💛「話せる時が来たら話すって言ってたの覚えてる?」
帰宅した後言われた照からの言葉。
正直よく覚えてたなと感心させられた。
照は俺が皆を緊急招集ってグループLINEで呼び出した日の事を言っている。
あの時、噂の天才がくんだった場合 一致しない事があって
その事で1人思案してた、今もその時の答えは言えそうにない。
確かに俺の卒業した大学院に、1人の若き天才が招待入学はして来たよ。
名前は独り歩きしていたから知っていたし、女性だと言う事も知っていた。
でも竜憲さんから聞かされた新しい養子の男の子の話と名前を聞いて驚いた。
経歴は大学院に招待入学した天才と同じ、なのに性別は男の子だと聞かされたからね・・
どういう事なんだ?って混乱はしたけど引っ越してくる当日出迎えて
俺の事を知らないはずなのに¨阿部先輩¨と呼んだ事で完全に合点が行った。
今となってはもう違和感でも何でもないし、全部知ってしまってる。
だから黙っておくのも潮時な気もする・・・でもダメなんだ。
言うか言わないかを決めるのは俺でもなければ竜憲さんでも無い・・自身。
💚「覚えてるけど・・こればかりは俺から言える事じゃないんだ・・・」
💛「・・・お前も、自身に丸投げするんだな」
💚「――・・っ、何と言われてもこの事だけは俺じゃダメなんだ・・くんが決めなきゃ」
💛「・・分かった、お前がそこまで言うなら俺ももう聞かない」
💚「ごめん・・・今言えるのは、彼だけじゃなく俺らにとっても大事な事だから・・」
💛「・・・ん、でも俺は重要な決断?をとか阿部だけに背負わせたくないからさ」
💚「照、お前ってホント・・お人好し」
別に良いしお人好しでも、と阿部の言葉に笑う照。
💛「話そう、て決意した時には俺らにも教えて欲しい すんごい独りで悩んで抱え込んだ後に苦渋の決断とかさせたくねぇからさ
つまり、一緒に悩んだりさせろって事。俺ら、メンバーでもあるけど兄弟じゃん?」
そう締め括り、お人好しな5男坊は笑うのだ。
は俺達を眩しく輝く光だと言ったが
その表現は照にこそ合ってるんじゃないかなと感じた。
照には¨この人について行けば大丈夫だ¨と思わせる何かが備わっている。
まるで俺達を照らす光のように・・まあその点ではふっかも同じかな。
照が照らした道を俺達が間違わず進めるように導いてくれるのがふっかだからね。
この2人は、なんだろ・・絶対に俺らを見捨てない。
何があっても一緒に連れて行こうとする、誰かが遅れてれば気づいて手を引いてくれる。
💚「・・くっそ・・・ホント敵わねぇなぁもお!」
💛「お?え?」
💚「何だよもうそれ大好きじゃんかよー!」
💛「えっ??何が起きた?」
💚「正直言うと結構言わないでいるの俺だって限界だっつの!」
💛「取り敢えず落ち着け??」
でもホントに言えないんだ、俺の一存ではそれこそ勝手に話す事は躊躇われる。
男の姿のままでいる事が条件だった場合、話してしまったら彼女の立場を悪くしてしまうかもしれないから。
何かもう全部ぶっちゃけたい気持ちとダメだって思う感情がぶつかり合ってる。
引っ込んだはずの涙がまた溢れ、目の前に立つ照の胸板をポカスカと叩いてやった。
それこそ俺が今こうして泣いてる事の恥ずかしさも情けなさも全部照のせいにしてやりたい(ぇ
謎の八つ当たりを泣きながらし始めた阿部に、照はキョトンとなる。
突然の事に慌てた照、兎に角車の鍵をかけ、泣きじゃくる阿部の肩を抱き
頭ごと自分の方に引き寄せて慰めつつ玄関へ急いだ。
何があったのか全く分からないが此処はまだ庭。
門の外には数人だけだがファンの姿もある。
内輪のやり取りはなるべくオフにしておかねば、と考えた。
❤「照?大丈夫か?」
阿部の声が聞こえたのか、宮舘だけが玄関から顔を覗かせた。
その宮舘にまあ大丈夫、と返し一緒にシェアハウスへ入る事に成功(?
大丈夫とは言ったが阿部には驚かされた。
今まで抑え込んでた感情が爆発したのかも・・?
まあ・・・ここ数日はの事で色々頭を使ってただろうしな。
今日だけしかないけどゆっくり休ませてやる方が良い。
一番衝撃を受けてたのも阿部だし、今日一でかなり大きく感情も動いたはずだから。
💚「うう~・・・照のばかやろー・・ふっかのあふぉー・・」
❤「――・・阿部にお酒飲ませた?<真顔>」
💛「んな訳ない!(笑)急にボケるのやめよう?ww」
玄関に入るなり元末っ子上等だとばかりにオラつく阿部。
オラついてはいるが照にギュッとしがみ付いて言ってる為あんま迫力は無い。
車内の阿部から180℃豹変した様に目をパチクリさせた宮舘。
十分に間を取った後、素面のまま此方を見やって発した宮舘の言葉には不意を突かれ吹き出す照。
ごめんごめん、とちょっと笑いながら言う宮舘も人が悪い。
取り敢えずしがみ付いてる阿部に声を掛けてみるが離れる様子はない。
これは完全に元末っ子が末っ子モードにシフトチェンジしている・・・
吃驚はしたが、今回は宮舘も照と同じ思考に至っていた。
今回の件で一番動いていたのは他ならぬ阿部、頑張った反動?かは分からないが
急に末っ子返りをしたのかな?と感じ、好きなようにさせてやるかと苦笑。
❤「照は取り敢えず阿部を個室に送って来よう?」
💛「んー・・そうするわ、さんきゅ舘さん」
一旦休ませたら阿部は落ち着くだろうと判断し、2階の個室を見やる宮舘。
その仕草で意図を理解した照は素直に頷き、腰にくっついてる阿部を促した。
はちゃんと深澤と翔太、佐久間が個室に送り届けている。
皆を待つ間、俺は昼食の用意でもしようかな?
それぞれを玄関で見送った宮舘は1人笑むと、洗面所へ向かいうがい手洗いを済ましつつ
気持ちを落ち着かせる為に温かい飲み物とかも用意しようと考える。
大学院についての結論は、くん自身が多分決めるだろう・・
彼の事だから恐らく中退の道は選ばず、ちゃんと卒業すると言い出しそうな気はする。
でもそうなったとしても彼が選んで決めた結論なら俺らは反対出来るはずもないしね・・・
少なくともくんは¨逃げる¨事はしないで立ち向かう子だと思うんだ。
若しかすると俺の願望かもしれないけど・・そうなったら俺は全力でくんを支えたいな。
+++
さて、無事に個室へを背負って連れて来た深澤達。
3人とも既に此処には入った事がある為、慣れた足取りでドアを開けて入室。
部屋着に着替えさせてやろうかとも考えたが翔太の
¨年頃の子だし無断でタンス開けられるのは嫌だと思うよ¨
ていう指摘に着替えさせずに寝かせる事にした。
つか例えがタンスってのは古くないか?
内心突っ込む事は忘れない深澤。
佐久間も同じことを思ったらしく目が笑っている。
せめてクローゼットって言えよと小さく突っ込むに留めた。
💜「それじゃ取り敢えずリビング行きますかー」
💙「俺その前に着替えて来るわ」
💗「俺も荷物置いて来る」
💜「おっけ、着替えたり荷物置いたらリビングな」
💙💗「あーい」
一旦話し合う必要があるかなと感じて深澤はそう提案した。
今回の事とかの状況を踏まえた上でのこれからについてを。
多分だけどは休学とか中退の道は選ばないと思うんだ。
だからそれ以外の道を選んだ場合の事と、後は・・心のケア・・・だろうな。
思い浮かぶのは阿部の様子。
ただならぬ様子だったし、阿部だけは別の何かを見ている気がするんだよなー・・
それは感じていても自分から阿部にその事を問うつもりは、現時点で深澤には無かった。
一方で深澤達がの個室から出て来るより数分早く阿部の個室へ入っていた照。
取り敢えず室内のソファーに阿部を座らせる。
💛「ちょっとでもいいから取り敢えず休んどけ」
個室に来るまでの間に落ち着きを取り戻したのか、頷きを1つ。
中々の末っ子返りだったから尾を引くかと心配したが
そこは阿部、自身の中で気持ちの整理はついたのだろう。
阿部自身も黙ってるのは辛いと、庭で吐き出していたから・・実際辛いんだと思う。
辛いと口にしながらも言わないで居るのは、それなりに精神力を必要とする。
黙っているのが辛いから吐き出して楽になりたい、大抵はそうやって口を割るものだ。
俺の事をお人好しと言ったが阿部も大概お人好しだと思うぞ?
相手の事を考えてなければここまで長くだんまりを貫き通せないと思う。
本人が本人の言葉で言う事の大切さを知っている。
且つ、やはり阿部は真相を知っているという事の確証を照に与えた。
💚「・・・照、色々ごめん」
💛「別にいいよ、けど阿部はもうちょっと息抜こう?俺が言うのもあれだけど小難しく考えすぎ」
💚「そればかりは性格と言うか・・」
💛「直せなくても気をつけるだけで大分違うだろ、佐久間とか見とけばいいんだよ」
💚「ああ・・・・?でも佐久間も偶に背負い込むからなあ」
💛「それなー、基本俺ら抱え込むよね」
💚「ふっかもあれでいて結構ね」
💜「――なんだ?あれでいて結構イケメンだって?」
💛「ちげぇし急に沸くなよ(笑)」
取り敢えずSnow Manあるあるな話に話題が移る。
底抜けに明るい佐久間も割と落ち込んだり抱え込む節があるのだ。
これは憶測ではなく、6年以上前から実証されている事実。
佐久間は最初から今みたいに明るかった訳ではない。
キャラ付けに迷走している頃は硬派な2枚目を目指して無口だったし
もっと遡れば佐久間は元来人見知りの引っ込み思案だった。
これはファンも知らない自分達だからこそ知り得る事。
同じく深澤にも言える事で、彼も6年前は佐久間共々無口な2枚目を目指していた。
滝沢に¨お前はそっちじゃない¨と言われて以降、素直にキャラ変。
難しい性格と言われがちなB型だが、割と素直だったりする。
そんなやつだからこそSnow Manのまとめ役になったのかもな。
と良い感じに振り返ろうとして居たら本人が突然現れた。
全く・・・自由にふわふわしてるくせにちゃんと全体を見てるんだよなーこの2人は。
あれまた腹立って来たな(笑)
突然現れたふっかは、イケメンをズバッと照に否定されしょげている。
ネタ的な弄りで否定はしているが、Snow Manのリアコ枠だよねふっかは。
まあ兎も角、匂わせとくか・・・
1つ何か心に決めた阿部。
話が逸れ始めたので、論点を戻すべく目の前の照と深澤の腕を掴んで注意を此方に戻す。
💚「それで2人とも、ちょっと頭の片隅に置いといて欲しいんだけど」
💜「お?なんだなんだ?」
💛「・・ん?」
すぐ此方を振り向いた深澤と、さっきの暴走(?)を見ている照は心配気に阿部を見た。
2人から向けられた視線をきちんと受け止めてから一呼吸。
💚「くんの事、彼が今後もし自身の事について真剣に話した時はきちんと聞いてあげて欲しい」
💛「それは勿論」
💜「言い方の感じからして阿部ちゃんは彼が何れ話す事が何の事なのか知ってるね?」
💚「・・・うん、知ってる」
💜「それを知ったのは何で?」
💚「・・・・彼が話した訳じゃない、間接的に気づいちゃっただけなんだ」
💜「なるほどね・・・流石Snow Manの頭脳阿部ちゃん!」
話したら話したで、深澤のテンションに引く(ぇ
テンションがウザいのはデフォだが聞いて来た質問は妙に鋭かった。
やっぱ普段はアホだけどよく見てるなあ(辛辣
間接的に気づいてしまったってのは事実だから嘘ではない。
偶々彼女が俺の居た大学院に招待入学したから気づいただけで
もし別の大学院に招待入学していたら知る由もなかったと思う。
皆と同じ、シェアハウスに来て初めての出会いだったら・・今とは違う未来が来ていただろう。
💚「それを2人には話しておきたかっただけだよ」
5人の事を信頼しているが、Snow Manを牽引して来た照と
グループ全体を俯瞰して見れるまとめ役の深澤には先に話しておきたかった。
後は本人がどんな結論を出すのかによる・・。
彼女の唯一の友達、静も面会に来たがっていたが断った。
俺達が、ではなく本人が遠慮して貰ったらしい。
住んでいる場所が場所だから、わざわざ裏口から来て貰う事が申し訳なく思ったのだろう。
諸々を含め、彼女が目覚めるのを待ちながらそれぞれリビングに集まる事となった。