングで優しく照兄に聞かれる。
こんな風に温かく見守られては頷く以外の選択肢はない。

コクリと頷けばすぐ兄達も嬉しそうに笑った。
感情表現豊かな佐久間は勿論、常に優しい雰囲気の阿部らは全身で喜びを表している。
そんなに喜んで貰えるようなリアクションはしてないんだけどな、とは驚きを隠せない。

深澤と照、宮舘は笑みを浮かべただけで静かに見守り
照れ屋な翔太は嬉しそうな顔はしているが、あべさくのようにハッキリとは表に出さない。
まあ全体的に6人は良い感じの雰囲気を纏うようになったのは間違いないだろう。
特に宮舘がこんな風に笑うのは珍しく、ボケたりする度合いも増えて来ていた。

という末っ子が現れた事で、6人の間にも良い変化を齎したのかもしれない。
その変化の1つをあげるなら、会話が6人の間で増えた事だ。
今までは多感な時期というのもあって、個室にこもりがちだったりもした。

まあその思春期めいたものを過ぎてからは10年位前とか?
逆に距離が縮まって仕事の後に6人で遊びに行ったりはしょっちゅうだった。
その時期も過ぎて来ると互いに交友関係も広がったりして遊ばなくなっていた。

一緒に過ごすのは仕事の時のみで、殆ど外の知人と交流していた頃にが新たに加わり
疎遠とまでは行かないが、関わりが薄れていた自分達6人の距離は縮まって
10年前と同じくらいを中心に共に過ごす時間が増え、今に至る。
最近の疎遠さが嘘みたいに今自分達の生活や考え方はを資本に動いていた。

仲は良いけど、その仲の良さを倍増させる磁石みたいな存在がという末っ子だ。
上手い表現が見つからないが、絆を強くしてくれたには感謝だな。
そう1人独白し終えた深澤はに温かな眼差しを注ぎつつ頭を撫でてやった。

🌕「?」
💗「あ!ふっか狡い、俺も撫でる~」
💜「狡いとか関係ないだろ佐久間は煩いな~」
💙「くんて不思議と撫でたくなるよね、うん」
❤「ああ分かる、何かこう・・撫でやすい?」
💛「え?それって撫でやすい形の頭してるって事?(笑)」
💚「それだとくんに失礼じゃない?w」
🌕「それ笑いながら言ったらフォローになりませんよ」
⛄「(爆笑)」

折角の頭ナデナデも、結局張り合う佐久間を筆頭に5人が手を伸ばし
好き勝手な事を言いながらの頭を撫で始めた。

もみくしゃにされただが笑顔も戻り、ヒステリー球も治ったようだった。
臆せず照の言葉にツッコミを入れてる様子からもそれが窺える。
そこで漸く雰囲気も元に戻り、高地について意見を交換した。

💛「高地の事だけど・・・どうする?」

先ず率先して口を開いた照を6人で見やる。
まあ言わずもがなの事だ、マネージャーにはやむなく明かしたが高地はグループ外。

人の良い性格をしているから他人に風潮して回るような事はしない筈。
その反面押しに弱いイメージの強い高地。

まあ高地自身が変に話したりしなければSixTONESの面々も聞き出したりはしないだろう。
・・・・んー・・ポロッと話しそうじゃね?by照
頭の良い阿部は照と同じ事を危惧したと見え、眉宇を寄せている。

💚「心配だから俺からそれとなく言っておくよ」
💛「んー・・・だな、お前ら仲良いし」
💚「戦略的に敢えて明かしてその上で口止めしておく方が良いかもしれないね」
💙「え?どういう事それ」
💚「知らない相手を黙らせるより、知ってる相手を黙らせる方が幾らでも手立てがあるって事」

キラッ、と音がしそうなあざとさでニッコリ答えた阿部。
それが逆に怖さを倍増させたのか、以外の5人が一斉に身震い。

💛「阿部こえぇえ(笑)」
💚「何か言った?('ω')」
💛「いや、別に(棒)」
💗「闇落ち阿部ちゃんは敵に回すと厄介だな」
💚「変な2つ名作んなしww」

目の前で繰り広げられるボケとツッコミ(?
取り敢えず話を纏めると、高地の対応は仲の良い阿部に一任し
少しほとぼりが冷めるまでの間、SixTONESと仕事場で合う可能性がありそうな時は控室待機させる事に落ち着く。

話し合いを上手く纏め、リハの時間になった兄達は席を立ち
見学させられる場所にはマネージャーが案内するからとに説明した。