滝沢歌舞伎の稽古が開始され、例年通り滝沢の挨拶から幕を開けた。
ケガに気を付ける事、集中する事、ミスをしない事等の注意事項を聞き
今年から加わったジャニーズJrの何人かが挨拶をした。

先ず、宇宙sixから参加になった目黒蓮。
184はある長身が映える長い手足と整った容姿が目を惹く。
続いては関西ジャニーズからも数人が参加した。
御園座から参加の関西地方で知らない者は居ないと言わせる実力派、向井康二。

彼らの方にも何人かのジャニーズが新しく参加した。
挨拶や全てを済ませれば、後はもう練習を開始するのみ。

主演の滝沢と三宅以外が太鼓の稽古から開始する。
滝沢と三宅は主演でもあるが滝沢は座長でもある為、宣材写真を撮りつつスタッフとも打ち合わせがあるのだ。
まさかこの大役が来年に回って来るとは、この時のSnow manは予測すらしていなかっただろう。

太鼓で覚えるフレーズは、6年目にもなると体が覚えているので苦ではなく
厳密に言うと2010年から参加しているので寧ろ楽しんで臨むメンバーも居る程だ。

「宜しくお願いします」(?
「おう、宜しくな」(岩本
「えと名前は・・・」(佐久間
「目黒だよね、改めて宜しく」(舘さま
「はい、目黒っす。宜しくお願いします。」(目黒

叩くべくの太鼓を稽古場へ運び入れに行く際、わざわざ近寄って来て再度挨拶をしに来たJrが一人。
明るめの茶色の髪をした青年、全体挨拶の時から目を惹く人材だと感じた本人だ。
身長は見た感じ照より数センチ高い・・・・こりゃモデル向きだな、と照も感じた。

軽く照は挨拶をし返したがその隣の佐久間、話しかけられる準備が出来てなかったのか名前をド忘れしたらしい。
佐久間が太鼓を倉庫から出して行きながら思い出そうとしているのが手に取るように分かる。
すると偶々入れ違いで倉庫から出て来た宮舘が初参加のJrの名前を口にした。

流石宮舘、一度見聞きした顔と名前は忘れないと言うだけの事はある。
佐久間が名前を思い出すのを固唾を飲んで見守っていた目黒の顔に、言い当てて貰えた嬉しさから笑顔が浮かんだ。

何となく好感を得た照と佐久間、それから宮舘。
若干距離が縮まり、それぞれ協力し合い全ての太鼓を倉庫から稽古場へ運び入れた。
同じく今回初参加の関西ジャニーズ、向井康二とは自分達は多少顔見知りな事もあり
互いに久しぶり、と挨拶し合い一旦帰る向井を見送った。


稽古に打ち込む事数時間、一段落付いたのは12時半過ぎ。
恐らく昼休憩の時間は一時間は貰えないだろう。
この僅かな時間で昼飯を済ますべく、照達はジャンケンで昼飯調達班を決めた。

グッとパーで分かれた結果、近くのマクドナルドへ買いに行くのは深澤・渡辺・宮舘。
買い出し組をいってらーと見送り、稽古場の壁際に簡易設置された休憩スペースで寛ぐいわあべさく。

一見すると乱雑に並べられた机と椅子だが、ちゃんとグループ毎に分けられている。
鏡側にSnow manとスタッフ、真ん中ら辺に関東のジャニーズJrと配置。
関西ジャニーズは6月の御園座のみの参加なので、スペースは設けていない。

ふと待機していた佐久間がケータイを取り出し、操作し始めた。
まあ今は休憩中なので別に誰にも咎められる事は無い。

照も阿部もケータイを各々チェックしている。
偶に自分の家族から連絡が来ていたりするからそれの確認だ。
自分と阿部の近くでケータイを操作していた佐久間が¨阿部ちゃん後は宜しく¨と口にした。

何故阿部の名前が出たのか不思議に思い、照は佐久間へ視線を向ける。
誰かにメールか何か送ったんだろうか?やけにニヤニヤしててキモイ。

「また説明とか俺に丸投げかい」(阿部
「だって阿部ちゃん説明するの上手いからさあ」(佐久間
「全くもう・・」(阿部

眺めていると二人だけで何かを把握し合い、言い合いしている。
阿部に至っては口を尖らせているが満更でもなさそうな様子で文面を打ち込んでいる。
説明??一体何の説明を阿部にさせてるんだ?と何か気になって来た照。

「二人して何の話だ?」(岩本

思わず疑問を声に出し、近くに座る阿部の肩を引いて振り向かせつつ問うていた。
問いと同時に肩を引かれた阿部は、手にiPhoneを持ったまま照の方へ体を向ける。
体が此方側へ傾いた事で阿部の手元が見え、画面に表示されたのが何なのかも見えた。

宛先は見えなかったが文面はチラっと見えた。
誰かに対し、LINEのグループへの入り方を説明してる内容である。
佐久間と阿部の共通の知り合いに教えてるんか?

「粗っぽいなあ照は、あれだよ。くんを俺達のグループLINEに招待しようって佐久間の提案」
「グループLINE?」(岩本
「そそ、だってもうは俺達の可愛い末っ子じゃん入れても良いだろ?」(佐久間
「あー・・LINEね、てかって俺らより7と8つ下じゃん説明要らなくね?」(岩本

て言ったら阿部にジロリと冷たく見られた(何で?
まあグループLINEに入れるのは賛成かな、連絡も取り易くなるしさ。

阿部は6段の説明文をつらつらと入力した。
佐久間の言うように阿部は説明するのが上手いから適任だな。

説明文を送ってから数分は待った。
この遅さからして不慣れという事が照にも察せれる。
だから阿部にジト目で睨まれたんかな?

若い子全員が慣れてる訳じゃないんだよと言いたかったのだろうと思う事にした。
待っている間にの返事より早く買い出し組が戻って来た。

「おー買って来たぞーー」(ふっか

開口一番深澤が照達へ向かって声を張る。
両手に1つずつマクドナルドの袋を持ち、佐久間側からその袋を机に置いた。
続いてゆり組、宮舘と渡辺が袋を2つと1つ手に戻って来た。

一気に皆頭の中はマクドナルドの事で埋め尽くされ
持っていたiPhoneを荷物に戻し、机に置かれたマクドナルドの袋を開封。

賑やかな面々を見ていた照は微かにLINEの受信音を聞き、持っていたiPhoneをタップ。
受信したのはグループLINEのルームだ。
iPhoneでLINEを開かずとも本文の一部は見れるので、既読を付けずに確認した照。

[佐久間さん阿部さんありがとうございます、参加は多分出来てると思います]

表示されたからの初発言。
抜け切っていない敬語が、まだ不慣れさを際立たせている。

「照何頼んだんだっけ?」(舘さま
「あ、えーと確かアップルパイとダブルチーズバーガー」(岩本
「そらよっ・・!ポテトはシェアな」(ふっか
「おいてめっ食いモンを投げんなよっ」(岩本
「あー全く騒がしいなあ」(阿部
「はふまはいんひへふほ(佐久間LINE来てるよ)」(しょうたくん
「翔太何だって?」(佐久間

LINE自体を開こうか考えた所を宮舘に呼ばれ、自分が頼んだものを挙げた。
返答をした宮舘とは違う相手、深澤が遠慮なしにダブルチーズバーガーを照へ抛ったのである。
これには慌てて口調荒く腕を伸ばし、頭上を通過しそうだったダブルチーズバーガーをキャッチ。

早くも照の隣で翔太がベーコンレタスバーガーにかぶり付き
口いっぱいに含んだ状態で何かを言おうとした。
BLB語で何を言ってるのかが分からず、皆翔太を凝視。

¨はふま¨から自分の事か?と感じた野生児佐久間が半笑いの状態で翔太に聞き返す。
5人から注目されている翔太の手には己のケータイ。

これを見た佐久間と阿部が何かを悟り、もしかして!と口にした後佐久間は通知を確認した。
するとそこに表示されてたのは、一足先に照が気づいたからの返答。
ちゃんと画面には¨雪だるま部屋にさんからのメッセージ¨と通知されている。

「あーーー!返ぶふもごもがっ」(佐久間
「声が大きい・・!の事は俺達だけの秘密だっつの」(岩本

教えた通りにグループLINEに参加し、発言も出来たに歓喜した佐久間。
思わず感情のまま叫びそうになる予兆を全員が察知した。
すぐさま照が動き、佐久間が頼んだであろうチキンフィレオバーガーを包み紙から取り出して丸ごと口に押し込む。

ちょっと手荒いがそうやる事で佐久間が自らバラす事態は回避出来た。
ただ¨あーーー!¨は発してしまってたので、居合わせたJrと目黒が目をぱちくりさせこっちを見ている。

驚かせてしまった事が明白だったのもあり、目が合った数人に照や阿部に宮舘と深澤が会釈。
佐久間は口に突っ込まれたチキンフィレオバーガーをモグモグ咀嚼している。
そんな時にただ一人マイペースにケータイを弄っていた翔太がグループLINEに発言するのが確認出来た。

全員が参加しているグループLINEだから、誰かが発言すれば全員に通知が届く。
音はミュートにしてあるが、バイブの音と振動がほぼ同時に来るので分かった。

いつも大体は騒がしいSnow Manが一気に静かになり、全員がLINEを起動する光景はちょっと不気味(
彼らにそんな行動をとらせるのはただ一人、最年少の弟 だ。
明らかにソワソワと落ち着かない佐久間と何かと世話を焼いている阿部。

二人を筆頭に何だかんだで照自身もを気に掛け、世話を焼いたりしている。
まだが来て2日くらいしか経過していないにも関わらず、いつの間にか彼を中心に自分達は動いていた。
末恐ろしい奴ばかりだな末っ子って、と内心照は笑い、斜め横に座る元末っ子を見やった。

昼メシを片手に各々がグループLINEに発言して行くのを
画面を開いたまま照は眺め、ダブルチーズバーガーから完食。

チラリと見る時計は12時50分くらいを刻んでいる。
大学院の昼休みがどのくらいあるかはしらないが、大体13時くらいだろうと照は予想した。

佐久間と阿部が文を打ち込み、珍しく宮舘も発言を送信。
翔太も深澤も、午後からも頑張れよとへメッセージをタップ。
彼らに答えるように長文がから返って来た。

[そろそろ午後の講義に行ってきます!皆さんもお仕事頑張って下さいね]

予想通り13時からか、と内心メモした照。
他の面々は食うのに意識を傾けたのか、返答を打つ者はいない。

同時に阿部が打った¨頑張っておいで¨は既読にならなかった。
多分ケータイは閉じて向かっているんだろう。

そう読んでから、iPhoneを持つ手を机の上から体の右横に下げ
グループLINE画面からのアイコンをタップ
画面は作り立てののプロフィール画面に飛んだ。

そこからルームに招待を選ぶと、起動したチャットルームに文を入力。
黙々とアップルパイを食べる傍らで送信ボタンをタップした。

[大学院終わったら忘れず俺に連絡な、午後も頑張れよ]

そして送られた照個人からのチャットが上のヤツである。
照自身がに合わせて終われるか分からない中、送信していた。
との個別ルーム画面を眺め、自分の行動を不思議に思っていると送信したそれが既読に。

間があったから、移動を終えてから着信に気づいたんだろう。
どんな返答が来るかなと画面を眺めつつアップルパイを頬張る。
絶妙なサクサク感が食欲をそそる・・・マックのアップルパイもうめぇわ・・
マックのアップルパイに舌鼓を打ち、春限定のマックフィズを口に含む。

そこへiPhoneが点灯、通知を受信した。
見れば簡潔に¨了解です!¨と顔文字のようなものが表示される。

思わず女子か!とツッコミを入れそうになり、マックフィズと一緒にそのツッコミは飲み干して堪えた。
このやり取りは他の兄弟から見られる事はない為、誰からも突っ込まれる事は無い。
食べ終わる頃には元のワイワイした雰囲気で昼を終えた。

16歳と若いのに、最近のSNSに疎く不慣れなが物珍しいのか
はたまた庇護欲を煽られるのか佐久間と阿部からは親身に寄り添おうとする姿勢が伺える。

翔太の場合はの方がしっかりして見える不思議。
宮舘も佐久間や阿部程では無いにしろ、気に掛けているのは分かった。
深澤に関しても最年長らしい寛大な心と姿勢で、佐久間や阿部も込みで見守っている感じだ。

まあ取り敢えず無事兄弟間のグループLINEには招待したし
照個人でも連絡手段を確立させた昼食タイムとなった。
稽古場には13時15分付近に全員が集まり、休憩は終わりを迎え、彼らも午後の稽古が開始した。

順調に行けば夕方ちょっとには終わるかもしれない。
迎えに行ってやりたい気持ちが強く、時間を合わせたくて益々稽古に取り組む照だった。