●よだかの星/雪渡り●



よだかの星  上演時間 1時間30分(2本立て)

原作 宮沢賢治  脚本 若林一郎  演出 大野俊夫   音楽 岡田京子  照明 白井良直  美術 新谷優子


 よだかは実にみにくい鳥です。そのためまわりの鳥たちからいじめられていました。 人さらいと疑われ、鷹には「名を変えなければ、つかみ殺す」と言われてしまいました。 からすの少尉だけはやさしかったのですが…

 よだかは悩んだあげく、遠くの遠く空の向こうに行ってしまおうと、 お星さまめがけて矢のように飛んでいきました。

 星になりたいとお星さまに言いますが、どのお星さまもよだかを相手にはしてくれません。 鋭い声とともによだかは力尽きて、とうとう…




雪渡り

原作 宮沢賢治  脚本 若林一郎  演出 大野俊夫   音楽 岡田京子  照明 白井良直  美術 新谷優子

 雪がすっかりこおって、大理石よりもかたくなり、いつもは歩けないきび畑の中でも、 すすきの野原の上でもすきなほうへ、どこまでもいける堅雪の日。 「堅雪かんこ しみ雪しんこ」とうたいながら、四郎とかんこは野原に出ました。

「きつねは人を騙すんだって」  「キツネのやつが出てきたら、この雪だまをぶつけてやろう!」と二人でキツネの話しをしていると、 本当に一匹のキツネがでてきてしまいました。それはキツネの紺三郎です。 「キツネの幻燈会にきっといらしゃい。入場券をあげましょう。」二人は紺三郎と指切りをしました。

 青白い大きな十五夜のお月さまがしずかに氷の上山からのぼりました。 四郎とかんこは、キツネの幻燈会にでかけました。 紺三郎もキツネの学校生徒たちも、大よろこびで、手をパチパチたたきました。 幻燈会がはじまります。 ふたりはおいしいきび団子もごちそうになり、キツネの生徒たちと仲良しになりました。





●賢治と私 若林一郎●

  「いっちゃん、これ読んでごらん」と、担任の水野静夫先生に「風の又三郎」という宮沢賢治の童話集を渡されたのは、私が小学校四年生のときでした。それからもう五十年以上もたっています。けれども、賢治の童話を夢中になって読みふけったときのみずみずしい感動は、いまも私の思い出にくっきりときざまれています。あのとき私は、イーハトーボの森や風からの贈りものをたしかに受け取ったのです。そしてそれは、私の生涯の宝物となりました。
 ちょうどそのころ、「東童」という児童劇団があって、賢治の童話を脚色した芝居をさかんに上演しました。わくわくしながら、それをみにかよった日のことを、まるできのうのことのようにおぼえています。どんなに興奮してその舞台をみたことでしょう。いまも目をつぶれば、まぶたの裏にいくつかのシーンがよみがえってきます。
 こんど「劇団ブナの木」のみなさんが、宮沢賢治の童話を芝居にして、みなさんにおめにかけるというので、よろこんでそのお手つだいをすることにしました。
 賢治の童話から受け取った少年の日の感動を、うまくみなさんに伝えたいものです。私がそうであったように、みなさんの一生の思い出に残るような芝居がつくれたらいいと願っています。



劇団ブナの木
〒379-2111 群馬県前橋市飯土井町631−3
TEL/FAX 027-268-5612

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