宮舘と佐久間が1つの重要な記憶を思い出してから2日後。
それらについて話し合う機会は設けないまま、彼らはを連れ横浜へ発った。

いよいよ明日に迫ったジャニーズJr祭り2018
この公演の2日目にあたる25日には、自分達Snow Manが単独でステージに立つ。
とは言っても25日の単独ステージ前後には他グループの単独公演も行われる。

単独公演のトリを務めるのはSixTONESだ。
そして最終日の27日はほぼJr全員が主演する。

全行程含めると4日の横浜滞在。
初日と最終日のみ18時公演だけで後は2回公演が行われる。
その間にはずっとではないにしろ、ホテルに居て貰う事になるだろう。

何だか閉じ込めてるみたいな気もするなあ・・・
まあその場合、本人が希望するなら横浜の町を散策して貰うのでも構わない。
ずっとホテルに缶詰めでは息も詰まるだろうし。

👨‍💼「可愛い末っ子くんがまだ居たんだなあ」

と電車の座席でしみじみ呟くのはSnow Manのマネージャー。
内緒のままにしておきたかったが、やはりそうも行かず大人に頼る事とした。

大人と言っても年齢はSnow Manと左程変わらない?
マネージャーに可愛いなあというふにゃっとした顔を向けられた末っ子、
始めこそビクビクして照の背に隠れていたが、今の時点で隠れる様子はない。

時刻は朝7時、まだ朝早い為か乗客は少なくグリーン車も8人のみ。
2人掛けの席に2人ずつ座り、マネージャーは通路を挟んだ右側の座席から左側を見ている。
席順は進行方向からゆり組・ふかさく・いわ・あべマネとなっている。

グリーン車も2階建ての方ではなく1階部分しかない方に8人で乗っていた。
比較的家族連れや若者も利用が少ない印象の車両だ。
通路を挟んだ左右に4人ずつ座って目指す横浜までは都内からなので数十分程くらいだろう。
一応メンバーは素性が分かり難いよう帽子やらを目深く被り、サングラスを掛けたりと様々。

でもまあ未デビュー組ではあるから自然なファッションを心掛けていた。
隠し過ぎると却って目立ったりする事もあるからね。
移動中も照達は余念がなく、セトリを確認したり使用する曲を聴いたりしながら過ごしている。

💛「何か飲みたいのある?
🌕「んーと・・お茶とかがあれば飲みたいです」

ニコニコして見つめて来るマネージャーの眼差しに照れつつ座席に座っている末弟。
まさかマネージャーが子供好きだったとは、意外な一面を発見したなあと思う照達。
順調に横浜を目指す電車は今5分間だけホームに停車している。

それに気づいた照、ふと窓側に座るを振り向き聞いてみた。
何故そう聞いたのかというと、偶々見たホームに自動販売機が見えたから。
意図は分からず問いに答えるに照はオッケと返すと、すぐ立ち上がり電車からホームへ出て行った。

照が向かった自動販売機は偶々電車側を向いており、並んでいる商品が見えるようになっていた。
なので自動販売機前に着いた照はグリーン車がある側へ向き、窓側にいるに向かって商品を指さす。
が口にしたお茶系の見本を指差し、口パクで¨これ?¨と聞いてるのが分かる。
最初に照が指差したのは烏龍茶、ザッと売られているお茶系を先に見てみる

烏龍茶の他には爽健美茶とジャスミン茶に緑茶、おーいお茶、伊右衛門、生茶等々。
ふうむ・・・それぞれが美味しいとは思うが、常温になってからも味が変わらないものにしようと決め
照の指がとあるお茶を指した瞬間、は車内から大きく頷いて見せた。

の頷きに照も親指を立てて了解し、小銭を入れ、そのお茶と自分用の飲み物を購入。
発車まで残り2分を残し、照はホームからグリーン車へ帰還した。
昇降口から現れた照に安堵したような目を向け、迎える

💛「ん、これで合ってる?」
🌕「はいっ、照兄ありがとう」
💛「俺も飲みたかったしな、でもお前渋いなー」
🌕「ははは、そうですかね?」

私が頼んだのは¨からだ巡り茶¨。
ボトルもシュッとスレンダーで細身、手にフィットするのが気に入っている。

味もさらっとしていて飲み心地も良く癖が無いから常温になっても味が変わり難いのだ。
ただ値段が150円ちょいするのであまり買う事が出来ない。
今回は照兄が買ってくれる感じがしたから思い切って頼んでみた。

渋いなーと笑った照兄が手に持っているのはミックスジュース?
つくづく見た目とのギャップが凄い人である。

取り敢えず一旦滞在するホテルに向かい、部屋割りを決めたりした後は
前日でもあるので一通り改めて公演のリハを行うらしい。
見学をする事も可能かもしれないが、メンバーと兄弟ではあるがは一般人だ。

でもまあ・・・一応関係者?でもあるんかな?
Snow Man単独のリハーサルなら見るのも可能かもしれない。
それだったらマネージャーに相談したら実現する気はする。
とか考えつつ照は買ってやったお茶の蓋を開けてやった。

💛「もし持てそうになければ言って、着いたらストロー探すから」
🌕「照兄ホントありがとう、ごめんね面倒掛けて・・」
💛「全然迷惑じゃねぇよ、試しに持ってみ?」

一昨日医大に行き、診せた結果の両手は全治1ヶ月という診断が下った。
やはりガラス片を握り締めたのが良くなかったらしく、細かい欠片を取り出す必要があったのだ。

指を曲げる為の関節と親指の付け根が深く切れており
傷口が癒えるまでは曲げる事も叶わない・・やっぱ持たせるのは無理がありそうだな。

🌕「手に挟む感じにすれば持てなくはないかな・・・」
💛「それだと飲み難い事この上ないな、やめとこう着いたら紙コップも探すか・・」
🌕「うん・・」

一応両手に挟めば支えられなくもないが危なっかしい。
物を握って支えられないのは不安定だなー・・。

しょんぼりしたの頭を撫でてやりつつ打開策を練った。
その時と閃いた照、あ!と呟いてから名案だと言わんばかりに目を輝かせて提案。

💛「あれだ、ストロー付きの水筒買えばいいんじゃね?」

持つ事は出来なくても手を添えて水筒を支えられれば飲めるのでは?と。
これにはも納得し、確かに!と同じように目を輝かせた。
何か平和な光景だなあと左側にマネージャーと座っている阿部はと照を眺めていた。


+++


そして到着した横浜市。
駅に停車した車内からそれぞれが降り、朝のラッシュで混み始める前にホテルを目指す。

横浜アリーナに近いホテルにはタクシーで向かう手筈になっている。
タクシー乗り場から4と4に分かれてタクシーに乗り込む。

組み合わせはマネージャー、深澤、渡辺、佐久間。
そして残る93年組ととに分かれ、ホテルを目指す。
直でアリーナを目指しても良いのだが荷物を置いてから行きたい・・・

💛「ホテルの近くにコンビニとかあったら寄りたいんだけど良い?」
💚「コンビニ?まあ良いんじゃない?」

タクシーのトランクに荷物を載せ、発車した車内で照が2人に問うと
阿部も宮舘も大丈夫だよと頷いたので、早速照は地図アプリで近隣の地図を調べた。
座り方は助手席に阿部が座り、両端に照と宮舘で真ん中にとなっている。

話し合って決めるでもなくごく自然にこの座り方になった。
そして検索中の照は地図アプリで調べた結果、徒歩圏内にコンビニがある事を発見。
運転手には普通にホテルを目指して貰い、コンビニには到着して荷物を置いてから行く事とした。

現地についてからのリハは全体での通しリハと、グループ毎のリハとで別れて行う事も分かり
半々とメンバーは分かれているが、取り敢えず居るメンバーだけで何となく話はした。

やはり全体のリハの時は連れて行くのも難しいと判断し
今日の夕方から行うSnow Manのみのリハにのみ見学に行けるようマネージャーに伝えた。
明日になってしまうと恐らくリハはもう出来ないだろう・・一応明後日の午前中に最終確認は行う感じだ。

忙しいのに連れて来てくれた兄や、許可してくれたマネージャーには大感謝の
一応1人で過ごす際に暇つぶしになるアイテムは幾つか用意した。
リモート授業に出れるように持参したノートパソコンとiPad。
今時のホテルならWi-Fiも完備されているし、インターネットは出来るから完全に暇にはならない筈。

脳内で持参した荷物の確認をとりつつ車窓の外に流れる景色を眺めた。
埼玉とはまた違うしシェアハウスから見る景色とも違う高層ビル群。
こういう場所に出たのは稽古場を見学しに行った時と、医大に行った時くらいかな。

地上から見上げる空は狭く、殆どがビルばかり見える。
うっすら覚えている埼玉での空は広く見えてた気がする・・・
夜景も綺麗で星空がキラキラしてた・・そう、2度目の家出の時見た夜空も・・・。

💛「そろそろ着くから降りる用意な」
🌕「――はいっ」

ぽけーっと記憶を辿っていたら真横から聞こえた照の低い声に慌てて前を見る。
確かにそれらしい建物が眼前に現れ、タクシーも速度が落ち始めていた。
危ない危ない、ボケッとしてたわ。

最悪な思い出しかない生まれ故郷だが、1つだけ救いはあった。
竜憲夫婦に引き取られ、伯父の家から逃れ6人の兄に出会えた事が最大の救い。
後は・・・最近になって偶にチラつく過去の情景。
詳しく思い出せないからスッキリしないけど、不快ではないからきっと良い記憶だと思う。

やがてタクシーは到着し、2台のタクシーからそれぞれ8人が下車。
トランクから荷物を受け取り、各々が代表してタクシー代を支払った。

👨‍💼「それじゃ受付して来るよ、ロビーで待ってて」
⛄「はーい」
💗「待ちながら部屋割り決めようぜ!」
💜「だなーそうすっか」
💙「オッケ―、取り敢えずロビー入るべ」
💗「了解であります!」

ホテルには大部屋なんてものはないので2人ずつに分かれる。
ロビーの片隅で目立たないようにぐっとパーで分かれましょ、を開始。
何回か繰り返した結果、部屋割りが決定。

いわあべとだてさくにふか、翔太が1人部屋という風に分かれた。
Snow Manの6人は基本どの組み合わせでも上手く行くグループなので
お前とかー!なんて言い合いつつも楽しそうである。

唯一人、だけはちょっと緊張していた。
無条件で安心する相手の照でもなければ、唯一女子と知る阿部でもなく深澤と2人部屋・・・・
でもまあ全く話した事が無い訳ではないし・・・うん。

それに深澤からのスキンシップは度々受けて来ているから大丈夫よね。
何に対する大丈夫、なのかはさて置きメンバーのリアクションはそれぞれ異なった。

💗「舘さんとだーー!」
❤「うん、宜しくね佐久間」
💜「とは初だなあ宜しく、俺ら居ない間も好きに使ってて良いからね」
🌕「はい!」
💛「阿部とは何か初めてかも?」
💚「確かにそうかも、まあ宜しく照」
💙「俺1人部屋かー気楽で良いわ~」
💗「でも翔太、寂しかったら遊びに来ても良いでやんすよ?」

半笑い佐久間うぜぇ(笑)と言いながら翔太に押しやられる佐久間。
待機してるだけでもわちゃわちゃと賑やかな兄達。
そこへルームキーを手にしたマネージャーが戻って来た。

取り敢えず兄達は荷物だけ置き、全体の通しリハへ向かう。
その間だけがホテルで留守番となる。

取った部屋は9階の5部屋。
一応マネージャーも同じホテルに部屋を取る事にしたらしい。
そしてマネージャーは先にレンタルカーを借りに照達へ鍵だけ渡すとホテルを出て行った。

残された7人はマネージャーを見送るとエレベーターへ。
一瞬だけエレベーターに乗っても大丈夫かを気にする6人。
から打ち明けられた過去の壮絶な体験を聞き、閉所が苦手なのも知った今
尤も閉所であるエレベーターという空間にが耐えられるのかを危惧。

一応エレベーターを1階へ呼んでみてから決める事とした。
待つ事数分でエレベーターが到着、両開きの扉が開いてから目にした光景。
それはまあお洒落なエレベーターだった。

💜「うわーこれはヤバイ」
💛「これ高所無理な人が逆に乗れんくね?(笑)」

という照に残る面々が¨それな¨と声をハモらせた。
到着したエレベーターはガラス張りに壁面がなっており
閉所感は皆無、外の景色が見える造りになっていた。

これならも乗れるのでは?と本人を見やる照。
すると本人も目を輝かせ、外の景色に興味を奪われているのが見て分かった。
多分この様子ならエレベーターには乗り込めそうだな。

念の為6人が先に乗り込み、最後にを乗せる感じでエレベーターに乗り込む。
閉所はダメだが高い所は大丈夫らしく、目を輝かせている

7人を乗せたエレベーターは9階を目指して浮上。
その間ずっとは外の景色を眺めていた。
こういう事でもなければ恐らく来ることはなかったかもしれない初めての場所。
エレベーターが9階に到着するまでずっとその景色を目に焼き付けていた。

到着した9階はこれと言って特別な区画ではない。
だが横浜のホテルというだけで何とも特別感は出るものだ。

マネージャーから受け取ったルームキーには部屋番号が書かれ
2人部屋が3部屋続き、1人部屋の翔太とマネージャーの部屋とは何部屋挟んでいる。
多分部屋の広さで分けられてるのかも?

深澤からメンバーはカードキーを受け取るとそれぞれの客室へと分散。
両サイドの客室に、いわあべとだてさくが泊まる部屋割りになった
翔太だけは少し離れてしまうが、マネージャーと隣同士なのでまあ大丈夫だろう。

💛「あ、俺に持つ置いたら先にコンビニ行ってくる」
💚「俺も行こうか?」
🌕「俺の買い物ですし俺も行きます」
💛「いや人数居ると目立つから俺だけで行ってくるわ」

客室の扉の前で此方を振り向き、外出する旨を口にした照。
恐らくストロー付きの水筒を買いに行ってくれるのだろう・・・

阿部やも同行すると申し出たが、多数だと目立つ事を指摘され
熟考した末、照の懸念に従いコンビニに向かうのを送り出す事とした。