兄達に大体の事を話した事で安心したは、一寝入りした。
佐久間はリビングで宮舘や渡辺らと共にの近くで過ごし
医大に行く支度をしに行っていた照と深澤もそれぞれの個室からリビングへ戻って来た。
阿部だけが少し遅れてリビングに到着。
今の時間は13時45分になろうとしている。
診察券やらを出す都合上、そろそろを起こさねば。
気持ち良さそうに寝ている為起こすのは偲びないが
そこを敢えて深澤は迷いなく眠るの方へ行き、肩を揺らした。
💜「、そろそろ行くから起きな~」
💚「病院行こう?くん」
🌕「むー・・・病院・・」
💗「眠そうなかわいい~」
💙「佐久間はもっかいくらい怒られろ(笑)」
💛「ちょっと事務所寄ってから行くから手早く行くぞ」
🌕「ふぇ――」
忘れていた訳ではないが、自分達は事務所の移動車で大学院へ向かい
そのままシェアハウスに帰宅している。
さすがに事務所の車を庭に置いたままってのは気が引ける(落ち着かない
中々起きないをちゃんと起こしてやるだけの時間が無く
手荒いがソファーに屈み、上体の背中と膝裏に腕を差し入れる照。
そのまま肩に担ぐようにして抱え、立ち上がった。
💛「あのさやっぱふっか留守番で良い?移動車を佐久間か翔太に事務所まで乗ってって欲しいんだわ」
💜「おお、まあ俺無免許だしな(笑)」
💙「良いけど事務所からの帰りはどうすんの?」
💛「俺らが後ろついて行くから、そのまま一緒に医大」
💙「なるほどね分かった」
💗「今度は俺がやるー」
半分寝てるを左肩側に担ぎながら手早く照は説明した。
すぐ意図を察した深澤は大人しく同行役を代わる。
この中で免許を持っているのは照、阿部、佐久間、翔太の4人。
メンバーからも運転が上手いと評判なのが照と翔太に佐久間。
阿部は・・・・まだ取り立てだからね!
という訳で翔太に頼もうかなと考えていた照だが
頼むわと言う前に名乗り出る者が居た。
そのデカイ声だけで名乗らずとも分かる次男、佐久間大介である。
運転が下手という訳ではないんだが、何となく心許ない感じがするのは何故なのか。
一瞬漂う何とも言えない沈黙の中、キラキラした目で此方を見る佐久間氏。
正直悩んだ、一応阿部と佐久間以外は普通車を乗りこなす。
あべさくも普通車を運転する事が出来る免許証は持っているが・・・うーむ。
どちらを選んでも心許ない佐久間。
決定権は深澤に委ねられた。
💜「移動車は照が運転で、翔太の車で照の後追っかけて貰おう」
💗「ちぇー・・」
💛「ごめんな佐久間、また別の機会にお前の力借りるからそん時は頼む」
💗「・・・おうよ!」
出番ナシかあと項垂れる佐久間にフォローを入れつつ照は言葉をかける。
全く頼りにしてないとかではない、適材適所という奴だ。
寧ろ照は内心佐久間を頼れるやつだと認めている。
軽自動車を普段使用してる佐久間が照の四駆を運転出来るのかだけが心配だっただけ。
それならまだ普通車のボックスタイプを乗りこなす翔太に任せるのが賢明だと判断したまで。
引き際を心得る佐久間は照のフォローをしっかり察し、嬉しそうにニカッと笑った。
こういう切り替えの早さと素直さが佐久間大介の魅力である。
普段から賑やかで常に笑顔で、周りを自然と笑顔にしてしまう佐久間。
先ず自分自身の意識を上げなければならないし、笑顔をお裾分けする側の人間は誰より気遣い屋で強い。
時折無理してないかが気になるが、佐久間自身が疲れてる時等はメンバーの誰か
その時気づいた誰かが隣に居たり一緒に過ごしたりしているのを見かける。
例えば照達が此処に戻るまで佐久間に寄り掛かっていた翔太のように。
お互いがお互いを理解し、リスペクトし合うSnow Manだからこその連係プレーだ。
与えられるばかりでなくそれぞれが相手に還元出来る生き方をしている。
そういう所が彼ら6人の魅力であり強みなのだろう。
💛「そいじゃ行って来る、留守番宜しく頼むわ」
💜「おう、道中気を付けてな」
未だを担いだままの照と、連れ添う阿部や翔太に手を振る留守番組。
見送りに出た3人へ照らも手を振り、シェアハウスを出発して行った。
彼らを見送ってから数十分後、特に何かするまでもない留守番組は
リビングで寛ぐ深澤、その周りでは洗濯物やら何やらをする宮舘。
佐久間はその宮舘の手伝いを申し出たらしく、洗濯籠を手にウロウロしていた。
そんな時、電話の呼び出し音が聞こえた。
俺かな?と佐久間が自分のiPhoneを取り出そうとするが
❤「俺のケータイかな」
佐久間のではなく自分のだ、と宮舘が口にした。
医大に向かった照達かな?とも考えたがそれは無いと思う。
仮にそうだとすれば、自分にではなく深澤に電話をするはずだと。
宮舘の予想通り電話の相手は照達ではなかった。
鳴り続けるiPhoneの画面をスライドさせ、出るをタップ。
足を止めた宮舘の代わりに籠を持った佐久間が残りの洗濯物を入れに向かって行った。
佐久間の気遣いに感謝しつつ電話に出ると、聞き慣れた声が聞こえる。
相手は後輩であり、実は付き合いもそこそこある男だ。
🖤『もしもし舘さん?』
❤「目黒か、何かあったの?」
🖤『実は滝沢くんから伝言を頼まれたんです』
❤「伝言?」
用向きを聞けば伝言を滝沢から頼まれたと話した。
思えば滝沢には関係の事で迷惑を掛けっぱなしだと宮舘は感じる。
もしかするとその事で何か伝言があるのかも?と予想しながら宮舘は目黒を促した。
宮舘に促され、伝言を話し始めた目黒。
彼によると滝沢は宮舘の予想したような事とは違う事を伝えるよう頼んだらしい。
全てに融通を利かせる事は難しいが、時と場合によっては早抜けの許可は出せる事。
その代わり皆と進みが遅れるのは自分達で調整し、支障が出ないようにする事。
ごく当たり前な事ではあるが、早抜けが許可して貰えた事は助かるなと思った。
一番良いのはそういう事態にならない事だったりする。
まあも迷惑かけたい訳じゃないのは皆分かっているし・・不測の事態すぎたからね・・・
それに大学院での暴行事件はくんのせいではなく、寧ろファンの暴走でもある。
自分達を応援してくれるファンの子がそんな風に行動を取らざるを得なくなってしまったのは遺憾だ。
🖤『ってのが伝言っす』
❤「うん分かった、わざわざ有り難う目黒」
宮舘の思案が終わると同時に聞こえた目黒の声に礼を言う。
なんだか目黒はよく滝沢から自分達向けの用事を任される率が高いな?
男気もあるしストイックで真面目な目黒だから、信頼を早くも置かれてるのかもしれないね。
そんな目黒から遠慮がちに宮舘は質問を受けた。
🖤『あの、舘さん・・』
❤「うん?」
🖤『末っ子くん、大丈夫でしたか・・・?』
❤「あー・・もしかして目黒も稽古場に来てた?」
🖤『はい、皆さんの様子もただ事じゃない感じだったじゃないすか・・・だから大丈夫かなって』
❤「そっか心配してくれたんだね、大丈夫有り難う・・今丁度医大の方に行った所だよ」
聞かれたのはの事だった。
まあそう言えば3月の4日くらいに一度目黒は此処に来ている。
そればかりかまだ警戒心の強かったに怯えられてしまい
偶々阿部も早抜けして同行していた為事なきを得た。
自分達以外で初めてこのシェアハウスに足を踏み入れた外部の人間である。
阿部が言うには結構の事を気に入ってたとか。
なるほど、それもあっての質問か。と宮舘は納得
詳しい事情は伏せたまま状況だけ話し、言葉にしても良い情報だけ伝える。
目まぐるしく半日が過ぎたが、これでもまだ1日の中で起きた一部に過ぎない。
が暴行されたのも今朝だ・・恐ろしい事に数日前の出来事ではないのである。
今日はずっとと共に過ごせるよう滝沢が計らってくれた。
明日の予定も今の所未定、もし何かあるとしたら無理に稽古を捩じ込む事くらいだろう。
そしたら23日には東京を発ち、24日の朝に横浜入り出来るようにしなくてはならない。
🖤『舘さん達が横浜に行く間・・・末っ子くんはどうするんですか?』
❤「うん、その事もつい数分前まで話しててね・・目黒や滝沢くん、並びに稽古場の人達に協力を仰ぐ事になると思う」
🖤『俺にもですか?』
❤「勿論目黒にも、代役とはいえ共に舞台に立つ仲間だからね」
🖤『仲間・・・俺嬉しいっす、何か出来そうな事あったら言って下さい力になれるよう頑張ります』
❤「有り難う目黒、その時は遠慮なく声かけるよ」
🖤『はい、それじゃあ舘さん俺この辺で失礼します』
❤「うんまたね目黒」
純粋な質問に少し間は置いたが、何れ滝沢にも話す事でもあったので
今後稽古場やレッスン時にを同行させて貰えないか頼むかもしれないと目黒にふんわりと話しておいた。
意外と勘の良い目黒、全て察したかは分からないがそれでも声からして嬉しそうな印象を受けた。
この素直さは幾つになっても忘れないで居て欲しいなと、身内みたいな考えを持った宮舘。
目黒からの伝言をそのまま手にしていたiPhoneでLINEを起動し
Snow Man共有のグループLINE内に投下しておいた、間違いなく皆にとっても有り難い話だと思う。
その傍ら意識を新たに強くしたんじゃないかな?
と1人思いながら洗濯場に行った佐久間を手伝う為、宮舘もそこへ向かった。
洗濯場は2階の陽当たりが良い南側に設けられている。
ジャニーズというアイドルを職に選んだ自分達の為に養父が設計してくれた場所。
洗濯場へ続く仕切りの戸を開けて入って行くと
すぐさま気づいた佐久間がパッと顔を輝かせて宮舘を見た。
💗「あ!涼太お帰りー」
電話誰から?とさり気なく言葉にしつつ近くに来る。
宮舘の事を名前で呼ぶのは、幼馴染の翔太とこの佐久間くらいだろう。
Snow Manのゆり組と言えば宮舘と翔太が有名だが、実は佐久間も彼らと同じ区出身で
孤児院へ出されるまで区内の園で『ゆり組』だった過去があるのだ。
一応年齢では宮舘より佐久間の方が年上な事もあり、数少ない名前呼びをする時もある。
普段は『舘さま』と呼んだり『舘さん』と呼ぶ事の方が多い。
今みたいに限られた状況になると専ら名前呼びだ。
10年くらい前は特に名前呼びをされてたと思う。
ミスノ時代は今みたいに深い付き合いはしてなかったし・・この家に来たのは18.9歳くらい?
2012年の滝沢歌舞伎本番で新しくSnow Manとして紹介され
その僅か4ヶ月後かそこらに社長、ジャニーさんに呼び出されて・・・
あれ?何でそこにジャニーさんが出て来たんだっけ。
💗「おーい涼太??」
❤「・・ねえ佐久間、俺達にシェアハウスで暮らすように言ったのは竜憲さんだよね」
💗「??ああうん、確かそうだったよ」
❤「そうだよね・・・」
💗「その疑問は電話が理由?」
❤「いや、2012年頃に何でジャニーさんに呼び出されたような記憶があるのか気になっただけだよ」
近くに来た佐久間も一緒になって首を傾げている。
佐久間から久々に名前呼びされた事について振り返ったら浮かんだ疑問だと説明も足す。
宮舘の急な真面目モードに対し、さっきかかって来た電話がそうさせたのかと読んだが
まさかの自分が名前呼びした事がトリガーになっていたとはと内心吃驚な佐久間。
うーん、2012年のいつ頃だっけ?と少し佐久間も思案。
あの頃は結構不安定な時期でもあった、ミスノが解散となって自分達の立ち位置を見失いかけ
それでも頂いた仕事には真摯にあたりたいと、ただ選抜されたJrとして舞台に立ち続けた日々。
正式にグループ名が決まったのは滝沢歌舞伎の一幕。
自分達が6人揃って舞台に立ち、登場したその瞬間に客席が騒めき
不思議になりながら振り向いた背景に映し出されたのが『Snow Man』の文字だった。
あの瞬間に自分達は漸く『名前』を貰ったのだ。
それまでは名乗る名も無く、ただのいちJrとして舞台に立ち
紹介される際もジャニーズJrと紹介されていただけに純粋に嬉しかったのを覚えている。
漸く堂々と名乗れるグループ名が貰えたのだ、あの瞬間をくれた滝沢には恩しか無い。
でまあそれを踏まえた上で宮舘の感じた疑問と問いだが・・・
呼び出された事自体数少ないから佐久間は結構すぐ思い出せた。
💗「確か2011年の震災で俺らの居た孤児院が被災して・・ジャニーさんが竜憲さんを紹介したような?」
自分の記憶に在る光景を思い描きながら宮舘に話し、そして同じ所で疑問を感じた。
何故ジャニーは竜憲と面識があったのか、今までは気にした事もなかったこの繋がり。
一度気付いてしまったらそのままにはしておけなくなった。
・・何故竜憲だったのか、しかし考えるにはまだ材料が足りない。
まだ目を向けるには早い疑問だった可能性もある。
佐久間と2人、何とも言えない沈黙の中 宮舘は乾いた洗濯物を入れつつ数分だけ黙り込んだ。