アニメアールとは
コンテンツ
@誕生からボトムズまで
A80年代(黄金期)
B80年代後半以降
C現在
D最後に
E作品・原画リスト
Fリンク
所属者

谷口守泰
加瀬政広
吉田徹
津熊健徳
中澤勇一
志村泉
中本尚子
原田大基
光田亮史
海堂浩幸(海堂ひろゆき)
小松温
能地靖
塩田学
中村吉宏
高橋紀子
細川ちよ(細川智代)


元在籍
1スタ(谷口班)

毛利和昭 
貴志夫美子(吉田夫美子)
河村佳江
柳沢まさひで
糸島雅彦
沖浦啓之
逢坂浩司(故人)
小森高博
浜川修二郎(Shuzilow.HA)
佐々木一浩(佐々木かづひろ)
小川瑞恵(小川みずえ)
山田香(逢坂香)
福江光恵
寺田浩之
井上哲
野中幸(野中みゆき)
吉本拓二
松坂定俊
河野利幸
木村貴宏

2スタ(村中班)

村中博美
山本佐和子
黄瀬和哉
大島康弘
中島美子
中谷誠一
西田亜沙子


@誕生からボトムズまで

 アニメアールは、大阪市に拠点を置くアニメ作画スタジオである。設立者は谷口守泰。 着物デザイナーからアニメーターに転職し、60年代中盤からアニメの原画・作画を手掛け、 70年代は「科学忍者隊ガッチャマン」や東映・日本サンライズのロボットアニメの原画・作画を中心に活躍した。
 そして70年代末に村中博美と共にアニメアールを設立した。 今は地方にも京都アニメーションやPAWORKSといった制作会社が増えているとはいえ、 当時(今もだが)制作会社は東京が中心であり、地方には殆ど無い存在だった。 アニメアールは作画スタジオではあるが地方に存在するアニメ会社の先駆けともいえるだろう。 そして、大阪出身の若き才能たちを中心にアニメアールに門を叩くことになる。
 アニメアールは谷口が率いる1スタジオと村中が率いる2スタジオの両スタジオの体制で活動する。 80年代前半の仕事は主に「太陽の牙ダグラム」等の高橋良輔監督の日本サンライズ作品、 旧タツノコ関係者が関わる(みゆきや星銃士ビスマルク等)作品と土田プロ作品を中心に活動し、 各作品ごとにメンバーを調整し、谷口・村中はそれぞれ作画監督を担当する。
 アールのメンバーは「イデオン」の毛利和明・貴志夫美子・河村佳江。 アニメスタイルの沖浦啓之のインタビューであるのだが谷口ラコックと呼ばれるほど 「ダグラム」での演技や絵柄も含めた作画ぶりが注目を集め、 谷口にとって非常に重要な仕事となる「装甲機兵ボトムズ」に繋がる。この頃、沖浦啓之・逢坂浩司が1スタジオに黄瀬和哉が2スタジオに入社する
 谷口はボトムズで主人公「キリコ・キュービィ」をキャラクターデザイナー塩山紀生のデザインを無視した絵柄で作画する。 いわゆる「谷口キリコ」「イノキリコ」とも呼ばれる、目やアゴが非常に鋭いハードボイルド然としたそのデザインは 視聴者に賛否両論を受け、カミソリが届くという事まで起こったらしいが、監督の高橋良輔・さらに塩山も谷口を支持。 さらにアニメアールは最終回の作画を任される事になる。 (一方、塩山はボトムズ以降、谷口の画風を取り入れて、キリコのデザインを完成させた) また、ボトムズでは原画の吉田徹が「ローラーアクション」と呼ばれるメカアクションを披露。 ハイスピードで縦横無尽にATを動かし、また爆発や煙、 ミサイルや機械の細かい破片に満ちたキレキレの作画は多くのファンを魅了した。 ボトムズ以降、高橋良輔作品にアニメアールはより一層欠かせない存在となっていく。 「ボトムズ」は原画に貴志夫美子・加瀬政弘・糸島雅彦・上井やすよしが参加。逢坂浩司、沖浦啓之は動画で参加している

A80年代中盤(黄金期)

 80年代中盤のアニメアール在籍者の仕事ぶりは特筆に価する。 毛利和明はほぼ単独で「さすがの猿飛」に参加し驚異的な作画を見せた。 この時期私が印象に残った仕事は「星銃士ビスマルク」と「蒼き流星レイズナー」だ。
 「ビスマルク」は谷口が作画監督で参加。沖浦啓之・逢坂浩司・山田香・上井やすのりが原画で参加。 沖浦は18歳という異例の若さで最終回の作画監督(実質的には46話も含む)と原画(主にメカ担当)を担当。 この最終回、ビスマルクが敵基地に入る背動シーンが特に素晴らしい。またアクションは破片(後述)や動きに 金田伊功や板野一郎等、当時の流行したものを積極的に取り入れながらもオリジナリティ溢れる作画を行った。 ビスマルクのアニメアール回は必ずどこかに見所があったのだ。
 「蒼き流星レイズナー」は谷口がキャラクターデザイナーを担当。 また全38話のうち谷口が12回、村中が6回、貴志女子が5回作画監督を担当し アニメアールだけで23回と半分以上作画を担当するという八面六臂の活躍を見せる。 後半では沖浦が谷口回で、吉田徹が貴志回でメカニカル作監を担当する体制になる。 具体的には以下のローテーションだった。

作画監督:谷口守泰 原画:沖浦啓之・逢坂浩司・山田香・浜川修二郎
作画監督:貴志夫美子 原画:吉田徹・加瀬政弘・井上哲野中幸小森高博
作画監督:村中博美 原画:黄瀬和哉・大島康弘山本佐和子中島美子

 レイズナーは爆破やメカの破壊描写を徹底してどう表現するかを追求した作品だと思う。 それはレイズナーのOP映像から実践されている。 敵メカSPTブルグレンの緻密過ぎる装甲の削れかたや飛び散る破片、最期に爆発というのは、 ロボットアニメ屈指の破壊描写シーンではないだろうか。 この細かい破片がパラパラと画面狭しと画面内で動くのはこの当時のアールの最大の特徴の一つである。 こうした描写はなかむらたかしの「黄金戦士ゴールドライタン」以降の作画による影響下にあるのだが、 アールの作画陣はなかむらよりも鋭利な破片を描き、それをすぐに画面から消すという作画が魅力的だ。
 また主役メカ:レイズナーも元の大河原邦男のデザインを吉田徹がアニメ作画用と称し、 頭身を上げ20mぐらいに見立ててデザインした。 また沖浦が担当するレイズナーも微妙に吉田デザインとは違っているので、アール回でも毎回違うレイズナーを拝めた。

レイズナーは17話・26話・28話・33話・34話は必見。 またOVAの「刻印2000」ではこれらの参加者が一挙胎動して参加。 グレスコとル・カインのやり取り、グラドス軍とレジスタンスの戦い、 そして最後のレイズナーとザカールの戦いが驚異的なクオリティに仕立て上げられている。

B80年代後半以降

 レイズナー以降、アニメアールは村中博美の2スタジオチームが「スタジオ・ムー」として独立。 時期は特定できないが、TV版レイズナーで「ムー」のクレジットは見当ず、「刻印2000」で見られるので、この間の設立と推察できる。
 この時期、アニメアールで印象に残った仕事は「マシンロボ クロノスの大逆襲」「ガリアン 鉄の紋章」。 マシンロボのアール回は声優が一緒だからとロムをエイジそっくりに描いていたのが印象的だった。 鉄の紋章ではこれでもかというほど、敵味方双方の重厚でメカの重さが伝わってくるアクションが非常に魅力的だった。 吉田徹のメカ作画の頂点的作品といえるだろう。
 そして80年代後半の仕事で興味深いのは士郎正宗原作の「ブラックマジックM66」。 アニメアールが総力を挙げて参加した作品だろう。沖浦が作画監督。後に沖浦や黄瀬が士郎原作の「功殻機動隊」「イノセンス」に関わる事を考えると興味深い仕事である。
 しかし90年代以降になると、沖浦がAKIRAに参加するために東京に出向する等を経て、多くのアニメーターがアールから旅立つこととなる。 それだけ彼等の仕事がアールだけに留まらない活躍をしていた証拠であろう。 また谷口も自らの個性を抑え始めるようになり、いわゆるわかりやすく度派手でカッコイイ作画というのは、 「シティハンター」以降、アールらしさは徐々に薄味になっていく(いい意味でも悪い意味でも)

C現在

 現在もアニメアールは様々な作品で活躍している。今でも谷口は「蒼天航路」(2009年現在)の作画をするなど現役である。 現在、アールに在籍しているのは、吉田徹・中澤勇一森下博光米田光亮原田大基らが浮かぶ。 ガンダムSEEDでの吉田のメカ作画(デス種のアカツキ初登場の金ピカ具合とか)を見ると、安心してしまうのは私だけだろうか。 中澤は多数の作品に参加し、原田は「ふしぎの星のふたご姫」で活躍するなど、アールの遺伝子は引き継がれてる。

D最後に

 私はあの80年代のアニメアールが大好きだ。あの頃のアールには何かを感じさせる魅力が確実にある。 あの作画の気持ちよさに匹敵するものは他に並ぶものはないと思っている。 なぜなのかはよくわからないが、あの時代のアニメに対する熱気がそうさせたものであるといえるだろう。
 アニメアールというのは地方でも作画スタジオとして成立できた事、そして多数の素晴らしいアニメーターを輩出したことがあげられる。 例を挙げれば、沖浦啓之・黄瀬和哉はIGをメインに、逢坂・小森はボンズをメインに、木村貴宏はサンライズ・AICで活躍している。 80年代に活躍した彼らは今ではキャラクターデザイナーや作画監督という大任を任されている。 これほど多数のアニメーターを輩出できたのは谷口のおおらかな人柄による伸び伸びとした指導が大きいとされている。 「ボトムズ」でそうだったように、若いアニメーターに自由にやらせる事で彼等の才能を大きく引き伸ばした事が大きい。

 最後に言い過ぎかもしれないが、アニメアールとはあの時代に見せた奇跡だったのかもしれない。

E作品・原画リスト

蒼き流星レイズナー
蒼き流星レイズナーAct3 刻印2000
機甲界ガリアン 鉄の紋章

ブラックマジックM66
原作・監督:士郎正宗 構成・監督:北久保弘之 作画監督:沖浦啓之 メカニック作画監督:吉田徹
原画:アニメアール:吉田徹 黄瀬和哉 浜川修二郎 谷口守泰
貴志夫美子 毛利和昭 柳沢まさひで 寺田浩之 逢坂浩司 沖浦啓之
アトリエ戯雅:宇佐美皓一 岩瀧智 ところともかず 小曽根正美 さとうけいいち 仲盛文
林宏樹 田中正弘 宇都宮智 橋本浩一 清水義治 大平晋也

Fリンク

アニメアール(wikipedia)
スタジオムー(wikipedia)
Shuzilow HA Design Works(浜川修二郎)
もーさん倶楽部(毛利和昭)
Berries(西田亜沙子)
BONTOKO(原田大基)
制作夜話(糸島雅彦)
アングル(企業、代表:井上哲)
イングレッサ(企業 代表:吉本拓二)
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