前回漸く兄達を¨兄さん¨と呼ぶ事が出来た
ぎこちなくだがある程度自然に呼べるようになってから話は本題へ。

互いに聞きたかった事、または確認したい事を言い合う。
は勿論ずっと聞きたかった事を思い切って言葉にした。

「今更かもしれませんが・・兄さん達のお仕事はどんなものなのか知りたいです」

ジャニーズという世界は見せて貰ったし芸能人だというのも把握している。
ただ把握してるだけで具体的にどんな世界なのかは分からない部分も多いのだ。
ストレートに聞いて来たその若さに対し、深澤は¨おおー良いね、真っ直ぐで良いよ¨と言ってくれた。

からの問いに答えるのは照から。
自分達はジャニーズ事務所に所属し、その中に幾つにも存在するグループの1つ。
活動期間等は前回自身が調べた通りだ。

職人集団と称され、多方面に活躍し多数の先輩方のバックを務め
2年前の2016年が一番多忙だったらしい。

今は現在も参加している滝沢歌舞伎をメインに
ジャニーズJrだけで行うコンサートや地上波以外のテレビ番組に出演したりしている。

この照の説明により、兄達をテレビで見る機会が無かった事にも納得した。
テレビはテレビでも地上波じゃないテレビだった訳で
BSやwowwowにスカパーを入れてないが見つけられるはずもなく今日に至る。

まあ自身テレビに縁がなかったのもあり、尚の事知る機会は無かった。
無事今兄達の活動内容を知る事が出来たから結果オーライ。
それから今度は兄達、照からもに謝りたいと口火を切る。

「中々話せなくてごめんな、俺ら・・まだデビューしてない事もあってお前に話せなかったんだ」(岩本
「デビューしてれば堂々と俺らもに話したと思う、こう妙なプライド?とかが邪魔したわ」(翔太
「平たく言うとそうかもね・・・俺ら成りはデカいけど子供みたいだったね」(阿部
「出来る事ならデビューしてからくんに話したいって考えてたから、言えず仕舞いだった」(舘さま

包み隠さずの顔を見て時折恥ずかしそうに口籠りつつも6人は6人の気持ちを話してくれた。
話しながら誰かが詰まってしまうと、フォローするみたいに別の誰かが話を引き継ぐ。

本当に信頼し合ってて仲が良いんだなあ・・って思う。
何より話す兄達の雰囲気とか空気が穏やかで優しい。

こういう空気感を自然に出し、画面を通して視聴者に感じさせれる皆は本当に凄いね。
YouTubeには兄達の事をまとめた動画がたくさんあったけど
どの動画のコメント欄もファン同士が交流し、新規で好きになった人を歓迎するコメントばかりだった。

応援される側の皆が凄く仲が良いからこそ、ファンも似るのかもしれない。
そしてファンを大事にする皆の姿勢も好ましく、現に今も末っ子になった私の事を大事に考えてくれている。
デビューした姿を見て貰ってから仕事の事を話そうとしたと言い合った兄達。
要は私を驚かせたい、サプライス的な事をしたかったのかな。

「大丈夫です、兄さん達の気持ち・・凄く伝わりました、多分俺達変に遠慮し合ってたんですね」
「・・・かもな」

思ってるだけじゃ伝わらない。
ちゃんと言葉にし合わなきゃ分かり合えっこない
今回の事で会話の大切さをはしみじみと実感した。

きっかけは滝沢さんの招待だったが、結果的に兄達と深く話し合うきっかけになった。
それに、やっと『兄さん』って呼ぶ事が出来た記念の日にもなったね。

の言葉に同意した照、車座になって座る他の兄弟を眺め
全員が笑顔な光景に目を細めて嬉しそうな顔をした。
今月はかなり濃ゆい月になったなあと思いながら。

だが今回の目的は話し合う事の他にもう一点ある。
あの滝沢が絶賛していたの持つ素質をこの目で確認したい。

話も一段落したのを見計らい、照が軽く咳払いして口を開いた。
少しだけ緊張した面持ちで。

「あと、これだけ確認させて・・お前さ滝沢くんの前で俺らの歌とダンスの良い所挙げてくれたんだってな?」(岩本
「はい、6日後のコンサートで行う演目順とかも見せて貰いました」
「へっマジで?そこも見せたんだ滝沢くん」(佐久間
「その中でどれとどれが良かった?好きな動きとかあれば見たい」(岩本
「いいね、是非見たいな」(阿部
「お手本とかなくても平気?覚えてるのだけでいいよ」(舘さま
「大丈夫です、ええとですね」

緊張した面持ちで話すのは照のみ、会話に参加する他の面々は興味津々だ。
が恐るべき正確さで記憶し、完璧に振りを再現したという話は照しか聞かされていない。
こっそり後ろ手にプログラムの書かれた紙を出した照、促されるの様子と照らし合わせるように紙を見た。

先ず良かった曲として『Boogie Woogie Baby』『VI Guys Snow Man』『Vanishing Over』と『Snow Dream』を挙げた。
これらの曲名を聞いた兄達も口々に自分達はここが好き、とかを挙げる。

「好きな振りはですね・・Boogie woogieはサビのこの動きと、最後のこの足を開いてからの腕の動きですね」

いよいよ振りの再現なんだが、それまでニコニコと見守っていた照以外のメンバー。
分かり易いくらいに息を呑んだのを照は感じ取り、自身も目を疑った。
初めて見聞きしたのも数日前のはず、それなのに迷いなく正確に振りを再現したのだ。

これは・・・・どういうことだってばよ!?by佐久間

兄達が言葉を失ってるのは気づかないは VIGuysの振りも好きな動きを再現。
どれも動きが細かい部分ばかりで、完璧な再現をしてみせたのだ。

気づけば知らない間に照達は互いの顔を見合っている。
貰ったばかりの『Snow Dream』なんて自分達もまだまだ踊り潰さぬうちから完璧・・・
ダンスが得意と自負している6人だが、こんな一瞬で振り付けは覚えられない。

初見のピアノも弾きこなし、ダンスの振り覚えも即。
これだけ目と耳が良いなら歌詞すらもすぐ記憶してしまうんだろう・・
聞いておきながら6人は暫く言葉を失った。

こういう特技?を持っていたらそりゃあ目立つし騒がれるのも納得。
にも拘わらず全く驕る様子もなく、逆に隠していたところからして色々あったんだろうな。

・・お前・・・・」(佐久間
「・・・はい」
「マジですげぇでやんすな!!!?めっちゃ凄い才能じゃんよ!」(佐久間
「ふぇ?」
「うん・・滝沢くんから聞いてはいたけど、実際見たらマジヤバい(笑)」(岩本
「凄いねくん・・俺振り覚え悪いから次からくんに聞こうかな」(阿部

は兄達がずっと静かな事に気づいていたが、そっちを見るのが怖かった。
ピアノを披露した時も不安に感じた事と同じ不安に駆られていたから。
どんな言葉を浴びせられるのかだけが不安で、俯いて言葉を待っていると佐久間から呼ばれた。

言葉と兄を見てみると、驚愕の色味が濃い。
ああ・・・不気味に感じてしまったのかも・・
そう突き付けられた気がし、声と肩が震える。

でも次の瞬間震えは吹き飛ばされた。

すげぇよお前!と大興奮した声で佐久間が叫び、凄い才能だと称える顔には笑顔。
初めてのリアクションすぎて間の抜けたような声が自分の口から出た。

続いて照も目を細めたあの優しい笑みを浮かべて話し始め
阿部も半笑いだったが冗談も交え、凄いと感心している。
強い否定を示した兄は1人として居なかった。

「やっべぇなくん、マジに振り確認とか聞きに行きたいもん俺(笑)」(ふっか
「俺も俺も、照偶にこえぇからくんに聞きに行くわ」(翔太
「何でだよ(笑)」(岩本
「表現の仕方とかくんらしさを取り入れたらこれ、もっと良くなるね」(舘さま
「ホントですか・・?嬉しいです」

何て言ったら良いんだろう、泣きそうになった。
初めてこんな風に好意的な受け止め方をされたから、正直リアクションに困る。

あからさまに戸惑った顔でもしてたんだろうか
気づいた照が窺うように私の様子を気にかけ
目が合ったら破顔すると、手を伸ばして私の頬を軽くつねった。

「いひゃい・・」
「泣きそうな顔だな、まあ正直俺も驚いたよ今まで卑屈な意見も色々ぶつけられて来たんだろ?」

でもそういう人達の気持ちが俺らも全く分からない訳じゃない。
羨ましさとか妬み嫉み、持って当たり前の感情だと思う。
けどな、そういう感情を持たれるのが嫌だから その能力を活かそうとせず隠すのは逆に腹立つ。

寧ろ妬み嫉みを持たせないくらい堂々とお前がしてたら見方は変わって来るはず。
他人から認めて貰えるのって、そういう本人の姿勢なんじゃないか?

そう照は静かに語り、最後の方で恥ずかしそうに視線を外した。
高圧的な言い方でも考えを押し付けるでもない言い方。
聞き手のにも自然に照の言葉が入って来た。

「もっとは堂々と振舞っても良いんじゃない?」(ふっか
「誰かが否定しても俺らはお前の事否定しないよ」(翔太
「招待入学の話を呼び込んだのはくん自身の実力だしね」(舘さま
「ここまで歩んで来た道程は、くん自身が拓いてきた道なんだから」(阿部

照に頬をつねられてる姿を皆微笑ましそうに眺め
の頭に手を乗せ、ポンポンとさせながら深澤が言葉を重ねれば

ニコニコした笑みの宮舘も誇らしそうに話し
翔太の口許にも力強い笑みが浮かべられている。
そして阿部も、同じ大学院を卒業した身として誇らしげだ。

色々と思う事もあったと思う兄達は多分湧いた感情を飲み込み
上手く自分達で処理してから口にした言葉かもしれない。
そんな兄達に私は感謝しなくちゃだ、色々受け入れてくれた兄達に後悔させないよう
これからは堂々と胸を張ろう、兄達に笑みを返したに気づき

つねっていた指を離し、その頬を軽く撫でてから照も思った事を伝えた。
照に続き、兄達も色んな言い方で感じた事を伝えてくれる。

「ん、お前は決して他人に甘え切って生きて来た訳じゃないじゃん?」(岩本
「逆に頼らなさすぎるからこれからは俺らに頼ってよ」(佐久間
「うん、これからどんどん頼って欲しいな」(舘さま

・・・頼ったり甘えたりするのってどんな風にやればいいんだろう。
取り敢えず後で聞こうかな、今夜はこういう話し合いが出来ただけでも充実した日だった。

?今疑問感じたけど後回しにしなかった??」(佐久間

ギク・・・
良い感じにモノローグをまとめようとしたら大介兄さんに見抜かれた。
偶に凄く鋭いというか、よく見てるよね。

「あのえっと・・頼ったり甘えたりしたことが無くてどうやったらいいのか分からないです」
「ああぁあナニソレ・・・抱き締めたい!!うちの子可愛すぎ!」(佐久間
「佐久間落ち着け」(阿部
「んー・・そうだなあ、ちょっと触っていい?」(岩本
「??はい」

両手をわきわきした大介兄さんに対し、冷静に突っ込む亮兄さん。
正直にやり方が分からないと打ち明けたら、皆が眉宇を下げた。

そうかそうかぁと頷き合う様が何か可愛い。
兄達を見てるだけで十分楽しいし笑顔になれる。

凄く良い優しい空気感だ。

と満足してたら正面に座る照さんに聞かれたので頷くと
正面から隣に移動して来た照さん。
横に座ると私の両腕を優しく握り、照さんの腰に回させて

「はい、ぎゅーーっ・・・・てまあこういう感じ?」
「!!???」

と言いながら照さんからも私を抱き締めてくれた・・・(!!!??

「あれ?これ違ったりする?」(岩本
「・・・大分違うかな」(舘さま
「うん、違うかもね」(阿部

が固まるのを見た照、その理由が分からないという顔をして
周りに座るメンバーに同意を求めたが、淡白にぶった切られた。

こういう事じゃねぇーの??と声を張る照。
そんな照の腕の中から硬直しているを引き剥がし、よしよしと頭を撫でるのは宮舘。

「甘えるってのはまあ、色々あるんじゃないかな照がしたみたいにするのも甘える事かもしれないし」(ふっか
「今のは極端でしょ、抱き着かなくても寄りかかるとかさ隣に座るとか膝に座るとかさ」(阿部
「いや阿部の例えもおかしいだろ(笑)」(翔太
「でもくっつくのって大事よ?人の体温が一番落ち着くし安心するんだぜ」(佐久間

佐久間さんソレ誰キャラ?オネェ?(笑)
と全員のツッコミが入った所で話し合いは謎の盛り上がりを見せた。

最早何の話し合いなのか分からなくなって来た現場です。
それにしても危なかった、めっちゃ顔が赤くなりそうだったホントに。
顔に出てしまう前にタイミング良く宮舘さんが回収して下さったから助かったあ

今みたいなのがハグなんだなあ・・初めて経験した。
ああいうスキンシップ??はされた事、今までなかったからね。
生みの親が生きてる頃も・・甘えた記憶は無い。

すぐ下の弟が出来てから甘える事すら覚えずに¨お姉ちゃんでしょう?¨と突き放され
甘え方も頼り方も知らないままこの歳になって、それを教えてくれたのは血の繋がらない兄達。

少しずつ、やって行けばいいよね。
目の前に居る6人の兄達なら待っててくれるよきっと。
結局主旨からズレて行った所で話し合いはお開き。

いよいよ明日は兄達がYouTubeイベント?の記者会見を行う。
見逃さないように待機しよう、そう決めては19日を終えた。