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新穂高ロープウェイ駅の先に、一般車通行止めのゲートがあり、その先から林道が伸びている。午前2時の出発であったので、ヘッドランプを点けて真っ暗闇な林道に足を踏み込む。途中、穂高平小屋の明かりと満天の星空がゆらめくように暗闇の中に穿っていた。林道なので、それ程足元を気にせず、歩を進められるのが幸運であった。奥穂分岐の先、白出沢を渡るときは、少々時間を費やした。光が届く範囲に対岸がないので、右往左往してしまった。
無事渡り終えると、山道に変わり、歩くペースは落ちていく。次の谷に着く辺りで、足元も見えるようになって来た。その名もチビ谷であった。振り返れば、谷の向こうの山が多少赤らんできたようで、気も急き始める。滝谷に着くと、谷川の一の倉沢ではないが、上部の雲が赤くなり始め、写真の好対象となり始めていた。朝食を兼ね、シャッターチャンスを待つ。しかし、思いの外、赤くならずに朝のドラマも終わってしまったようである。
滝谷を過ぎると、まっすぐ伸びた沢沿いに登山道が伸び、その先に西鎌尾根に突きあたる千丈乗越への尾根が見え始める。傾斜も緩み、発電気の音が聞こえるようになると、槍平小屋は近い。
このコースは沢もあり、小屋もあるので水の心配はなく、ここ槍平でも水が得られる。既に、殆どのパーティーはテントを片付け終わっており、一組だけ、大きなザックが山積みになっていた。おそらく、奥丸山によっていると思われた。
テント場の左手の沢を渡った所に、奥丸山への指導標が登山道の左の草の上に無造作に置かれてあった。上部から大きく崩れだした赤い岩石と土砂の上を登って行くが、途中で右手の登山道に入らなければならない。逆光に輝く南岳から北穂、涸沢岳の荒々しい岩場が屏風のように立ちはだかっているようである。未だ、槍ヶ岳は見えてこない。
かなり登った後、奥丸山と千丈乗越の分岐があり、終わりになりかけているニッコウキスゲの群落が目立つ斜面を空天に向け登っていく。途中、分岐にザックがデポしてあったが、恐らく、千丈乗越から西鎌尾根に入ると思われる二人連れを追い越す。山頂方面から賑やかな話声が聞こえてくるので、もう間近であった。
錫杖岳から笠ヶ岳へ、抜戸岳、双六岳とつながり、双六の左手に黒部五郎岳が異質の存在のように奥まって見えた。また鏡平山荘が双六岳のお腹に乗っているように見えたのもおかしい。頂上部が結構長いのは樅沢岳であろうか。西鎌尾根が綺麗にスカイラインを描いていた。
西鎌尾根のアンバランスな左下がりと槍ヶ岳の先鋭さ、その右の大喰岳、中岳の大きさが奇妙な取り合わせに見えていた。逆光の中に、南岳から切れ落ちるキレットから滝谷、そして北穂から涸沢岳のゴツゴツした岩場が淡く浮かび上がっていた。
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