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ニペソツ山 8月31日 2006年


ニペソツ山
2013mH
北海道十勝支庁上川郡新得町・河東郡上士幌町
ニペソツ山(2万5千分図) 糠平(5万分図)
N43°27′21″ E143°01′56″

天狗岳(日本山名事典の山)
1860mH
北海道十勝支庁上川郡新得町・河東郡上士幌町
ニペソツ山(2万5千分図) 糠平(5万分図)
N43°28′04″ E143°02′29″


「ニペソツ」はアイヌ語で「シナノキの樹皮が多い」の意とのことで、アイヌは衣類などの織物を作るためにシナノキの繊維を使ったとの由。深田久弥も百名山に選定しなかったことを深く悔いていたという、岳人憧れのニペソツ山を十六の沢(杉沢)から往復した。

十六の沢登山口

昨日に続いて、音更川本流林道から十六の沢林道に入り、8km進むとニペソツ山登山口がある。 十数台は停められるであろうスペースと簡易トイレも用意されてある。水は沢水だが、煮沸は必要とのこと。


  身支度していると、霧雨のような状態となり、しばし、出発を見合わせていたが、それもすぐに止んでくれたので、沢を渡って尾根に取り付く。石狩岳のような笹に覆われた登山道ではなく、幅の広い濡れることのない道であった。急な登りもなく、淡々と進むだけで、これと言った特徴のある登山道ではない。時々、ニペソツまでの距離表示の道標が出てくるのが自分の居る位置を確認できるすべであった。上部に空の空間が見えてくると、ブッシュが次第に増え、上半身が濡れ始める恐れが出てきたので、上半身にもレインウェアーを着込む。案の定次第にそのブッシュの密度が濃くなり、半乾きの靴がまず完全に水浸しの状態になる。登山靴を二足持参してきていたが、連日天気が悪いため乾くまもなく、次の日を迎えていた。冬場の宿等なら乾燥室も準備されているだろうが、この夏季にそんなものは用意されていなかった。結局、この日も濡れたままの靴で登り始めていたが、最初は登山道が幅の広いのに安心していた。しかし、次第に下草のみならず、上体にブッシュが当たってレインウェアーを伝わって水が靴まで流れ落ちると言う状態になればブッシュの中の沢登りといった様相を呈して来ていた。登りが終わり、平坦に進むようになるとその様相はより一層強まり、やがて小天狗の岩場の通過となる。上り下りするのではなく、岩場の縁を回り込むのだが、足場が細く、こんな天気の悪い時には注意が必要である。一旦、天狗のコルと呼ばれる鞍部まで下りるが、整地されたテント場ではなく、草地の空きスペースと言った様子。この時期、水を当てにすることは出来ない。岩間温泉からの道が合流するらしいが、それらしい分岐は見当たらなかった、というより、探す余裕がなかったというのが本音か。前天狗の登りにかかるが、山頂は踏むことはなく、岩礫の風通しの良いトラバースの道となる。 ナキウサギと思える声が聞こえたりと好天なら雄大な光景が展開される所と思え、濡れから開放される。しかし、時折、上部に登る所はブッシュ帯となる。この岩礫地帯にはコースロープが両サイドに張られ、迷うことはない。トラバースが終わった地点にあるニペソツ山の道標に導かれて僅かに登るとホロカ温泉からの道の合わさる地点に出る。簡易トイレを使う小屋が設置されている。ここから天狗平まで若干の下りとなり、岩場の間に刺された鉄くいを目印に下る。突然、ガスが切れ始め、前方に鋭い岩峰が見え出す。時々、雲の切れ間から太陽の幻影が望まれるようになる。天気が回復してくることを期待しながら、はやる気持ちとなる。天狗平から天狗岳の左手を通過するように道がつけられ、しばらくトラバースの道が続き、ニペソツ山とのコルまでちょっとした下りとなる。天を突き刺すようなニペソツの頂を見上げながら、ここから300mの最後の急な登りとなる。ハイマツの実?を齧って散乱した跡が散見できるようになり、ヒグマが食べた跡と思えた。ヒグマの活動域に入ってきたことを実感しながら、一歩一歩登りつめる。最後は、トラバースから大きく左に回りこんで主稜線に出れば、山頂は近かった。雄大な展望は開けることはなかったが、ニペソツの頂にいると言う実感を、山々などの光景からではなく、足元から切れ落ちている急峻な崖を見下ろすことで味わっていた。

 往路をそのまま戻るが、コルから200mの登り返して天狗岳へ登ってみる。天狗岳の山頂には何もないが、南西に30mほど先にある鋭い岩峰が、その山名の由来であろうか。145FMで北海道山行を続けていたが、釧路市のJH8QIO局が今日も応答してくれ、釧路市は雨であることを知る。運良く、ニペソツの美味しい所を見せてくれたニペソツの神に感謝しつつ、天狗岳を下り始める。するとどうだろう、急にガスが巻き始め、霧雨状態から、次第に雨交じりとなってきてしまった。昨日の石狩岳と同様に雷こそなかったが、雨の中の下山となり、こうなれば雨の中も楽しいと思わずにはいられないよう気持ちに念じながら長い下りを続ける。


 登山口で着替え、 16の沢林道を石狩岳との分岐まで戻り(6.5km)、本流林道から岩間温泉を目指す。分岐から約10kmで林道終点のような所に着く。岩間温泉300mの表示があり、車が3台ほど停められる。どこから行くのかと見れば、流れの急な川を5mほど渡って進むのであった。サンダル履きであったので、水の中をバシャバシャと入って行けたが、それ以外では裸足で渡らなければならない。途中、バイクで来た者と思われる二人連れに出会い、さらになんと車高を高くしてある4駆が来るではないか。あの流れの中を渡ってきたものと思われた。私も長年、ランクル、パジェロと乗り継いできたが、あのような川の中に入った経験はなかった。やや硫黄臭が鼻につき始めると、川の対岸に岩間温泉が見えて来た。川を渡るのに、丸太の一本橋が架けられているだけである。丸太を平に削って渡してあるだけで、川幅は7,8mはあろうか、バランスを崩せば川に転落と言うことになる。これを渡らなければ岩間の湯に入れないというのも、面白さがあて良い。若い二人連れ、最初は男同士、少年かと思われたが、若い夫婦づれで、小さな子供はバケツ内に湯を入れて湯浴みしていたのである。湯船の周りで脱衣し、丁度良い湯加減の硫黄泉に早速、身を沈めることが出来た。ホロカ温泉も良かったが、この岩間温泉が最高の湯であろうことは異論の余地がない。先ほどの4駆の車に乗っていたのは若いアベック、さらに、バイク連れももっと若いアベックであったことを思えば、もう30分も早く着ていれば良かったと残念がるのは悪いことであろうか。

<コースタイム>

登山口5:11→6:46小天狗岩場→7:43ホロカ温泉分岐→9:00ニペソツ山9:20→10:20天狗岳10:32→10:46ホロカ温泉分岐→11:39小天狗岩場→12:35登山口

<GPS情報>

16の沢登山口 標高1037m N43°29′02″ E143°05′20″

<ハンディGPSによるニペソツ山ルート図はこちら

「この地図の作成に当っては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第420号)」

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