〜 リアルタイムメッセージ 12 〜
道徳授業の手ごたえ
2009.6.21記
道徳教育改革集団<新>代表:佐藤幸司
 メッセージ10に,こう書きました。
道徳授業がきちんと実施されるためには,教師が道徳授業の手ごたえをしっかりと感じることが必要なのです。

 「手ごたえ」には,3種類あります。

 1番目は,授業自体の手ごたえです。これまでの授業では考えられなかったような反応がビシバシと返ってきた。教科授業ではあまり発言しない子が,進んで自分の考えを発表していた。
子供たちの集中力が途切れずに,最後まで資料に向き合っていた。こういう授業は,子供も楽しいし,もちろん教師も楽しいものです。

 2番目は,ある一人の子の成長を感じる手ごたえです。道徳授業の基本的な思考形式は,資料と自分の経験とを結びつけて考えることにあります。ある一人の子の経験が,その日の資料にピッタリと合致することがあるのです。少年と象の写真を使った授業でのことです。(朝日新聞・はなまる先生に掲載された授業です)

 転校してきたばかりの女の子が,「象の下の方に赤ちゃんがいて,お母さん象がミルクを飲ませている」と発言しました。この子は,きっと何かで(直接であれ,間接あれ),象などの動物が赤ちゃんにミルクを飲ませているという場面を見たことがあったのでしょう。他の子からは出されなかった新しい見方でした。この発言を経て,この女の子は他の時間にも堂々と自分の考えを発表できるようになりました。

 3番目は,クラス全体の成長を感じる手ごたえです。これは,少し時間がかかるかもしれません。なぜなら,道徳授業を1時間実施したからといって,子供たちが急激に変容することはありえないからです。けれども,毎週,道徳の時間をきちんと実施していくと,少しずつだけれども確実にクラスが成長していくのがわかります。それは,クラスの雰囲気という目に見えないもので実感できるようになるのです。これは,実感するしかありません。実感する(できる)ためには,教室という同じ空間で,道徳授業という同じ時を過すのです。空間と時を子供たちと共有していくうちに,クラスの温かい雰囲気というものを実感できる瞬間に出会えるはずです。

 まずは,授業自体の手ごたえを。
 そして,授業の手ごたえから,一人の子の成長の手ごたえへ。

 最後には,温かいクラスの雰囲気を実感することで,道徳授業の手ごたえを感じでほしいと思います。