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塩見岳編からの続き。
5時前には撮影ポイントの北俣岳周辺にいたいと思い、3時起床、朝食を済ませ、テント撤収しテント場を出る。樹林帯から一歩出ると強い風が吹いており、下部のテント場でゆっくり出来たことにほっとする。稜線から北俣岳の登りになるが、急登のため一歩一歩の歩みと、東の空が明らんでくることへの焦りから遅々として進まないような錯覚に陥る。分岐に出る手前で塩見岳東峰に陽が差し始めたようで、分岐にザックをデポし、蝙蝠岳に行くだけの荷物を持ち、蝙蝠尾根に急いで足を進ませる。北俣岳は巻いて、2920m峰まで進んで間一髪陽光に映える塩見岳の写真を撮ることが出来た。
右には太刀持ちのような北俣岳が主峰の塩見岳に寄り添い、目を転ずれば荒川岳が深い谷越しに対峙し、来し方の間ノ岳もいつしか陽光に包まれ始めていた。蝙蝠岳の左手には冨士山も赤くなっていたが、斜光気味であるので、それほど赤みを帯びてはいなかった。10分ほどでドラマは終わりを告げ、山全体が今日の息吹をし始めたようで、淡い色に変わり始めていた。
2920mピークの先で、右に回りこんで、最初は岩の多い狭い道を下って行くが、この辺りだけ足下が不安定である。2845m峰は巻いて通過し、その先から蝙蝠尾根の醍醐味となる。広い快適な尾根の下りは前方に冨士山を見ながら、るんるん気分で下って行ける。右手には明日行く烏帽子岳から小河内岳の稜線がスカイラインを描いている。
ハイマツと砂礫のプロムナードが終わりを告げるのが2758mピークで、この先の急な下りからダケカンバ林などの樹林帯の中に入って行く。二重山稜を思わせる地形もあり、高山植物も数こそ少なかったものの、ちらほらと垣間見られた。塩見岳からは近いと思われた蝙蝠岳が以外に遠く感じられるのも、この樹林帯からの緩く長い登りになってからであろうか。漸く樹林帯から抜け出ると蝙蝠岳の山頂も近くなる。遠く塩見岳の頂上にいる人を確認できるほどその直線的な山と山との対峙感は、この夏場でさえすごいと思うのに、空気のもっと澄んだ秋ならどのように表現されるのであろうか。天空に渡したロープ上で綱渡りが出来ると思えるほどである。
蝙蝠岳山頂の肩に乗れば、後は一気呵成に頂上に達せられる。今まで視野に入らなかった二軒小屋方面の山が目に付くが、山座同定は未知の山のため出来なかった。扇の弧のような山は笊ヶ岳なのか、徳右衛門岳も近そうだが、往復3時間半はかかると見て断念し、ここまでとした。尚、二軒小屋まで6時間のタイム表示の道標がある。
2920mピークまで戻ってから、北俣岳までの岩稜のヤセ尾根を通過し、北俣岳の右横を通過する登山道から離れて直登すると北俣岳山頂に出る。頂上部は思ったより広く、岩屑がケルン状に積み上げられてあった。仙塩尾根分岐まで戻り、パッキングしなおして塩見岳へと足を進める。思いザックを背負いなおしての塩見岳への登りはきつく感じたものの、満足度は高く足取りは確かであった。
往きに感じなかったが、権右衛門沢源頭部から本谷山、三伏山への道はアップダウンが何回かあり、特に本谷山への登り返しはきつく感じるであろう。三伏峠の水場は往復25分ほどかかり、烏帽子岳方面のお花畑下の三伏沢方面にある。明日は天気が崩れるというので、午後の時間帯はゆっくりと過ごし、明日の朝も早起きする必要はなかった。
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