お山は三年ごしの日でりで、ぽちっとも雨がふらねえ年だった。
目のみえないゆきは、猟師のお父うにつれられて、今日もイノシシの番。
そこへ、山オニの鬼んべと天狗の小太郎が獲物を探しにやってきた。
天狗のうちわでパタパタやると、大竜巻がおこり、
三人とも山の墓場「デェデラ谷」に飛ばされてしまった。
墓場の番人デェデラ坊は、ききんの年に百姓たちが育てきれずに、
土に埋め殺そうとした赤ん坊をほじくり返して育てているのだ。
この日照りは、山の主のりゅうじんが熱病にかかり、雨を降らすことができない体ときいて、
ゆきは、たった一人で、恐ろしいりゅうじんの山へのぼっていく。
命のためだったら、なんもおっかなくねえ。
おらの命は他の命が守ってくれる。どうでもこうでも雨っコ降らしてもらいてえ。
いっぽう「りゅうじんのすみかからゆきを助け出し、山やサトをすくうには、
りゅうじんを殺さなくてはならねぇ」と山んばからきいた鬼んべは、りゅうじん退治に走る。
お山の魔物は神様のおつかい。鬼でも天狗でも、やらなくちゃなんねぇ仕事がある。
いっぽう、ゆきをさがすお父はりゅうじん山で鬼んべをみつけたが…!
地鳴りと共にすさまじい雷光。りゅうじんがあらわれた。
鬼んべが、りゅうじんめがけてひき金をひいた。
まっ赤な火をふきあげ、りゅうじん岩がくだけちる。
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